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時をかける父と、母と

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若年性認知症の父と、がんで逝った母について、30代の私が記録したエッセイ。幻冬舎×テレビ東京×noteのコミックエッセイ大賞にて準グランプリを受賞。
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2020年9月の記事一覧

認知症の父から見える世界

私の父は若年性認知症だ。そして私は現在35歳。要介護3となった父は有料老人ホームで暮らしている。 「さくやがきてくれて、この生活に光が見えた」 有料老人ホームに入所したばかりの父が、訪れるたびに私に言った言葉だ。新しい暮らしが嫌だという文句を言わないかわりに、父は何度かこう言った。それを聞くたびに私は、ほんのり心が暖かくなりつつも胸が痛んだ。 そしてその言葉の意味を考え、父から見える世界と私の役割を想像してみた。それはこんなイメージだ。 「光」の意味をしばらく考えて、