会社法

企業買収にまつわる「会社法」用語 | #学習メモ

こんにちは。金森です。

今回は、「会社法」にまつわるコンテンツを書いていきます。

いつものコンテンツと毛色が違うのは、会社法のテスト勉強のためにやっているからです。

「ポイズン・ピル」とは?

米国における代表的な買収防衛策の一つ。既存株主にあらかじめ「買収者のみが行使できない」オプションを付与しておき、敵対的買収が起こった際に、買収者以外の株主がオプションを行使することにより買収者の持株比率を低下させたり、支配権を獲得するために必要な買収コストを増加させることで買収を困難にすることを目的とする買収防衛策である。ライツプランとも呼ばれる。日本では会社法上などの規制により、米国のポイズンピルとまったく同じ仕組みは取れないが、いわゆる「事前警告型防衛策」において想定している新株予約権を活用した対抗措置は同じような効果を狙っている。

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「ストックオプション」とは

ストックオプションとは、

会社が従業員や取締役に対して、会社の株式を予め定めた価額(権利行使価額)で将来取得する権利を付与するインセンティブ制度

です。ストックオプションを付与された社員は、会社の株価が上昇した際にストックオプションによって優遇された価額で、定められた数量の株式を取得し、売却することができます。市場での株価との差額が、株式を取得した社員にとっての利益になります。社員は株価が上がれば上がるほど利益が大きくなるので、株価を上げる為に一生懸命働き、それが会社や株主にとっての利益となる、というのがストックオプションの仕組みです。

「新株予約権」とは?

ストックオプションに似た言葉として「新株予約権」があります。

新株予約権とは、

企業が発行する株式をあらかじめ決められた価格で取得する権利のこと

を指しています。このように聞くと、ストックオプションと同じかのようにとらえてしまうかもしれませんが、ストックオプションは、新株予約権の一種となります。新株予約権は単独での発行が認められていることから、一般投資家がこの権利を取得できます。

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「新株予約権付社債(転換社債/CB)」とは?

新株予約権には、「新株予約権付社債(転換社債/CB)」といったものもあります。新株予約権付社債は、株式に転換できる社債のことです。債権所有者は、発行されたときに定めた価格で、一定期間内において株式に転換できる権利を付与されます。株が値上がりした場合は、社債を株に転換することで利益を得ることができ、値下がりした場合は、社債のまま保持することで償還日になれば、額面金額が払い戻されます。

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「グリーンメーラー」とは?

グリーンメーラーとは、

グリーンメール行為を行う投資家

を意味します。

グリーンメールとは、

高値で相手会社の経営陣に買い取らせる目的で、ターゲット企業の株式を買い集める行為

です。つまりグリーンメーラーとは、株式を大量に買い占めて、その株式を発行する企業の経営陣や関係者に高値で買わせる投資家です。

経営権の取得ではなく、最初から多額の売却益獲得を目的として株式を買い占める点が特徴です。経営権支配を目的としてTOBを仕掛けた買収者が、敵対的買収が失敗した事を契機に、途中からグリーンメーラーとなるケースもあります。実際の資産価値と比べて株価が割安に推移している企業は、グリーンメーラーのターゲットになり易いです。株式の買い集めで株主総会での影響力を持つようになり、トラブルを発生させる事が可能となります。

グリーンメーラーは会社に対する影響力を武器に、半ば脅迫の形で高値で株式を買収させます。

※参考:日本的グリーンメーラー(買い占め肩代わり):バブル期によくあった

参考事例:ブルドックソースの防衛策発動

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主にアメリカで開発された手法。

◉事前の防衛策

(1)高株価政策
(2)安定株主工作
(3)ゴールデン・パラシュート
(4)種類株式を使ったポイズン・ピル
(5)新株予約権を使ったポイズン・ピル

一つずつ細かく説明していきます。

(1)高株価政策:企業価値に見合った株価となるような努力。

ex.配当性向

配当性向とは、利益をどれだけ株主に配当するかという割合。配当性向が低いということは、利益を内部留保していることを示す。一般に、成長企業は利益をできるだけ投資に回すことで成長して企業価値を上げるので、成長企業の配当性向は低くなる。一方で、成熟企業は投資を必要としていないため、高い配当性向を市場は期待する。 通常、配当性向は20~30%程度である。

(2)安定株工作:従来日本では、株式の相互保有をしていたがバブル崩壊後、顕著に減少した。従業員持株会の利用。米・欧州では、複数議決権株式

従業員持株会:民法に基づいて設立された組合で、上場企業などの従業員が自分の勤めている企業の株式(自社株)を定期的に購入し、中長期的な資産形成を支援する制度をいいます。
複数議決権株式会社が、1株で1個の議決権がある株式と、1株で100個の議決権がある株式を発行する場合、一般に前者を普通株式、後者を複数議決権株式といい、両者とも種類株式となります。他の株主が普通株式しかない場合、1株で100個の議決権を有する株式を持っている株主は、株主総会で議案の賛否を決める際に有利となるのは当然です。複数議決権株式は、創業者らの経営陣が会社を安定的に経営し、敵対的な買収から防衛する目的で発行されます。

(3)ゴールデン・パラシュート

「ゴールデン・パラシュート」とは:敵対的M&Aに対抗する防衛策のひとつ。敵対的買収を仕掛けられた場合に、企業が経営者に高額な退職金を支払う契約をしておくこと。高額な退職金を支払うことにより企業価値が毀損することになるので、買収意欲が削がれる効果を持つ。(買収を検討していた企業は、これによって買収後の支出を予想し、経済的な合理性から買収をあきらめる、といった効果が見込まれる。)
ティン・パラシュート」とは?買収防衛策の1つであり、企業買収に伴って解雇される従業員に対して多額の割増退職金を支払うことや、就職の斡旋、健康保険契約などを保証するという契約を予め従業員との間で締結することにより、買収者が買収後に従業員を解雇などする場合にかかるコストを上げ、買収の意欲を減少させる方法。役員の退職金として給付する財産については株主総会の承認が必要であるのに対し、従業員の退職金として給付する財産については取締役会の決議だけで済むため、ゴールデンパラシュートよりも機動的に対応することができるという利点がある。

(4)種類株式を使ったポイズン・ピル

転換条項の活用
:無議決権優先株式→議決権普通株式(フリップ・イン型)
:議決権付普通株式→無議決権株式(フリップ・オーバー型)
転換事由:外部者による一定割合以上の株式取得

フリップ・インとは:ポイズンピルの一種で、一定の条件を満たすことを条件として、買収会社以外の被買収会社の株主に被買収会社の株式を株価よりも安価で購入できる権利を与える戦略をいう。
フリップ・オーバーとは:ポイズンピルの一種で、買収された場合に、被買収会社の株主が買収会社の株式を株価よりも安価で購入できる権利を与える戦略をいう。
「無議決権株式」とは?株主総会での議決権を持たない、または制限された株式をいう。優先的に配当を受ける権利を持つ優先株もこの一つとして発行されることがある。配当やキャピタルゲインに関心があるが、議決権を通じた企業への経営参加の意思がない投資家を集めることが出来、経営支配の問題を避けることが可能となる。総発行数量は商法により規定されており、発行済株式総数の1/3以内でという制限がある。

・拒否権付種類株式(黄金株)

拒否権付種類株式は別名「黄金株」とも呼ばれている。黄金株の最大の特徴は株主総会の決議への拒否権を有している点。黄金株が発行されている場合、その会社は株主総会に加えて種類株主総会を開催することになる。そしてそこで黄金株を持っている株主が株主総会の決議を拒否すれば、拒否は不成立になる。このように黄金株は単純に高い価値を持つ株式というわけではなく、持っているだけで株主総会の決議を覆すことができる強力な権限そのものだといえる。ちなみに黄金株それ自体の価値は通常の株式と変わらない。黄金株は2006年の会社法の改正で種類株式が導入された際に発行できるようになったものであり、その歴史はまだまだ浅い。

(5)新株予約権を使ったポイズン・ピル

新株の第三者割り当ての代替として新株予約権(企業が発行する株式をあらかじめ決められた価格で取得する権利のこと)を第三者割当て。

ex)行使条件を外部者による一定割合以上の株式取得とする。

cf)アメリカの上場会社では、新株の第三者割当てには規制。平成26年、会社法改正により日本でも、大規模第三者割当てには規制。

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◉買収開始後の対抗策

(1)パックマン・ディフェンス
(2)クラウン・ジュエリー
(3)ホワイト・ナイト
(4)MBO
(5)他社との合併による規模の拡大

一つずつ細かく説明していきます。

(1)パックマン・ディフェンス

パックマンディフェンスとは、敵対的買収を仕掛けてきた相手に対して、逆に買収を仕掛ける形で買収を阻止する買収防衛策です。(買収者に対する公開買い付け。)パックマンディフェンスを一度開始すれば、大規模かつ全面的な買収合戦となります。
cf)日本版パックマン・ディフェンス:日本でパックマンディフェンスを実行する際には、敵対的買収者の全株式のうち25%超の取得を目指します。経営権を掌握する為には原則過半数もしくは3分の2以上の株式が必要である為、25%という数字に疑問が生じるかと思います。会社法では、株式を相互保有している状況において、相手企業の4分の1以上の議決権を保有する会社は、相手会社の有する相互保有対象の議決権を行使できないとされています。つまり敵対的買収者の議決権株式のうち25%超を取得すれば、相手が取得した当社株式の議決権を無効化出来ます。敵対的買収の場面では、全株式を取得せずとも買収を防げる訳です。

パックマン・ディフェンスのメリット・デメリット

メリット

⑴未然に敵対的買収を防止できる
⑵全株式を取得せずに敵対的買収を阻止できる

デメリット

⑴敵対的買収の阻止に莫大な金額を要する
⑵株主等の関係者から賛同を得られない
⑶非上場会社からの敵対的買収は阻止できない

(2)クラウン・ジュエル(クラウン・ジュエリー)

一般には「焦土作戦」と呼ばれる。2パターンある。

Aパターン:重要な資産の売却

敵対的買収に対する対抗措置の一つで、対象会社が自社でもっとも魅力的な事業部門や資産または子会社を第三者に譲渡したり、分社化することによって、自社の魅力を下げて見せる手段のこと。買収者の買収意欲を大きく削ぐことを目的としている。実現のハードルは相当高い。

<事例>ライブドア事件におけるニッポン放送のポニーキャニオン売却発言→取締役の善管注意義務・忠実義務違反の問題になる

Bパターン:高額配当

高額配当の決定。株式の市場価額を引き上げて、株式の買い集めや、株式公開買い付け(TOB)を阻止。

<事例>
米系投資ファンド(スティール・パートナーズ)が、株式の公開買い付け(TOB)を発表した金属加工油剤のユシロ化学工業と毛織物染色大手のソトーの2社は、年間配当を前年度の14倍以上に増やすなどといった買収への対抗策を打ち出した。株の魅力を高め、現在の株主に株を手放さないよう促す。すでに公開買い付けに応じた株主でも、買い付け期間中で一定の条件を満たせば解約できることも想定している。

(3)ホワイト・ナイト

友好的な企業による対抗TOB(株式公開買い付け)。友好的な企業との資本業務提携。日本ではよく起こる。

対象会社が、敵対的買収の際に自ら友好的な企業の支配下となることを選択することで、敵対的買収者による買収から防衛することを目的としている。ただし、自社を売却するという覚悟が必要であり、身売りの意思表示を公にすることで、さらに競合する新たな買収者を誘引する可能性も否定できない。

<事例>

・日清食品と明星食品の資本業務提携

日清食品は、即席めん4位の明星食品(東証2部)に対してTOBを実施し、資本業務提携し賛同すると正式に発表。TOB価格は870円。明星の14日終値を14%上回り、すでに敵対的なTOBを実施している筆頭株主のスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドの提示価格(700円)よりも170円高い。敵対的、友好的の両陣営がそれぞれの買い付け価格で株主に賛意を問う構図となった。持ち株比率33.4%の取得を目指す。

・オリジン東秀に対するドンキホーテの敵対的TOBと、イオンによる買収

ドン・キホーテはオリジン東秀を傘下に収め、業務提携により「次世代コンビニエンスストア」を確立しようと考える。
→オリジン東秀はドン・キホーテの傘下に入ることを拒む。
→オリジン東秀はイオンと交渉し、イオンがホワイトナイトになることを要請
→イオンとドン・キホーテによるTOB合戦の末、イオンがオリジン東秀を526億円で買収することで決着

(4)MBO[Management Buy-Out]

経営者による企業買収。MBOについては別のnoteにて詳細説明する。

(5)他社との合併による規模の拡大

効果:買収資金の増大。独占禁止法の利用→更なる大規模化が困難になる。

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どこか間違っていたらお手数ですがご指摘頂ければ幸いです。

それでは最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。


※参考資料


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