トヨタ自動車 不正の影響から考える投資戦略
はじめに
トヨタ自動車は直近高値より、約15%程度下落しています。そんな矢先、6月3日に自動車会社5社の不正が発覚しました。しかし、不正の内容を確認すると、これは本当に不正と言って良い内容なのか、疑問が残ることが確認できました。車の出荷を停止するなどの措置が取られているため、業績には影響が出ると思います。ただテクニカル指標で見ると、200日移動平均線まで接近してきているため、長期的にみると押し目買いポイントなのではないかと考えています。もちろん今後も、新たな不正が明るみになる可能性があるため、ややリスクは高くなるかもしれませんが一考の価値はあるかと思い記事にしました。
不正問題の真相
国が定める基準より、厳しい基準で独自に試験を行ったため不正として認定されてしまいました。
上記は一例ですが、トヨタは後ろからの衝突実験を法規の1100kgではなく、世界基準に合わせた1800kgで実施し、そのデータを国へ提出していたとのことでした。
これが不正になってしまうのかと思いますが、国としては法規の基準でも実験を行い、そのデータを提出してほしいとのことです。上記の内容が本当だとすれば、車の安全性には問題なさそうです。むしろより安全といったところでしょうか。安全性に問題がないとすればリコールなどの対応はないと考えますので、リコールによる損失は避けられそうです。
上記は、今回発表された不正の内容です。①、②、④は法規より厳しい条件で実施された試験です。
③においては、左右逆の結果をデータに使用してしまった事と、片側のみのデータを両側として使用してしまったとのことです。
⑤においては、新ブロックで試験を実施しなければならないところ、旧ブロックで試験を行ってしまったとのことです。新旧でのブロックの重さは変わらないそうです。
⑥においては、認証検査前に出ていたデータが何故か本番の認証試験時に出なかったため、出力制御を調整したデータを提出してしまったとのことです。本番の試験で、なぜデータが出なかったのか検証したところ、エンジンとは関係のない排気管が潰れてしまっていたためだということです。
個人的な感想
以上を踏まえると、個人的にはこの不正は大きな問題ではないと考えています。しかし、早く認証試験を突破しなければいけないという現場への圧力は感じます。少し?なのかわかりませんが、認証試験に対して時間をかければ解決することのように思います。
ただ開発競争もあると思いますので、そんなに簡単に時間をかけれない事情もあると思います。企業のみならず、ここは国か第三者機関が定期的に認証試験へ介入し、不正はできる限り防いでいく必要はありそうです。
生産、出荷停止による業績への影響
今回の不正により、現在販売中のカローラフィールダー、カローラアクシオ、ヤリスクロスが出荷、販売停止となっています。正確に損失を計算することは出来ませんがカローラとヤリスは、トヨタの中でもトップの売上を誇る車種です。少なくとも6月の1か月分の売上はなくなります。
6月20日に、国交省から7月より出荷、生産の再開ができるかどうかのお達しがあるそうです。
ちなみにデータがある2024年4月のヤリスクロスの販売台数は、7510台でした。新車で購入すると1台で平均270万円です。単純に7510台を掛けると約202億円です。
カローラも売上トップクラスの車種ですが、フィールダーとアクシオは現行モデルよりも1つ古く、ターゲットも法人です。正確な月間販売台数はわかりませんでしたが、2車種合わせても3000台くらいでしょうか。仮に3000台だとし、価格は高くても230万円程度ですので、単純計算で約69億円です。
かなり大雑把な計算ですが、上記3車種合わせて、1か月で271億円の売上損失になります。
トヨタの今期の売上予想は46兆円です。1か月の損失で済むとすると、売り上げに対する損失は約0.0589%となります。今回の不正の件が1~2か月で収束するとすれば、そこまで大きな損失にはならなそうです。
なぜ今なのか?2メガバンクがトヨタ株の売却を検討
6月7日に、三菱UFJと三井住友の2社が政策保有株式を売却する案が出ているとの報道がありました。不正の件が明るみなった数日後の報道なのでタイミング的には最悪です。
2社合わせた株式保有総額は、時価で約1兆3200億円と巨額です。ただ売りは複数年かけて段階的に行うとのことで、市場になるべく影響が出ないように行うそうです。このニュースは場中に出ましたが、現時点で大きな下落は免れました。ただマイナスなニュースであることは事実です。
テクニカル的な買い時はいつか?
200日移動平均線までかなり接近してきています。現時点の200日移動平均線の位置は3045円です。今から約5%下落したところで拾っていきたいところです。
信用倍率高いため上値の重い展開は続きそうか
トヨタにしては信用倍率が高くなっています。短期的な反発はあるかと思いますが、暫く上値の重い展開は続きそうです。
まとめ
結論から言うと、200日移動平均線まで下落するようなら1回目の買いを入れていこうかと考えています。しかしダイハツの不正問題が明らかになって以降、国交省による監視が厳しくなっており、新たな不正問題が出てくる可能性があります。そのため自分は、通常の投資額の半分程度でリスクを抑えて実施しようと考えています。
そして注意点として、トヨタ自動車は現時点での利回りが2.3%(実績値計算)と高配当株ではありませんので、主にキャピタルゲイン(値上がり益)を狙う投資となります。最悪の下落値ポイントは2500円、現時点から約20%下落を想定しています。くれぐれも投資を検討される方は無理をなさらないよう注意して下さい。
※投資は自己責任となります。
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