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「女王の街」で建築散歩ーフラデツ・クラーロヴェー

クイズ。この建物は、なんでしょう?

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①公民館

②語学学校

③教会墓地


正解は...。

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*

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デデン。

③の教会墓地、でした。

非常に日本語訳しづらい名前だが、「アムブローシュ司祭教会」または「チェコスロバキア・フス教会 」とも言われるようだ。


この場所で私は、新たな「弔い」の形と出会った。
なんだか、とても胸を打たれてしまった。

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ちょっと見えづらいが、写真の右下に、格子状に見えるガラス窓、そして台に乗った人が見えるだろうか。

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あまりアップの写真は控えるが、このガラス窓の一つ一つがお墓になっている。ここに故人の骨壷や写真、お花などが飾られていて、誰でも見ることができる。台に乗った人はおそらく遺族の方で、お墓の手入れをしているのだろう。ガラス窓の中は一人のものとも限らず、家族だったり夫婦だったり、季節感のあるものが置いてあったりもする。その窓の一つ一つに、故人と、その故人を想う人の手を感じて、なんだか涙が出てきた。弔いの形というのはさまざまあるもので、日本のそれとは随分違う。明るい、その人の人生を感じるような弔い方、私は好きだ。

いきなりお墓の紹介から入ってしまったけれど、フラデツ・クラーロヴェーには、一見なんの建物なのかわからないユニークな建築がたくさんある

私がこの街にたどり着いてまずはじめに行ったのは、伝統的に手作業で作るピアノメーカー【PETROF】のギャラリーだった。

まずここを訪れたことで、のちにフラデツ・クラーロヴェーの街を歩いたときにはその佇まいがますます引き立った。この街はどうやら、気取っているわけではなく、高貴なのだ

共和国のサロンを3時間で歩く

フラデツ・クラーロヴェーという街は、翻訳すると「女王の街」。19世紀末に要塞が解体されたのを機に、20世紀初頭にこの街は建築の観点から街を発展させようという都市計画がなされ、ヨゼフ・ゴチャールをはじめ数名の新進気鋭の建築家によってさまざまな建築様式の建物が組み込まれた。交通量が増えても中心地は機能的で平和的でありたいというコンセプトのもと、この街は「共和国のサロン」と賞賛される街となった。共和国のサロン…名前だけ聞いてもいまいちピンと来ない。一体どういうことなのだろう?と思いながらルートを歩いてみる。私の辿ったルートはざっくりとこちら。

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「START」地点のBono Publicoという階段から9番のウルリッヒ広場を経由して、最終的に最後のフラデツ・クラーロヴェー駅まで、全部でだいたい3時間ほどの散歩ルートです。

美しき階段から広場へ

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階段の途中に天窓があり、思わず立ち止まって誘い込まれるような空間にうっとりする。

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名残おしくゆっくりと階段を抜けた先には、

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すぐに広場が広がり、左手には教会とそびえたつ塔が見える。

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色合い…が…最高か…。パステルカラーの中にパッと目を引く赤。なんだかセクシー。

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左側に見えるのが「聖なる御心教会」。そして右側が1574年に建設開始されたといわれるホワイトタワー。旧市街広場内、ホワイトタワーの手前にインフォメーションセンターがあるので、フラデツ・クラーロヴェー周辺地図や、共和国のサロンルートの地図などを手に入れておくと安心だろう。ちなみに土日にインフォセンターがやっていない時期もあるので予定を組むときは要注意。

あれ、でもそんなにホワイトってうたうほど白くないぞ…?どうやら建物の素材である砂岩が白いことからこの名前がついたそう。

ホワイトタワーに登って街を見下ろしてみる

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高さは72m、階段は226段。ぜえぜえと言いながら上がっていくと途中に巨大な「アウグスティンの鐘」がある。こちら、チェコで3番目に大きい鐘だそう。重さはおよそ8t!

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上から見下ろしては、主人公がピンチのときに敵に追い上げられながら登って、落ちかけたりしながら最終的に勝つところだな!(伝わります?)と興奮してみたり。

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ゼエゼエしながら階段を登って最上階にたどり着いて、このドアを開く瞬間が好き。

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わぁ〜〜〜〜〜…………っ。

見渡して、どこを切り取っても、さまざまな建築様式がミックスされた街だとわかる。

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226段登った甲斐もあって、風景の気持ちいいこと!さまざまなこの日は天気がよかったこともあり、最高の見晴らし。

Bílá věž (White Tower)
住所:Franušova 168/1, 500 03 Hradec Králové
入場料:大人 70CZK(約330円)
営業時間:月ー日 9:00-18:00(最終入場17:00)
ただし通常、毎月第一土曜日は20:00-24:00までのナイトツアーを実施している。(最終入場23:00)

ちなみに日の出をみようというツアーもあるようなので興味のある方はオフィシャルサイト(英語)もチェック。

二つの川が走る「ジラーセク公園」

広場を抜けて少し下った先には、ラベ川とオルリツェ川という2つの川が走る間にあるジラーセク公園がある。これがまた手入れの行き届いた豊かな公園。

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公園内の一角に「聖ニコラス教会」がある。1605年に現在のスロバキアのハブラ村に建てられ、1740年に別のスロバキアの村に、そして1935年にこちらの公園に移築されたのち、2019年に再建が完了したばかりだ。これ、全部木でできているのだが、再建により防火対策を施した構造になったようだ。
中を見学するには事前予約制のツアーに申し込む必要がある。日数が限られているようなので中を見たい方は注意。

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森のなかに夢みたいなステージを発見。これは友人のピアニスト栗林すみれちゃんにぜひコンサートをしてほしい空間…!と一人で興奮。森が似合いすぎる彼女にぴったりすぎる場所だなぁ。もちろんPETROFのピアノでね。

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そして川沿いになんとも可愛らしい建物が見えて…これはなんだろう?と近づいてみると。

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これ、なんと「水力発電所」なんですって。え、まじですか?今回の旅中で、事前予想を裏切ってくれた建築物ナンバーワンに認定。1914年頃に建築されたアールヌーヴォー様式の建築。時計塔にある「Gの文字を持ったライオン」がフラデツ・クラーロヴェーのシンボルなのだそう。

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それにしても時計も建物の様式も可愛すぎません?

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ラベ川沿いを歩くのも気持ちがいい。ちなみにあたたかい季節では川のクルーズも楽しめるようなので、観光センターなどで聞いてみてもいいかも。

フラデツ・クラーロヴェーの都市計画をつくったヨゼフ・ゴチャールの建築

川をわたった先すぐに見えるのは、この街の都市計画を作った建築家ヨゼフ・ゴチャールが設計した学校。写真の建物のほか周囲の学校関連施設も彼の設計だ。

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ヨゼフ・ゴチャールはチェコ・キュビズム運動の先駆者とも呼ばれ、プラハで有名な「黒い聖母の家」を建築した人物。「キュビズム博物館」と「グランド・カフェ・オリエント」がある建物といったほうがピンとくる人もいるかもしれない。ここからいくつか、ヨゼフ・ゴチャールの建築が続いていく。冒頭に書いた「アムブローシュ司祭教会」も、公園を抜けて、学校の少し先にある。

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Kolumbárium, Sbor kněze Ambrože (Church of Priest Ambrož)
住所: Ambrožova 728 a 729, Hradec Králové

そして新市街の中心地となる「ウルリッヒ広場」まで足を伸ばしてひとまず終了。

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このあと電車で次の街へ移動する予定だった私は、ここから駅まで1キロ程度だったので歩いてみることにした。バスでも5分ほどで行くことができる。

チェコ・デザインの雑貨たちと出会う

しかし歩いてみると、やはりいい出会いはあるもので。駅にほど近い場所に、チェコでデザインされた雑貨やハンドメイド品などを中心に扱うお店を発見。こういうのが嬉しいんですよね〜。

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デザイナーの商品自体はもちろん面白いけれど、ディスプレイもキュート。クリエイターをサポートするお店や環境があるっていうのは、デザイナーにとっても観光客にとってもありがたいことだ。となんとなく感謝。

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Tvůj PROSTOR
住所: Gočárova tř. 1265, 500 08 Hradec Králové,
月、水、金 10-17:00
火、木 10-18:00
土、日 定休
https://www.instagram.com/tvujprostor/

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フラデツ・クラーロヴェー近郊にも魅力的な街がたくさん

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プラハーフラデツ・クラーロヴェー間はおよそ鉄道で1時間。見所は他にもたくさんあるので、ゆっくり一泊してもいいし、近郊のパルドゥビツェ・フルディムと合わせて訪ねてそちらに宿泊するのもおすすめです。
マリオネットの博物館があるフルディムや、ジンジャーブレッドの体験もできるパルドゥビツェ。

フラデツ・クラーロヴェーで宿泊したホテルはこちら。


※情報はすべて2019年10月時点のものです。
こちらの旅費宿泊費はチェコ政府観光局に負担していただいております。

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