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冬の雪国を乗り切る方法 〜チート&酒とともに〜

紫波町へ移住して、もう少しで1年が経とうとしている。
こちらで冬を迎えるのは初めてで、「大変でしょ?」とよく聞かれる。
いやたしかに、大変なことは大変だ。
だって冬は、晴れた日も、こうだから。

この時の気温は−1℃くらい。複合施設『オガール』

つもりたての雪は、ズボズボ行きたくなる誘惑に満ちている。

そしてこの後もちろん行きました

冬の朝ルーティーンと必需品

冬は、朝のルーティーンを少し変える必要がある。
まず、20分ほどいつもより早起きしなければならない。なぜならば毎日外に出ると白銀世界、車に積もった雪をはらったり、前夜に雪が降っていないとしても、車のガラスがたいてい凍っているからだ。

そのため早めに車のエンジンをかけておいて、「暖機運転(だんきうんてん)」をする。エンジンに負荷がかかるためにと推奨されているようだが、現代の車はそこまで必要ないとか。でも窓ガラスは凍っているので、エンジンをかけてエアコンの風を窓の方に送り込み、窓の氷を解かす時間は必要なのだ。急ぎのときや凍り方がひどい時は魔法の「解氷スプレー」を使う。

強そうじゃろ

そして雪がふったとき、まず一番最初に必要になったのがこの人。

公用車のため、職場で支給いただいた

正式な名称はいまいちわからないけれど、とにかく、「車から雪をおろす棒」だ。掃き出すブラシと、大小のスクレーパーがついていて、伸び縮みする。車のフロントガラスやボンネット、天井などの雪を払うには、とにかくこれがないとどうしようもない。凍っているところはスクレーパーでガシガシ。傷つかないかな…?といまだに少しヒヤヒヤしてしまう。

冬のホームセンターで、雪かきシャベルの多様性に出会う
便利グッズにも多様性

1月に入って、毎日の天気予報でみる気温は、最高気温でも大体マイナスだ。
冬の雪国は、とにかく「水道の水抜き」をしなければならないと言われる。水抜きとは、水道管の凍結や破損を予防するために、あらかじめ水道管の水を抜いてからにしておくことだ。
水道凍結指数なるものがあることも初めて知った。

盛岡わい!

引っ越しのとき、水道屋のおじちゃんには、目安は大体、ー4℃を下回るかどうかだと言われた。それでいくと、ここ数日、夜中は毎日しなければいけない基準値だ。

チートだらけの雪国生活 ①水抜きボタン

私が今住んでいるのは新築のアパートで、魔法の水抜きボタンがある。ボタンを押して、蛇口を開けると水道管に残っていた水を吐き出してくれて、その後蛇口を閉めておけば水抜き完了。チートですみません。
あ、チートって、「ズルをしてる」っていう意味です。

水抜きを終えて「給水」に戻したあとに蛇口をひねると、
「ぐぉぼっ、ごぼごぼっ!」と苦しそうに水を吐き出す。
人がしばらく息を止めて水を吐き出すみたいな音で申し訳なくなる

とてもていねいに水抜きの解説をしているアート不動産さんのサイトが参考になる。水の出どころが多いほど水抜きは大変そうだ…!

チートだらけの雪国生活 ②電動式・灯油ポンプ

ワンルームの我がアパートにはエアコンがあるけれど、3月に移住した時もエアコンだけでは寒かったので、石油ファンヒーターを導入した。
いやー本当にこれはあったかい。

我が家は、隣人の寝息が聞こえるほど壁が薄い…?と思っていたのですが(まじでか!?と思われるけど、まじで聞こえるときがある)。
断熱はかなりしっかりしているようで、ヒーターつけているとかなりあったかい。灯油はホームセンターなどで2タンクほど買っておく。ストックがないと灯油切れという恐ろしい事態が待っているからだ。

灯油を補充する時、電動で灯油を吸い上げて注入し、程よいところでストップしてくれる電動式のポンプを使っている。

スイッチをひねると吸い上げてくれる

本当は、こういう一つ一つの細かい手間を厭わない、ていねいな暮らしができる性格の人間に生まれたかったけれど、私は自分の面倒くさがりっぷりを知っているので、課金。

慣れた東京でなら、少し寒々しそうなアパートでも暮らせそうだし、古民家暮らしにも憧れはあるけれど(これは絶対に寒い)。雪国での一人暮らしでは全ての勝手がわからず、引っ越しの際はいくつかの選択肢から、好みの間取りや広さよりも「新築、駅チカ」の条件を優先し、安全をとることに。
その結果、現在断熱性にも助けられているのか、毎日の水抜きも必要なく過ごせている。新築すごい。

自分自身を厳しい環境に晒すとあっという間にへたれてしまいそうなので。「どんなところでも住めるワタシになる!」という憧れは早々にしまっておくことにした。まあ、アラフォーの移住においては、特に大事なことなのではないでしょうか。

「冬の楽しみ、見つけないとね」

ある方に言われた言葉だ。

やはり冬の寒さは厳しい。なぜか先月かわいいスニーカーを衝動買いしてしまったのだけれど、雪深い今の時期には到底履けそうにない。ああ、春が待ち遠しい。だけど冬には冬の楽しさがある。

そう、「藤屋食堂」の鍋焼きうどんとか。うますぎる

冬は「酒」の季節

紫波町には、日本酒の蔵が4つある。
縁あって先日、月の輪酒造店さんを見学させていただいた。

1886年創業、歴史が深い酒造店
この日の朝は、600kgの米を蒸していた
蒸し上がった米を機械にうつし、エアシューターを通じてタンクに送られる
そして培養された酒母に、米と水を混ぜていく作業
この日は、三段仕込みの3回目の追加の日だそう
おいしくなあれ

そして売店で買ったのはこちら。製造工程を見ると思い入れが増します。

左は新酒、右は「吉田類の酒場放浪記」で吉田類が推薦していたというお酒

こちらは新年に、家族と美味しくいただきました。マジで美味しかった…!

こんなに美味しいお酒を飲んだり、酒造りの現場が身近にあると、酒への興味がどんどん増してくる。仕事や生活の中で、「酒」にまつわる話を聞いたり、(飲んだり)する機会が圧倒的に増えてきて、もっと日本酒のこと知りたいなあという気持ちが高まっている。

今年は、自分がもっと日本酒を楽しむために、日本酒の知識を高めたいなと思ったりもしていて。テキストを流し読みし、紫波町でなんとなく耳にした知識だけで挑んだ結果、「日本酒検定5級」に合格した。

いやこれは一番低い級なのだけれど。専門知識が問われる問題にもかかわらず紫波町にいるだけで酒用語が少しずつ身近になっているのがすごい。
というか、これは唎酒師公務員や、日本酒スペシャリスト・発酵食品ソムリエ資格も持っている酒好きさんの隣で働いている影響が大きい。この人たち、酒好きすぎなんだよなあ。
冬の楽しみはまだ色々とあるはずなのだけれど、どうしても酒寄りになってしまうサガ。

「本当の雪国の生活ってこんなもんじゃないのよ」と怒られてしまうかもしれないけれど、移住も介護も、「自分にとっての生きやすさ」を探すことが大事なのかもしれない、と都合よく考えたりしている。
チートしたり、楽しみながら冬を切り抜け、またスカーンとした壮大な空が待ち遠しいものです。

11月くらいの気持ちいいドライブ日和

※ なお、冬場は5km圏内くらいまでしか運転したくないなと思っております

おまけ。

バッテリー上がっちゃった車はこうやって直すのか…の図

友人の車をヒーローが救出する現場を見学。
頼れる人がいるならJ○Fさんを呼ばなくていいのか…。

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初のエッセイ本を出版しました。

Podcast『移住ZINE』はじめました。

岩手県・紫波町に移住して思ったことを、ときにゲストを交えておしゃべりしています。いつかZINEにしたい。SpotifyやApple podcastなどで聴けます。


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