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呪いなんていうものがあるとは知らなかった

呪いだったのか。

わたしは、もうすぐ50歳になるけれど、独身だ。
わざわざクズな男を選んでしまう。
いや、クズにしてしまうのかもしれない、なんて思っていた。

母は一度目の結婚は仕事をやめる、虐待。(その男の存在に記憶なし)
二度目の結婚は仕事をやめる、ギャンブル、借金、アル中。(死んだ)
姉は薬中の男と結婚し、借金。それを2回。(姉は行方不明)
こんな家族をもって、自分はろくな結婚なんてできないだろうと思っていた。

けど、それはどうやらちがったようだ。

ことしに入って、祖母の名義の不動産(建物)に母が住んでいたので、相続登記をした。相続人は10人、その内いとこは6人。
何十年もあってない、縁が切られていた人たち。
相続登記が終了した時点で、いとこと電話で話す。
それぞれの口からでてくる、親を憎む言葉。
みな共通している、誰にも理解されないそれぞれの孤独、それぞれの呪縛。それぞれの傷を抱えているけど根底は同じだと感じた。
みんな笑いながらもどこかとがっていた。

一人の女のいとこが言った。(母の長男の長女)
「うちの家系は、愛情を知らないの。祖父母の子たちはみんな愛情を知らないの。だからその子供たちも愛情を知らないの。これは〇〇家の呪いなのよ」

なるほど。呪いだったか。どの代からの呪いかは知らないけど、なんだか腑に落ちた。

わたしは付き合う人、付き合う人から「あなたは誰も信じてない」と言われてきた。「信じてほしい」何度も言われた。その度に「信じるってなに?」と聞いた。誰に聞いてもなんだかピンとこないままだ。
愛とは信じることなのだろうか。人は何を愛というのだろうか。わたしは愛を知らないのだろうか。

誰かと付き合ったり別れたりするたびにそんなことを思っていた。自分を変えようと考えあぐねいていた。
だけどあれもそれも呪いだったのなら、考えてもしかたない。
自分と向き合うようより呪いを解く方がずっと簡単なような気がする。


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