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新しい生活を始めます。

引越した。

引っ越しの準備で忙しかったここ最近は、もう笑っちゃうくらいどこにも書き記せていない日々で、ずらずらとどしどしと毎日が過ぎていった。

その間も私は確かにここに存在して、もがいたり笑ったりして生きていたはずで、覚えていなくても、記せていなくても、消えちゃいやしないんだけど、手のひらから溢れていってしまう感覚に陥るのはどうしてだろう。

段ボールの中に、調理道具や本や、私の生活が仕舞われていって、見えなくなっていくのが最近はしんどかった。生活がうまく回らなくなってしまって、書くことからも遠ざかってしまって、心が窮屈だった。でもそんな日々を乗り越えて、引越し先で荷解きをすると同時に、絡まって固くなってしまった心も少しずつ解けていっているように感じる。

新しい街は、ちょっとゴミゴミしているけれど、便利で、物と人に溢れていて、煩いところも静かなところも持ち合わせていて、いかようにも生活を変えていける柔軟な街。家はもう、さいっこう。たくさん検討して決めただけある、悪いところは一つもないと言っても過言ではない。インターネット上の物件を日々検索し、エクセルに条件をまとめて報告してくれた彼、ありがとう。

前に住んでいた街も、大好きだった。最後の夜は、荷造りを終えた後、いきつけの銭湯に行って体を流した。いつも通り熱いお湯が皮膚に沁みて、その後浴びる夜風が気持ち良かった。この街で過ごした1年は色んなことが重なって大変だったけれど、この街だから乗り越えられたんだなと、そんな日々もいつかまるっと愛せるようになるだろうと、そう思えた。

新しい生活を、ぬるっと始めようとしている。そのくらいの運びかたで、人生は良いのかもしれない。そうやって進めていく。回り道しながら、タイミングを見計らって、えいっと駒を進める。それが私たちの進み方。

しばらくは生活の地盤が安定しなくて、足を取られて転びそうになることが多いと思うけど、それすらも楽しみながら乗り越えていけると良い。私たちならそうできるんじゃないかなって、わたしにしては珍しく前向きに世界を捉えている。

これからの人生も、良い物語になっていけ。

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