見出し画像

人のお金とも向き合うソーシャルワーカーという仕事。

私たちソーシャルワーカーがアプローチをかける「生活」というやつを構成する要素は広い。一生をかけて勉強したとしても、その全てを網羅できない領域です。

加えて社会制度や仕組み。
生活に対する人々の価値観。

これらは常時アップデートされ、数年前は常識だったことが今ではそんな常識があったことも忘れてしまう厄介な代物。

ソーシャルワーカーが仕事の中で取り扱う「生活」に関する主要素は、働く職場(提供するサービス)によっても当然特徴があります。そのサービスを求めるクライエントのニーズに答えるために集中的に学ぶことになるので当然と言えば当然です。

わたしも
・精神科リハビリテーション
・精神科(急性期)病院
・障害福祉サービス事業所

と、異動を通して職場の提供するサービスが変わりながら、その中で精神保健福祉士としてのその時々に求められる専門性を高めながら、そして、ひとりの生活者としてもアップデートしながら過ごしてきました。

そんなわたしがこの仕事に就く前には、正直ここまで関わることが多いのかと想像していなかった。と、思っている分野の一つが「お金」の分野です。

わたしの働くフィールドが変わっても、絶えず支援する分野のパーセンテージとして肌感覚で圧倒的に多い分野です。

病気や障害の有無に関わらず、生きている人の殆どの人の世界において

『「お金」に思考や日々の日常が支配されている』

そう考える人は少なくはないと思います。

資格取得のための大学や養成校での勉強の中で「お金」に関しての福祉・経済制度などは多少学ぶ機会がありましたし、そうしたところにアプローチに関与することはもちろん想像していました。

『人のお金に向き合う』
わたしが今日シェアしたかったのは「お金のやりくり」という領域。

「お金」というものに関しての考え方(教育)や具体的な支援方法について学ぶことは、精神保健福祉士国家試験のカリキュラムの中にはありません。

もっと言えばこの分野というのは学校教育でも殆どされておらず、多くの人が自己流で対処していることが様々なところでも言われています。
日本でも金融教育をやるべきという意見は増えてきてますしテクノロジーの発展でだいぶ情報にアクセスはしやすくなりました。

お金との付き合い方というのはある意味では、多くの人にとっても共通の生活課題と言ってもいいです。

そんな「お金」に対して素人なわたし達がクライエントの「お金」に関して支援をするのは簡単ではありません。

・月末になると金欠になる(欲しいもの優先)
・支払いの滞納
・金融機関に借入しその返済に生活費を回しまた借入
・友人や知人に借りて、返済できずトラブル
・挽回しようとパチンコや競馬、宝くじで一発を狙う

お金に関する制度を活用するための知識や経験は専門性とするべきところですが、こうした日常レベルのことについては専門職というより、ただの素人です。

こうやったらいいよっていうノウハウは巷にあるものであったり、自己流のものです。
正解もないので、ある意味押し付けになってしまうこともあるでしょう。

その人がやらなくてもそれは、ご本人の選択です。
「お金」とはプライバシー性のある分野でもあります。
私たちも日常の中で知人や友人、家族間ですらお金事情を赤裸々に語ることはそう多くないでしょう。
そういう領域へ踏み込むというのはとても繊細なことです。

勿論、お金をやりくりする方法を個別性を捉えながらその人に届くように伝えていくことはわたしたち専門職が腕を求められるところだと思っています。

しかしながら、そんなにすぐにお金の使い方が変わるわけではありません。
当然ですよね。わたしたちも慣れ親しんだお金の使い方に限らず生活習慣を変えることは容易ではありませんし、ストレスもかかります。

全く第3者のお金事情。
「お金のやりくり」について。
何の専門性も持ち合わせていない人がそこに踏み込むっていうのは怖いことだと思います。

この感覚は、慣れてはいけないと思っています。
そして、慣れようと思っても慣れません苦笑

特に「管理」をするという権限はわたしたちは持っていませんがその狭間となるような介入が迫られるケースは少なくありません。

ご本人からしたらいらぬお世話と思われることもあります。
でもそれによって困ることも見えてますし、その困るが当人以外の人にも広がってしまうこともあるのがお金の怖いところ。

人のお金に責任をとることはできませんが、関係ないという風にもできない。
お陰様で自分自身の家計管理は卓越させてもらいましたが。

一時期はファイナンシャルプランナー(FP)などを仕事のために取らないとまずいかなと思ったこともありましたね。それくらいお金の問題とその対処の領域って教育の場がなかったことをしみじみ感じてます。。

中には自己破産などを検討せざるを得ないケースもあり、一緒に弁護士さんに相談に行くこともあります。

自分1人の人生では経験し得ないだろうお金に関する経験、知識が入ってきます。
そんなある種の人生体験をさせてもらえるという恩恵もありますが、できれば当人が当人の裁量で生活を続けられ、満たしたいことが満たせることにこしたことはありません...。

ということで、今日はお金をとやかく本来は言う権利のないソーシャルワーカーが、ご本人の権利や自由との狭間で関わっているというシェアでございました。

しかしながら、お金を通して人の人生感をはじめ知ることができる側面もありますし、こうした話をさせてもらえることは一定の信頼がないと難しいことだと思ってますので、今後もしっかりご本人と向き合っていきたいと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?