見出し画像

治安を守っているのは沈黙と陰口か

日本の文化と社会の雰囲気に、なんだか悲しくて悔しくてにわか絶望したできごと。


先月、アメリカでの留学生活を経て3年ぶりに日本に帰ってきました。

逆カルチャーショックがあるよって言われていた中、特に辛い思いをすることもなく暮らして1ヶ月。

泣くほどショックな出来事がありました。


1. コロナに対する価値観の差異

カルチャーショックまではいかなかったけど、コロナへの対策・対応の違いが大きな驚きでした。

まず、日本に帰ったら、黙食という概念がありました。
ディスタンスや20秒の手洗いより徹底されている。
公共交通機関でも、あまり喋らないほうがいいんだよって、母や妹にも言われました。
しかしこれが私には理解できなかった。

距離を取っていない時点でみんなあんまり気にしていないと思っていたのがひとつ。
そして、マスクをしているのなら唾が飛ぶわけじゃない、話しても話していなくても大して変わらないんじゃないかと。


2. 妹とお出かけ

帰国してから実家で過ごせる期間は1ヶ月。妹と出かけられていないことが唯一の心残りでしたが、残り1週間というところで、やっと妹とまとまった時間が取れました。

4つ下の妹とは友だちのように仲良し。一緒にいなかった3年の年月を経て成長したのもあり、喧嘩しなくなったどころか、妹愛がとてつもない。

ご想像の通り、3年の積もり積もった話題で何時間一緒にいても話が尽きません。おしゃれなカフェに行って、プリ撮って、ショッピングして。
くだらないことも言い合って笑い合いながら半日を過ごしました。


3. 帰りの電車で

暗くなる前に電車に乗りましたが、人の数にびっくり。平日の帰宅ラッシュ直前くらいだと思いますが、満員電車とは言わないまでも、コロナでこれだけギューギューに乗るのかと…。

座る場所はないので立っていつものように楽しく喋っていましたが、
妹が携帯を取り出して何かを打ち始めました。

ー隣の人の傘が足に当たる

「どの人?移動する?」

多分もう大丈夫、というので気にせず話していたら、また携帯。

ーちょっと静かにしよ

「え、なんで?」

ーうっせぇーって言った

「誰が?さっきの人?」

ーうん。めっちゃイライラしてる

「何も聞こえなかったよ」

ーちっちゃい声で


ほんとに?
ちょっと信じられませんでしたが…。

一方的に話してるのが不自然かと思い、わたしも妹の携帯に返信し始めました。

ーうちらが動けばよくない?

ーまあたしかに

ーまあちょっと勉強でもしてて。
  急に静かになったら不自然じゃん


妹は英語の小さい本を取り出して勉強を始めました。

でも急に静かになって変に思われたくなかったし、せっかく楽しく過ごした帰り。まだまだ話したいことはたくさんあります。
妹はほぼ無視していましたが、わたしは黙っていられず、ちょこちょこ妹に小さめの声で話しかけたり独り言を言ったり。


4. 事件

わたしたちが降りる駅まで15分くらい。
このあたりで多くの人が降りて人が減ってきます。

その女の人も、降りるそぶりを見せたのでわたしは道を開けようと端に寄りました。


ドン


ん、?
肘が当たった。

振り返って、一瞬考えて気づきました。

え、わざとじゃん。

妹と顔を見合わせてびっくり。


その1分後、
涙が。溢れて、マスクの中に吸い込まれていきました。

涙が、止まらない。


なんで?失礼すぎない?

なんで?言えばよかったじゃん。

なんで、日本人はこうなの?
言わないで、当たる方が、失礼じゃん。


5. 日本、なんとかせねば。

何の涙かよくわかりませんでした。
でもなんだか、悔しかったんです。

その人へ対する怒りとかではないと思うんです。

30歳くらいの人でしょうか。
仕事帰り、いろいろストレスがあったのかもしれません。

わたしだって、話さないべきことは知らなかったにしろ、母や妹に言われたことをもうちょっと真剣に捉えているべきだったのかもしれません。


でも、「静かにしてくれませんか」って言ってくれれば、静かにします。

どうして、言わないの?

どうして、日本の文化は言わせてくれないの?


日本人が、そういうことを直接言わないのは知っています。

わたしだって日本人だから、相手に直接いうことが失礼だということもわかります。

でもだからって、物理的に攻撃するんですか?

それって、黙って手を出すって、もっと失礼じゃないですか?


そういう環境で育ったのか、
そういう教育がされてきたのか、
素直になってはいけない、日本。
口に出してはいけない、日本の文化。

尊敬、丁寧、上品、寡黙、安全を守るそんな美徳が、
結局社会に良くない影響をもたらしているかもしれない日本。


なんだか、危機感を覚えました。


なんとかして、日本を、変えなきゃ。




2021/3/26

サポートいただいた方には、必ずご連絡します☺️💫