歩道橋人

ラブレター書きます。

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私みたいな私

金曜日の6時間目。うちの学校には探究活動という時間があって、普段の授業から発展して授業らしくない気楽なお楽しみ授業みたいな時間が設けられていた。 私は隣のクラスに移動してすみっこの方、日の当たる窓際に着席する。 「西宮、お前がこっちくるなんて思ってなかったぞ」 プリントを手渡しながら、担当の教師がそう言った。私は平然とした顔で「興味があったんで」と返す。色々言い分を考えていたけど、一番当たり障りのないものでいいやと思った。 渡されたプリントを黙々と解き始める。しかし、全然つい

    •  目を瞑っても開いても、そこにあるのは目だった。  誰かが覗いてる訳でも、直視している訳でもなく、ただそこには人間の眼球のみが静かに落とされていた。  僅か数十センチの距離。腕を伸ばせば簡単に手が届く距離に目玉が転がっているのに、初めに驚いたのはこの状況ではなく冷静な自分に対してだった。  一体誰の目なんだろう。  周囲を一瞥しても、白い空間ばかりで、何者かがいる気配は全くない。  まさかと思い、自分の目に手を伸ばす。が、しかし、手はぴくりとも動かせられない。体全体