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(全文公開)自殺率の増加と、コロナと。

コロナは災害か人害か。

日本の10月自殺者数は2,153人。男性は前年同月比で21.3%増えて1302人。女性は前年同月比でなんと82.6%も増えて851人だという。

子どもの自殺も大幅増加しており、中学生と高校生の自殺者は今年4月から先月までで246人と、昨年の同時期より58人、一昨年の同時期よりも42人多い。

厚生労働大臣指定法人「いのち支える自殺対策推進センター」(JSCP)が10月の記者会見で、コロナ禍の自殺の動向について分析結果を報告し、人気俳優の自殺報道や、新型コロナウイルスによる生活環境の変化などが影響している可能性を指摘した。コロナによる死者数より自殺者数が上回っているが、自殺の原因にコロナが関与しているとすればそれもコロナの死者数に含まれるのかもしれない。
いずれにせよ、これだけの人数が自ら命を落としていることは非常にショックだし、特に注目すべきは女性や子どもの自殺が増えているということだ。

日本ではこれまで女性や子どもの社会的地位や権利が低すぎると議論されてきたが、コロナショックが引き金となり、まさにその層が被害を受けているようだ。

自殺者数はウイルスの感染拡大を防ぐため、春に政府が発表した緊急事態宣言の間は低下した。専門家は職場や学校のストレスから離れたせいだとしており、事実こうした集団的な連帯は、戦争や自然災害によっても発生していた。 しかし、経済が再開するとともに、解雇された労働者や、家に居続けなければならなかった人たちなど一部の国民は置いてきぼりにされた。再開した学校では、統計によればいじめが増加し、学業に追いつくためのストレスが加わった。

自殺率は国民の幸福度を知ることができる重要な指標だが、日本は自殺率が先進国の中でも高いことは有名だ。どんなに経済力があっても、自殺率が高いということは、国民の幸福度は低いのだとも言える。
厚生労働省の「平成30年中における自殺の状況」を参照にした全年齢合計の原因ランキングは、下記のようになっている。

1位 うつ病 4,213人
2位 身体の病気 3,258人
3位 その他の精神疾患 1,277人
4位 生活苦 992人
5位 統合失調症 965人

コロナが襲い掛かる前から、原因は貧困やストレス様々であるが、既に多くの「心」の傷で命を絶つ人たちが多かった。そこにコロナが加わり、あくまで拍車をかけている。つまり、恐らくながら間違いなくコロナを収めたら収まることではない。

SDGsが広がるにつれ自分以外に目を向ける機会が一部で増えてはいるように思う。その目を今一度自分自身に、そして自分の身近に向けてみたいと思う。わたし自身、常に穏やかな心の状態ではない。「死」はふとした時に考えてしまう。思い返せば些細なことで、でもその時は決して些細ではないことで本当に命を絶とうとしたこともあった。そして、命を絶とうとしたことがある人も知っている。

何が、できるのだろうか。

まずは、日々の言葉や行動においてほんの少しだけ周りにも目を向けて、それが出来ないときは自分を休ませることを大切にする。そして、苦しみの渦中で生きる人がいる事実に目を向ける。それから…?

「誰一人取り残さない」は一筋縄ではいかない。

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