夢の「ZINEづくり部屋」-ZINEづくり部通信
ZINEづくり部シーズン2が終了した。
木曜クラス・日曜クラスの受講生を合わせて、ひとまず13冊のZINEが完成。日程が合わなかった受講生の印刷を数名残しつつ、とにもかくにも仕上がった!毎回ながら土壇場で仕上げてくるみなさんの火事場のナントカヂカラがすごい。やっぱり創作の一番のタネって「締め切り」だ。
自宅の一角に「ZINEづくり部屋」を設立
私は現在、平屋の一軒家にひとりで住んでいる。一人暮らしというと、キッチン+リビング+寝室とバストイレがあれば住まいの機能としてはほぼ十分。そのうえで、この家にはなんと和室があと2室ある。これは使わない手はないだろうということで、ZINEづくり作業がしやすい部屋にしようと思った。
まずは作業机だ。六人くらいで囲める広めのテーブルが欲しい。そして長年憧れていたのは、ソーホースブラケットを使って足をつくり、板を乗せるタイプの、解体可能な作業台。
完全にDIY初心者の私はインパクトドライバーの使い方もままならず、DIY有識者に相談していたらDIY先輩が通りすがり、丁寧に教えてくれた。
というわけでできた!足が。
そして職場の先輩にご協力いただきながら天板を選び、さらならDIYを重ね…
完成!
夢の広めテーブル。私は別の部屋に作業机があるのだけれど、ふしぎなもので広い机がどーん!とある部屋に、私もついつい吸い寄せられて仕事や作業をしてしまう。昔から自室の机よりもリビングのテーブルのほうが作業がはかどるタイプだったけれど、机は広いほうがやっぱり好きみたい。
ZINEづくり部 in ZINEづくり部屋スタート
まずは講座の間に「作業日」を設け、部員の人たちをご招待してみました。
工作作業をしたり、物書き作業をしたり。
合間に、縁側でたそがれたり、「煮詰まったのでお散歩行ってきます」といなくなったり。
そしていざ、シーズン最終日の「印刷日」を迎える。原稿の微調整に取り組む人や、印刷を終え仕上げの断裁・折り・製本作業をする人など。
この家にたまたまあった「こたつ」も作業台として活躍。この部屋で写真撮るといつも「合宿所」感があって気に入っている。
そうやってどうにかこうにか、それぞれのZINEが出来上がった。
部長の私としては、自宅の一角を使ったZINEづくり部屋が機能しはじめたこと、作品を仕上げた人たちがまた嬉しそうに自分の作品を見せ合って、読み合っていること。カッター作業やらうまくいかない作業にわーっといら立ってしまう瞬間があったりして励ましあったり、そんな時はお菓子食べてコーヒー飲んで息抜きしたり。そんな部室みたいな時間にジーンとしてしまう。
「作る人しかいない」空間だからこそ、そこで起きることは誰にとっても他人事ではない感覚がある。仕上がった作品を見るだけでも「あれいいなあ、参考にしよう」と取り入れたり、自分がたどった失敗を誰かに話すことで知見がたまっていったり。教わった技術を誰かに教えることで広まっていったり。なんだ? いい影響しかないじゃないか。
私が主宰するZINEづくり部においては、「販売や量産を見すえずに作るZINEがあっていい」という考えのもとやっている。自分が書きたい・描きたい・作りたいものをあらわすのと、販売や量産を考えるのは、スタート地点では切り離れていていいと思っているから。別にどちらが先行でも良いのだけれど、たとえば表紙を手書きするとか手縫いするとか、一点ものだからこそできることもまた尊いステップだと思っている。
ZINEづくりデータ(部内調べ)
はじめてのZINEづくりでは、だいたいA4用紙二枚くらいでできるZINEを推奨している。A4サイズを半分に折るとA5、そのまた半分がA6サイズなのだけれど、A5サイズなら8ページ、A6サイズなら16ページのZINEができる。
原稿作成方法編
-CANVA
-Microsoft Word/Powerpoint
-iPad
-アナログ・手描き
ZINEづくり部生が一番使っているのはCANVA。フリーソフトで自由度が高く、イラスト素材などもあったりして便利なよう。ちなみに部長はCANVA使い手ではないため細かいレクチャーはしていません。経験者はイラレ・Photoshopも利用しています。
原稿を作るために必要なプロセス
A6サイズのZINEを作りたいなら、
①A6サイズのアートボードを作って1ページずつ原稿を作る
②それをpdf化する
③ページの順番に並び替えて印刷する。
基本ステップはこれだけ。
②は①の使用ソフトからの書き出し形式でpdfが選べれば一発だし、画像形式で書き出したあとにpdf変換するツールもあるし、 ③ページの順番の並び替えは、Macの場合は「プレビュー」ツールでできる。Officeの場合でもpdf編集ツールはフリーソフトがあるのと、そこのステップはパワーポイントでやっている、という方もいた。
あまり詳しいノウハウはここには書かないけれど、ノウハウと言っていいのかわからないくらい、そこまで複雑なことはしていません。(ページ数が多いとテンパってしまう講師です)
ZINEづくり人気用紙ランキング(部内調べ)
*紙の世界は沼すぎるのであくまで私が持っている紙から基づいたデータです。
本文用紙編
-フロンティタフ 56kg
最近はじめて使い始めました。雑誌のようなざらっとした手触りが気持ちいい紙。写真もとても綺麗に発色して感動!56kgという厚みもライトで、とてもZINE向き。
-アラベール
みんな大好き、質感があるけれど比較的安価に入手できる人気用紙・アラベール。スノーホワイトやナチュラルなどの白系は鉄板ですが、部内では少し緑がかったセージグリーンも人気。表紙と本文を同じ110kgでまとめる仕様もとてもすっきりして良かった。
-書籍用紙 90kg
きなりがかった紙は文庫本を彷彿させ、エッセイや文章メインのZINEに向いている。
-新鳥の子
マンガを描く人が好んで使っている和紙風の手触りある紙。版画や手作り感のあるイラストが向いている。
表紙用紙編
-ファーストヴィンテージ は、その絶妙な色合いとクラフトのザラザラ感で人気のある紙。モノクロで印刷を載せるだけでかなりレトロな仕上がりになる。
NTラシャやタントはとにかく色数が多いので、紙見本をめくっていてもテンションが上がってしまう。
そして仕上げにみんなが使いたがるのはトレーシングペーパー。
外に1枚かませるだけで素敵に仕上がるし、トレペに印刷するのも素敵。
薄めのトレペをグラシン紙のように巻いて、小書店にある文庫本みたいな趣を出すのも素敵。カラートレーシングペーパーもあるし厚みも色々なので、本当に使いようだ。
今シーズンのラインナップは、エッセイ、マンガ、イラストブック、小説、ゲームブック(ポケモン)…などなど、ジャンルでくくりがたいくらい多様な作品がそろった。
制作環境としては、基本的にはキャノンのインクジェットプリント。ただ前シーズンから参加している経験者のお二人は今回、中野活版印刷展さんのリソグラフ印刷にも挑戦した。
作ったら、販売をしたくなった。そうするとある程度の数が必要になり、さらに精度も上げていく必要がある。そうやってさらなる印刷・紙加工の沼へと沈む、もとい世界へ飛び立っていくことでしょう....
どんどん進化していくZINEづくり部。
現場からはいったん、以上です。