一月のうた

世を忍び耶蘇の教へを守りゐる家の小径に椿の落花
人里を離れて住まふかくれ等に波の音(ね)やさしけふも変らず
江戸よりのかくれの儀式守りたる老は独り居九十三歳
たなうらに椿の小枝握らせて葬るしきたりこの村は持つ
気温三度椿並木に時雨降り雪の匂ひのほのか漂ふ
軒裏に光の群れの揺らめきて眼の奥のしばしやすらふ
西空の暗き茜にきらめきて飛行機雲のひと筋悲し

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#短歌


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