ネガティヴになるしか僕には方法が無かった。
僕は勉強もスポーツも何も出来なかった。
学生の頃、周りの友達や大人からは「出来損ない」のレッテルが貼られた。
投げつけられる「馬鹿」の二文字は、僕に向けられた物で、言い返す口の旨さも、気の強さも、何も無い僕には、自信すらなかった。
褒められる部分が僕にはない、褒められる事も無いから、そもそも自信を持てた事すらも無いとも思う。
これだけ自分に自信が無いのだから、苦手だった勉強にも、スポーツに対する向上心の意欲すら湧くわけもなく。
とにかく「落ちこぼれ」は落ちるところまで落ちて、勉強は学年でも最下位を争っていた。
学生の頃に
「自分は他人よりも劣っている」のだと自覚させられた。
「人は誰にだって、強みがある」
どこからか綺麗事が聞こえる。この言葉が嫌いだった。
国語、数学、英語、理科、社会。どの科目でも、少しでも良い成績が取れない上に。スポーツでも良い成績は出せはしない。
「強みがあっても、人より低けりゃ意味ないだろ」僕が置かれた環境では、並の成績が何一つ無かったから。
「強みがなくても良いから、普通になりたい」そう強く願っていた。
普通に憧れていた。
普通の点数を取って、普通にスポーツが出来て、普通の学生生活が送れて、将来に不安より希望が持ちたかった。
僕だって人間だから、人と同じ心を持っている。人と同じくらい傷つく、
のに、人と同じ事ができない。
「もしかしたら」なんて希望が抱けるほどの余裕もない子供だった。
でも、思えば、学生時代の僕は一切努力はしていなかった。だから成績も自己責任、とうぜんの結果で。人一倍 努力出来ていたなら、普通になれたかもしれない。
「努力が出来ていたなら」そうは言っても、努力するための気持ちが。自信が。とっくに削がれていた僕は、やる気になれなかった。
狭い教室で僕らは比べられていた。そして僕は、狭い世界の中の底辺だった。心はもう、光の見えないどん底だ。
真っ暗などん底で僕は、何処に進めば良いのか分からない。近くの人達すら見えなくて、手を伸ばしても誰にも届く気配すらしない。
僕には学校の他にも問題があった。家庭の事情。(深くまでは話さない)この家庭の事情、居心地の悪さから。相談、悩みを打ち明ける相手すら居なかった。
学校でも居場所がなければ
家にも居場所を感じなかった。
正直よく死ななかったと思う。でも、本当は死にたくても死ねなかった。
じゃあ今はポジティブなれた?いや、少し違う。こんな糞みたいな生活を長年送っていれば、いずれ何かが切れる。
僕の、その何かが切れたキッカケは、高校に入学した時だった。
中学の頃にいた友達がいない高校に通う事になった。当時の僕に唯一、人生に「楽しい」と思わせてくれていたのは友達だった。
勉強が出来なかった僕に、通える高校の選択肢は、ほとんど残っていなかったから。
高校1年の新学期は、全く友達が出来なかった。新しい環境の中「楽しさ」を与えてくれる友達はいない、新しい環境に馴染めずに。家に帰れば苦痛な家庭が待っている。
現実に一切の楽しみが無くなった。
「高校に上がったらアルバイトをしろ」と、親に言われていた。僕はとりあえず、言われた通りに、アルバイトを探した。
そして驚く事に。
初めてのアルバイトでブラックバイトを見事に引いた。休みは1日もなくて、慣れない仕事。迫ってきた苦痛からは逃げられない気の弱さ。
毎日罵倒され、暴力を受けた事もある。
なぜ、こんなにも不幸なのか。
そんな毎日を送っていれば嫌でも思っていた。
「死にたい」これだけは何処にいても、頭に浮かぶ。
何処にも生きる喜びなんて感じない。
学校に行けば、友達はおらず孤独。授業を受け、無能を自覚させられ。
バイトに行けば、罵倒されながら働き。家に帰っても、落ち着けない。
気がつけば手に持っていたスマホで「痛みのない楽な死に方」を検索した
死ぬ事に痛みがあるだなんて、ふざけんな。(意外と首吊りって、勢い良く吊れば痛みもあまり無く死ねるらしい)
僕は(こんなにも死にたいなら自分で首を絞めれば死ねるかもしれない)と何故か思った。
自分の手で、自分の首に手を当てて、締めてみた。
怖い。そんな感情が込み上がってくる。
生きていても地獄のように怖いのに、
死ぬことすらも、恐怖が支配する。
生きる事に意味が無いはずなのに。
心は「死ぬな!」と言わんばかりに、僕が死のうとする事を拒む。
めちゃくちゃに自分に腹が立った。
何もかも全てが嫌いだった。
自分を生きたくなかった。
多分、泣いていた。
「ああ、もう適当に生きてやろう、ど底辺でも、誰かから馬鹿にされても、どうでも良い...」
まるで人生を放棄する感覚の生き方を決意した。
***
子供の頃の経験。大人になった今、引きずってはいない。個人的には「そんな事もあったな」程度だ。
良くなかった変わり方だったかも知れない。でも、自分はそれでも昔よりは楽に生きられる考え方を手に入れた。
楽しい経験だって、大人になって沢山出来るようになった。
今の自分がネガティヴなのか、ポジティブなのか、正直にわからない。
でも、どうでもいい、世の中を人生を全部適当に上手く生きる。と思ってる事に変わりはない。
正直こんな話、何処にぶちまけていい話かも分からなかった。でも、似たような人には、もっと適当に生きよう、って言いたい。
自殺のニュースを見ると今でも思う、どれだけ苦しんで、その死の恐怖に支配されずに。亡くなってしまったのか。
僕には出来そうになかった。
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