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「焼肉食べ放題に行きたい」と産後の妻がおっしゃった

ある日、妻が唐突に「あー、焼いた肉をお腹いっぱい食べたい。焼肉食べ放題行きたい」と言った。
ぼくは「あ、これはなにかのサインだ。行かなきゃ」と直感で思った。

このところ、ぼくも妻も日々を忙しくしている。
生後2ヶ月半を過ぎたばかりの娘を妻は愛を持って接している。育休を取らずに働いているぼくも、合間を縫ってはできるだけ家事や育児をするようにしている。がしかし、やはり妻の負担が大きくなってしまう。

花よりもケーキよりも、なにより欲しいのは睡眠時間というのは知っている。が、数時間おきに母乳を与える任務がある妻にそれは難しい。

そんな折、妻が言ったのだ。
「焼いた肉をたらふく食いてぇ」と。

これはぜひ叶えるべきだと思ってさっそく店を探した。どうせなら叙々苑にでもいくかと提案をしてみたら、「いや、いい肉も食べたいけど、食べ放題に行きたい。とにかく、たらふく食いたい」という。なので地元にある焼肉食べ放題を予約した。ランクは一番上だけど5000円未満のところだ。

実家に娘を預ける必要があるので、事前に親と相談してセッティングをする。

2週間後に予約を取ったので、何か疲れたな〜と思ったとき、「来週の土曜日は焼肉だぞ」と唱えてみたりした。これが思いのほか効果があって良かった。

ちょっと嫌なことや気分が下がることがあっても、「まぁ来週は焼肉食べ放題だしな」と唱えることで少し持ち直したりできた。
ワクワクする予定を常にちょっと先に入れておくだけで、日々を楽しく過ごせると気づいた。

当日は準備万端で実家に娘を預け、妻と2人で自転車に乗って焼肉にでかけた。文字通りたらふく食べた。
「あぁ、満たされた。最高。」という妻の言葉を聞いて、ほっとした。満腹で自転車に乗り、近くのカフェでお茶をした。
妻は満足げな表情で
「そういえば、焼肉の時間ほとんど会話してなかったね」
と言った。

そう、僕たちはとにかく肉を焼いたりオーダーしたりするのに必死で、もくもくと食べ続けて会話などまともにしなかった。
会話を忘れる食事ベスト3はカニ、ラーメン、そして焼肉だ。
コーヒーを飲みながら、ここ数ヶ月のことをのんびり話す。
実家から娘がやっと寝ただの、漏らしただの実況LINEが送られてきて、それをみて2人で笑う。

これからも大変なことはたくさんある。育児は夫婦で行う「期間限定プロジェクト」だ。日々の育児だけでなく、たまにはこういう機会を作って妻との時間をとるのも大事だなと思った。

食べ放題を楽しめる年齢って、限られているよなぁ。

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