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生理痛がつらいので避妊リング「ミレーナ」を入れてとても良かった話

未経産婦ですが生理痛の改善のため、ミレーナを子宮内に入れました。
装着して3カ月以上経過し、QOLが大幅に向上しました。

生理痛の軽減にはピルも有効ですが、ミレーナはピルより安く、副作用が少なく、服用の手間がないなど様々なメリットがあります。

ただ、ミレーナの利用は経産婦の方が多いためか、未経産婦の情報は少なく、あってもネガティブな情報が多い傾向を感じました。
未経産婦でも入れて本当によかったという事例もあることを残したいと思い、体験談を書きました。
もちろん経産婦の方にも役に立つ内容だと思います。

生理痛がつらいがミレーナという選択肢を知らなかったひと、今ミレーナをいれるか迷っているひとの参考になれば幸いです。

また、正確な情報であるよう努めていますが、書き手は医療関係者ではありません。
ミレーナの装着は医療行為のため、最終的な判断は専門の医師と十分相談したうえで決めてください。

ミレーナとは

「子宮内避妊システム」と呼ばれる医薬品です。
子宮内に挿入し、長期間保持することができ、避妊効果があります。
重い生理痛や生理の量が多い過多月経といった生理に関する症状の改善に有効で、2014年から保険適用で治療に使われるようになりました。

月経困難症の診断は医師によるため、個人で判断せずぜひ婦人科を受診することをおすすめします。
なお、妊娠を希望される方はミレーナを抜去すれば、妊娠機能が戻り悪影響はありません。

昔の類似製品がリング状だったために今も避妊リングと呼ばれることがありますが、ミレーナ自体はT字型で、柔らかいプラスチックで出来ています。

ミレーナは製薬会社バイエルが製造している商品の名称ですが、日本国内で最初に認可された「子宮内避妊システム」であり、世界でも広く普及しています。

▼参考(ミレーナの仕組みなど詳しい)

ミレーナのメリット

・長期の利用ではピルよりも費用が安い
 (1回の装着で最大5年間有効)
・ピルのような内服の手間がなく、血栓症等のリスクがない
・避妊効果がある
・重い生理痛、月経困難症、月経過多の症状改善が期待できる

ミレーナの装着の結果、完全に生理がなくなる方も一定の割合でいるようです。効果は個人差があり期待しすぎることはできませんが、ピルにはない大きな恩恵です。

ミレーナのデメリット

・子宮の入口が狭い人や子宮に疾患がある人は装着できないことがある
・子宮の入口を広げて挿入するため、処置中に痛みを感じることがある
 (未経産、帝王切開出産の人は痛みが強いことがある)
・装着後しばらく不正出血が続くことがある
 (1ヶ月~3,4ヶ月、個人差による)
・装着後、ミレーナの位置ずれや子宮から脱出してしまうケースが稀にある
・月経量が減少する一方、月経期間が長くなることがある

ミレーナの費用

月経困難症や過多月経の治療の場合は保険適用になります。
生理痛がつらく悩んでいる方は一度婦人科の受診をおすすめします。

筆者の場合は初診から検査~装着まで、保険適用で合計17,000円程度でした。
今後定期検診の費用が発生(2,000円×6~8回程度)しても、5年間で3万円を超えるくらいです。
これが高いか安いかは人によると思いますが、筆者の場合はこの金額で生理痛が改善するかもしれないならと悩みませんでした。

参考までに、ピルの場合は保険適用、5年間の薬代のみで5万~18万円(28日分で900~3000円、ピルの種類による)です。
これに診察料、定期検診、血液検査等が加算されます。保険適用でない場合はさらに高額になります。

なお、避妊目的でミレーナを入れる場合は自費になります。
病院によって差がありますが、ネットでみた範囲では検査等を除き4万~7万円あたりが多いようでした。
保険適用されない場合でも、ピルよりはるかに安く利用できます。

補足①未経産婦の装着について

一般的に、ミレーナの装着は経膣分娩経験のある人を想定しているケースが多いようです。
装着時に子宮口を広げる必要があるのですが、経膣分娩経験がないと子宮口が広がりにくく、痛みを感じたり挿入できないといったケースがあるためのようです。
未経産婦である筆者の体験としては痛みはほとんどなく、ミレーナを装着して良かったと心から思っています。
どうしても「痛いならやだな…」と思われるかもしれませんが、すぐ選択肢から外さず、筆者のような事例もあるんだということを知ってもらえれば幸いです。

病院選び

住んでいる場所にもよりますが、ここが最初の難関になるかもしれません。
ミレーナの取り扱いは婦人科になります。
婦人科があってもミレーナを取り扱ってなかったり、あっても未経産婦だと対応してくれないこともあるようです。
HPなどで取り扱いを明記されてなければ、事前に電話で問い合わせるなどして確認しましょう。労力も少なくて済みます。

また、プライベートなエリアの診察になるので、担当医師との関係も大切だと思います。
ミレーナの装着までに2回~4回程度通院が必要です。装着後は定期検診のため、初年度は数ヶ月おきに通院が必要ですが、翌年度以降は1年に1回が基本です。
信頼できる病院にかかるのは大切なことですので、必要であれば対象エリアを広げて探してみてください。

また、ミレーナの挿入時の痛みが不安な方は、処置中に麻酔をしてくれる病院もあります。
麻酔を取り扱っている病院は限られるため、お住まいのエリアにないこともあります。後述の「補足③麻酔について」も参照ください。

初診から装着までの流れ

初診から検査、装着までは診察スケジュールやあなた自身の生理周期によるため、1ヶ月~2ヶ月以上かかることがあります。

筆者は生理周期がうまくかみ合い、初診から装着まで5週間程度でした。また、装着後の思わぬ副反応等に備え、処置から数日は大事な用事を入れないようにしていました。

初診(カウンセリング+内診)

初診では以下の2点を医師に相談しました。
・生理痛がつらいこと
・ネットでミレーナの存在を知り、ぜひ試したいこと

医師からは以下の確認がありました

・ピルは希望しないのか
・ミレーナのデメリットについて(前述「ミレーナのデメリット」に記載)
・未経産婦の装着はかなり痛いがそれでもよいか

ピルに関しては、経済面や飲み忘れのリスク、副作用等を理由に希望しない旨を伝え、デメリットについても問題ありませんでした。
ただ、未経産婦の装着処置は非常に痛いという話はここで初めて知り、かなり動揺しました。
この日は判断を保留し、内診のみで帰宅しました。

補足②ミレーナ装着時の痛みについて

ミレーナ装着時の痛みはかなり個人差があるようです。
カウンセリングを担当してくれた医師は以下の事例を上げていました。

・処置中、痛みのあまり中断せざるを得なくなったケース
・処置後、痛みのあまりぐったりしてしばらく身動きがとれなかったケース
・処置後、嘔吐がとまらず抜去を希望したケース

かなり辛そうな事例ばかりですが、筆者の場合はこのようなことはなく、かなりスムーズに装着できました。
ただ、事前に上記のようなリスクがあるということが分かり、それでも装着を試したいと決断できたので、この話を聞けて良かったです。

残念ながら、日本国内における未経産婦のミレーナ装着成功数や中断事例数といった統計などは見つけられませんでした。
どうしても気になる方は、カウンセリング時にその病院の処置件数のうち中断した事例数(割合)などを聞いて判断の目安にされてもいいかもしれません。

診察2回目(事前検査)

痛みやその他リスクを引き受ける覚悟ができたため、改めてミレーナを希望し、事前検査を受けました。
ミレーナの挿入にあたっては、装着前に以下の検査が必要になります。

・性感染症検査
・子宮頸がん検査※
・超音波(エコー)検査

※20歳以上の方は、お住まいの自治体が実施している検査を適用し、費用が安くなる場合があります。区市町村のホームページなどで確認してみてください。

性感染症検査と子宮頸がん検査は、結果が出るまで1~2週間かかることがあります。
また、病院によっては検査を受けるにあたって生理周期の段階を指定されることがあるようです。担当医師の指示に従ってください。

診察3回目(検査結果確認+ミレーナ装着)

この日から担当医師が変わりました。
検査結果に問題がなかったため、同日に装着処置を受けました。

ミレーナの装着は、生理終了前後の時期を指定をされることが一般的です。
同日に済ませたい場合はタイミングをみて診察予約をとる必要があります。

また、処置中の痛みを軽減するため、事前に鎮痛剤を服用することを勧められました。ロキソニンでもイブでも、使い慣れたものをとのことで、生理中にいつも飲んでいるイブを診察の1時間ほど前に服用しました。

装着処置自体は5分もかからず、かなりスムーズに終わりました。
挿入前に、普段の生理痛の1割くらいのじんわりとした痛みがありましたが、いつ激痛が来るかと怯えているうちに終わっていました。
体感としては、前回の子宮頸がん検査での検体採取の方が痛みがありました。

医師からは鎮痛剤がよく効いたようですね、とコメントがありました。
その後嘔吐などの症状もなく、問題なく帰宅しました。

また、感染症予防のため、1日分の抗生物質を処方されました。

補足③麻酔について

前述した通り、ミレーナ装着時に麻酔を行っている病院はあります。
ただ、病院が限られており、筆者が通院した病院では扱いはありませんでした。
ネットで調べた限りでは、麻酔処置は自費負担となり費用も3万~5万円ほど高くなるようです(麻酔について記載しているHPは自費負担のものしか見つからず、自費負担になると思われます)。
筆者は麻酔処置をしていないため、情報不足についてはご容赦ください。

処置後の経過

ミレーナ装着当日は、若干の出血と腹痛があり、抗生物質を飲んで安静にしていました。翌日、翌々日は多少の腹痛があり鎮痛剤を飲みました。

処置後1週間~1カ月の間、ほぼ毎日不正出血が続きました。まれに鈍い腹痛がありましたが、鎮痛剤を服用して収まりました。

ミレーナ装着後に不正出血が続くことはよくあると医師から聞いていたため、とくに心配せずおりものシートを常用していました。
不正出血の量は10ml以下で、シートを日中交換する程度で下着の汚れなどの心配はありませんでした。

処置後最初の生理では月経量がかなり減少し、不正出血もあったため生理期間があいまいでした。
生理痛はありましたが、普段よりも軽く、痛む時間も短く感じました。

診察4回目(1ヶ月後検診)

装着して最初の生理が終わったタイミングで検診に行きました。
内診とエコー検査で問題がないことを確認し、副反応等も懸念されるものがないことからすぐに終わりました。

医師からは今後定期検診はあるが、もし何か不安なことや異常を感じたら来院するよう言われました。

ミレーナによって改善された点

生理は本当に個人差が大きい現象ですが、体験談として記載します。

▼ミレーナ装着前の生理
強い腹痛、倦怠感、脱力感、腰痛、身体のほてり、時々頭痛

▼装着後2回目の生理
月経量ほぼなし、不正出血程度
腹痛ほぼなし、あっても軽く短期間
脱力感ややあり

▼装着後3回目の生理
月経量なし、不正出血なし
腹痛なし
ほてり、やや脱力感、腰痛あり

▼装着後4回目の生理
月経量ほぼなし、不正出血程度
腹痛なし
腹痛ほぼなし、あっても軽く短期間

ミレーナを装着してから作用が安定するまでは4~6ヶ月かかることもあると医師から聞いていましたが、かなり早くから安定した効果を実感できています。
月経量がほとんど0になったことは想像以上に快適で、生理が無くなったに近い状態です。
翌月以降また変化があるかもしれませんが、現時点ではミレーナをいれて良かったと痛感しています。

おわりに

これまで散々苦しみ、消えてほしいと切望した生理がほぼ無くなったことは驚愕とともに猛烈な歓喜の思いがあります。

ピルよりも安く、手間がなく、副作用のリスクが低い。月経量が大幅に減少し、もしかしたら生理が完全になくなる、まさに夢のような存在がミレーナです。

病院探しに加え、特に未経産婦は装着のハードルがありますが、筆者の場合は幸い問題なく、恩恵のみを享受しています。

中には装着の処置が非常に痛く断念せざるを得ない方、装着できても体質に合わず抜き取らざるを得ない方もいらっしゃると思います。
個人差の大きいことなので、担当医師とよく相談して決めてください。

生理に苦しんでいる多くの女性にとって、ミレーナは非常に有効な手段です。選択肢とそのリスクを知り、冷静に検討されることを願っています。

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