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ラストマイルという名の爆弾とその衝撃波【ネタバレ有】

まだ見ていない方へ

「ドラマ全く見てないけど映画気になるな〜
 でもやっぱ見てた方が面白いんだろうしな〜」

と感じているそこのあなたへ伝えます!!

📦ドラマを見ていなくても
   120%楽しめます!マジで

📦もし少し予習したいのであれば、
  アンナチュラル:7話、(4話)
     MIU404:3話、(4話)
 を履修することをお勧めします!

⚠️この記事にはたくさんのネタバレがあります!
少しでも興味がある方は、
ここまで読んだらブラウザバック!!⚠️

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映画「ラストマイル」を
公開初日の8/23 に鑑賞しました。
単刀直入に言うと

しんどすぎるけどもう五回みたい

食べ尽くそうみんなでくたばるまで

本当にすごかったです。
面白いとか、感動したとかを超えて、
体験として、衝撃波を喰らったような印象。
トラウマのようでもあり、最高の思い出のようでもあります。
辛くて悲しいけど、優しくて暖かいお話でした。

いろんなことを考えたので、
その一部ここに書き留めます。
一部と言っても4500字。
暇な方もふわっとで読んでください。

皆さんと、感じたことを共有したい。

具体的なネタバレは、この枠内にかきます

怖すぎる

ほぼホラー映画。

特に終わり方、ヤバすぎました。

4日間の怒涛の勤務と役職から解放されたエレナが死んだように爆睡。
↓
酷い罪悪感に苛まれる五十嵐が、あの場所から下を覗き込んで、焦るような、気づくような表情。
↓
新しいセンター長の孔が、ロッカーのメモにボーッと意識をとられ、ハッとする。次は孔が寝れない番。
↓
こんな事件があっても、きっと日本は変わらないんでしょ?
今日も誰かが商品を買おうとクリックする。what do you want?

怖いって。
見る前はカッコいい〜!と思って見ていた
あの倉庫が怖いです。

この終わり方はかなりホラーですが、
問題提起でもありますよね。

他にも、不安を煽るような丁寧な演出やカットが
散りばめられていました。

・クリスマスプレゼントや赤ちゃん向けのギフトが、デイリーフォンと一緒に出荷されていく
・家のベランダの柵に足をかける小さい女の子と、忙しそうなお母さん。思春期の姉。
・ベルトコンベアの ガコン、ガコン、という音
・薬品がぐわっと混ざるイメージカット
・部屋番号404 金曜日に頼んだ荷物が13番のロッカーに届く  など

12ヶ条も、今改めて見ると、
ただの呪いでしかなく…

他にも、焼き鳥のシーンで震えが止まらなくなり、
警察が到着した途端涙が溢れ出す、
満島さんの一連の演技が本当にリアルで、
ドキュメンタリーみたいでした。

2時間ずっと、
何かに絶望したり、焦燥したり考えたりしていました。
エレナたちと一緒にストレスを抱えて見る形で、
臨場感がすごかったです。

見終わった直後は悪夢を見た感覚で、
もう見たくない!と思ってましたが、
今はめちゃめちゃ2回目行きたい。

ーーー

製作陣の本気を見た

ヤマサキが意識を失う前、最後に見た景色が、
「動き始めるベルトコンベア」

なのヤバすぎじゃないですか……?
アンナチュラル#4「誰が為に働く」のクライマックスや、
MIU404#8 「君の笑顔」の、あの事故のシーンを思い出しました。
あの救いようのない、絶望的なシーンの演出が本当に秀逸で……
苦しい……

逆に、

松本家の荷物を回収しにいく佐野親子
息子・ワタルの今までが全て報われる展開。
誰も死ななくてよかった……

この作品の唯一の救いだと言っても過言ではないと思います。
こちらでは、
アンナチュラル#8「遥かなる我が家」
MIU404#6「リフレイン」
の事件の真相を思い出しました。

このような救いと絶望のバランスが毎度素晴らしいです。

野木さんの脚本だなぁ……
というか、アンナチュラル、MIU404と同じ世界なんだなぁ……と、
ひしひしと感じて、めちゃくちゃ熱い気持ちになりました。

アンナチュラルもMIU404も、この映画も、
描いているのはサスペンスや勧善懲悪ではなく、
ずっと
働く人間のヒューマンドラマ」なんですよね……

演出面でも

ウェブCMなど、違和感の残し方
エレナの正体のミスリードのさせ方
登場人物達と一緒に振り回されてどっと疲れるような展開の多さ
バスを追い抜くタクシーで説明を省略             など

映画ならではの塚原さんの演出も多くて嬉しかったです。

デリファスのオレンジ色、羊急便の緑色、
それに伴った衣装の配色
さらには、
ロゴや商品デザインのこだわりも強く感じ、
スクリーンを意識した画が多くあって凄くよかったです。

そしてそのどれもこれもが実現したのは
新井さんの尽力があってこそであり、
この豪華な2時間が、お三方を筆頭としたたくさんの関係者の方々の熱意の結晶なのだと考えるとすごく嬉しい気持ちになります。
まさに、製作陣の本気を見ました。
超最高

ーーー

ラボのみんな!機捜のみんな!久しぶり(泣)

と言いつつ、
前日までドラマを全力でおさらいしていたので、
懐かしさなどはなく。
一気に1日で4年の月日が経ったような感覚でした。

ドラマ勢がコメディパートを担ったりして、
アクセントとして作用していました。
見てた人はわかる熱い演出がしれっと入っていて良かったですね〜泣
オタク、信頼されて嬉しいです。
メロンパン号もお仕事してて嬉しかった!

事件の深いところまでに触れず、
フェードアウトしていく2チームに
すごく現実味を感じました。

この世界で、みんなが仕事して生きているのだと実感したし、
各ドラマでは取り上げられない
=本人達を強く動かす鍵となる事件ではない
をこなす姿が、未公開シーンを見ているようで、
少ないシーン数でありながら
彼らへの解像度がグッと高くなった気がします。

あと、404贔屓の私としましては、
4年を共に過ごしたことで、お互いがお互いに似てきてて
ニヤついちゃいましたね……

4年前の志摩はふざけるように多方面に「キモくてすいません」なんて言わないし、
4年前の伊吹は病院内で走る若者に、「走らないよ〜」ってそんな大人な注意しなかっただろう!
さらに、掛け合いが滑らかになっていて、漫才に迫る勢いである。

そして何より
各ドラマで未来を救ったあの子たちが強く生きる姿を
確認できたのが一番嬉しかったかもしれないです。

もっと、いぶきだ!!!!しまだ!!!!!みことだ!!!!と、
頭の中がお祭り状態になるかと思っていましたが、
予想していたよりも私が、
物語に集中して「情報を一つ残さず拾うぞ……」
という体制を崩さなかったので
案外冷静に見ることができました。
もちろん盛大にニヤつきはしましたが。
むしろ本筋が濃すぎてドラマ勢の活躍をちゃんと
記憶しきれてないような気がします。
2回目を見る機会があれば、
次は余裕を持ってオタクの楽しみ方したいです。


私、気づきました。

私、気づきました。

アンナチュラル:ロッカールームで服装を整え、エプロンを身につけて解剖台へ。
   MIU404:志摩が慣れないネクタイを結ぼうとして苦戦。桔梗に指摘される。
 ラストマイル:梨本がロッカールームでネクタイを締める。

3作とも、
身だしなみを整えるシーンから始まるんです……!
身だしなみを整えること」が
仕事を始める合図として統一されているのに気づいて、痺れました。
意図的なものかどうかはわかりませんが、
みんな仕事の上で、職業としてやってるんだな
と改めて感じて、学生の私は
「大人ってかっこいいな」と思いました。


その他にも、私気づきました。
各ドラマでも群を抜いて人気なお話といえば

アンナチュラル#4「誰が為に働く」
MIU404#4「ミリオンダラー・ガール」ですが

思えば、この心がズサァとなるお話たちは
どちらも「届ける」話なんです……

人が人へ何かを届ける行為の儚さと尊さを
この映画でどちらの方向からも描いていて
心がギュッとしました。
これも意図的なのだろうか……

ーーー

これでもかと描かれる「日本」

3作品を通して、今の日本には
交通、SNSの網がびっしりと張り巡らされているのだとひしひしと感じます。
その網の間で日々回り続ける、情報と物資を通じて、
現代の日本人がこれでもかと描き出されていました。

本当に雑な言葉で説明してしまいますが、
爆弾に洗濯機が勝利するシーンは、
日本の弱み=極度な献身、正常性バイアス、過労死の美化
と
日本の強み=品質こだわる丁寧さ、思いやりの心
の対比の末、日本の強みが勝利する、表現がされています。
(今書いてみると、強みと弱みがかなり表裏一体でひやっとしました。)

救いであり、祈り。

作中で何度か
「その行動力を他のことに使えばいいのに……」
のようなセリフがあった気がしますが、
その通り、製作陣からの
大切にすべきことを見失わないで」という
メッセージなのかもしれないと思いました。

見終わったあと映画館を出ると
スクリーンの中の世界が自分が今見ている世界に重なって見えて、
自分たちの世界もシェアされているような感覚に陥りました。

ーーー



3部作が伝える思い

アンナチュラル:それでも生きていくことに意味がある
   MIU404:だからこそ生きていく必要がある
 ラストマイル:お願いだから生きていて欲しい

これが、各作品の伝えたいことなのかな、と感じました。
もちろん重なる部分もあります。
そして、映画の鑑賞を経て、
あなたは生きていていいんだよ
と、スクリーンの中の世界のみんなが
言ってくれているような気がしました。

ーーー

こちらの期待を遥かに超えてくる

ドラマが大好きで、
製作陣への信頼もすごくあったので、
期待がMAXまで膨らんだ状態で上映を迎えましたが
それを何倍も超えてくる衝撃と重みでした……

いつか野木さんが言ってた気がして、
心に残っている言葉がありまして。

予想は裏切るけど期待は裏切らない

エンタメの目指すべき形。でもかなり難しいはず。

ラストマイルは、これに+αで
見た人の人生に新しい視点をもたらす
というさらに難しいことを成し遂げていると思います。

勢いやスピード感があって、
迫力も臨場感も緊迫感もすごくて、
映画作品として、
映画館で見れてよかったと強く感じます。
ですがそれと同時に、
2時間じゃもったいない!!
というボリューム感と情報の多さでした。
オタクとしてはもっと世界が広がって行くのを見てみたい……

ーーー

荷物を受け取りました

私は、バイトすらほぼしたことがなく、
宅配を自分で頼むこと受け取ることもほとんどありません。
映画を楽しむ臨場感という点では不利だったかもしれないけれど、
完全に社会に独り立ちする前に見れたのは本当に良かったと思います。
働き始めた頃、もう一度見て見たいとも感じます。
感じ方が変わるかも。

確実に、働くことについての軸やブレーキのことを
考えるきっかけ
になりました。

社会というベルトコンベアは、もはや止めることはできないけれど、
そこから無理やり降りたくなった時、
誰かが気づき、一人のために躊躇わず停止ボタンを押せる、
そんな人間になりたいし、
そんな社会に変わっていけますように。


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