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iOS14.5のデータトラッキング制限による影響、どうなる?


みなさんこんにちは、すみです。
iPhoneOSのiOS14.5からユーザーが「自分のデータを広告データとして使ってもいいか」を許可したり拒否したりできるデータトラッキングに関するアップデートがありました。

実装前から注目されていましたが、実際に実装されて様々なことが分かってきました。

今回は、このデータトラッキング制限についてお話しします。

データトラッキング制限とは?

AppleのiPhone OSであるiOS14.5からiPhoneのIDFA(端末識別情報)の取得を制限するというものです。

IDFAは、ネット広告業界でアプリを跨いで利用者の行動履歴を把握したり、広告の効果測定をすることで、ターゲティング広告に利用されています。

近年、プライバシー意識の高まりの影響を受けてcookieなどのネット個人情報が制限され始めています。
Appleもこれを背景にIDFAを制限することを決定し、iOS14.5からIDFAの取得に利用者の許可を義務付けるようになりました。

データトラッキング制限されるの何が困るのか?

データトラッキングが制限されることによって、広告の効果測定や分析ができなくなるので、広告のターゲティング、リマーケティングの精度が下がり、広告で収益を得ている会社が打撃を受けると言われています。

こちらのツイートからも分かるように、特にGAFAMの中でもFacebookとGoogleは収益の中で広告を占める割合が高く、Facebookについては97%になっているので、トラッキング制限が導入される前から反発していました。


データトラッキング制限実装による企業やユーザーの動き

データトラッキング制限が実装されてから、ユーザーの9割がトラッキング機能を拒否していることが分かっています。

追跡を許可しているユーザーの割合は全世界で12%とのことで、この数字は一部の広告会社の予想よりも下回っています。


そして、トラッキング制限をされると広告ターゲティングがしにくくなることによって打撃を受けると言われているFacebookとInstagramは「データトラッキングをオンにして欲しい」旨をアプリ内でアラートしています。


一方Appleは、IDFAを制限したことによって、Facebookの広告を侵食することになりました。

多くの企業が食い合っている中で、Appleは上手に侵食を回避しています。

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出典:巨大IT、止まらぬ成長各社が1~3月の売上高最高、寡占批判も隣り合わせ

この図の通り、Appleはかなり有利ですし、この機能の導入についてかなり強気で、この機能をユーモラスに表現したCMも後悔しています。

出典:アップルがアプリ追跡の透明性をユーモラスに表現した「iPhoneのプライバシー|追跡」CMを公開

データトラッキング制限は本当にいい機能なのか?

Appleのデータトラッキング制限は「ユーザーの個人情報を守る」という点を見れば一見ユーザーファーストで素晴らしい機能に見えますが、冷静に考えると広告関係者だけではなく、ユーザーにとってもいい機能ではないかもしれません。

「データが取られるのはなんとなく怖い」という理由で9割のユーザーがデータトラッキングを拒否をしているわけですが、データが取れなくなることによって広告のターゲティングの精度が落ちることになります。

それによって、自分に関係ないより不快な広告が増える可能性があります。

また、広告収入が下がる原因にもなるので、無料で使えていたサービスの質が落ちたり、結果的に無料で運営できなくなって有料化する可能性もあります
(先程の私のTwitter引用に書いてあるとおりFBとインスタは無料で提供できなくなる可能性があるから追跡機能をONにしてねと警告しています。)

なので、プライバシーを守るということは、回り回ってユーザーにとって快適なデジタル体験ができなくなる可能性もあります。

データトラッキング制限後のマーケティング

こうしてデータトラッキングが制限されることによって、企業はよりダイレクトなマーケティング手法が必要になります。

アメリカでは、ユーザーの情報を集めるためのロイヤリティプログラム(日本でいうところのキャンペーンやポイントシステムのようなもの)が増えています。

メルアドなどを登録し、利用してもらうことによって集めたデータを利用してリピート購入を増やしたり、ユーザーの興味や行動を知り、商品開発しています。

ピザマーケットプレイスの「Slice」は全国のレストランやショップのネットワークにリワードプログラムを提供しています。
これは、消費者の好みに関するデータを提供するプログラムです。

アパレルブランドの「Frances Valentine」はリピートユーザーが初期ユーザーに比べると購入額が67%高いことに着目してロイヤリティプログラムを提供しています。
このプログラムに参加すると、ユーザーは100ポイント獲得でき、1ドルごとに1ポイント付与されます。
レビューやInstagramでフォローしたりするとさらにポイントがもらえるという仕組みになっています。

このようなダイレクトなマーケティングはcookie制限の記事でも触れていますので、こちらも合わせて読んでいただければと思います。

以上、データトラッキング規制に関するお話でした!

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