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五月のうた

緊急事態延ぶる日の午後海集ふ若きら数多江ノ島遥か
陽を遊ぶ水着の娘らはやもゐて梅雨入り匂ふ湘南の浜
釈迦牟尼の哀しき眼に心和ぐ雨の降りしく暗き御堂に
酔ひかすか眼を廻り頭を上げば商ひかこつ酒場の主 
店閉むる話聞きつつフラスコの底舐むる炎しばし見守る
点滴の管に繋がれ同僚は日暮れの窓に寝返りをうつ
月(つく)読(よみ)の羞ぢるかのごと鈍色の薄雲まとひて月蝕進む

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