ある日のファミマでのはなし

最近、昔の自分を振り返ることが多いんですよね。その時に、浪人中にファミマで働いていた自分を思い出しました。そこで、僕が浪人中にファミマで働いていた時の自分語りをしようと思い至りました。もしお時間があれば、お付き合いいただけたら幸いです。

初めて僕がアルバイトをしたのは、18の春。
受験した大学に全部落ちて、「浪人生」になった僕は予備校に通いながら、最寄りのファミマで早朝バイトとして働きはじめた。多くの同級生が晴れて大学生になるのを横目に、僕は浪人生コンビニアルバイターとして新たな生活のスタートを切ったのだった。

コンビニでのバイトにも慣れはじめたある日のこと。
僕はあるおじさんに、ポイントカードの有無を聞き忘れてしまったために、ポイントを付けることができなかった。すると、このおじさんは「どうしてくれんの?」と怒気をはらんだ低い声で凄み、僕に詰め寄った。このおじさんは色の付いた眼鏡をしていて、とても厳つい。本当に怖かった。怒らせてはいけない人を怒らせてしまった。そう思った。

他人に叱られた経験がほとんどない「良い子ちゃん」だった私は、その場で固まってしまい、ただ小声で謝ることしかできなかった。その時、公衆の面前で叱られたことによる恥ずかしさと恐怖でいっぱいだった。

たかが数ポイントを得られなかったことで、そこまで怒るのは大人気ないように見えるかもしれない。でも、このおじさんは朝から晩まで働いて、一生懸命家族を養っているのだから、一介の浪人生アルバイターである僕なんかよりもはるかに大人なのである。だから、大人気ないと考えること自体不遜だと思った。もっとも、自分の落ち度なので、ご指摘を受けるのは当然だった。

その日、予備校に向かう電車のなかで、かなりへこんだ僕は考えた。

自分の価値って何だろう?

毎朝うちのコンビニを利用するおじさんたちは、一生懸命働いて家族を養っている。それに比べて、地域で一番の進学校に通わせてもらっていた僕は、人より少しお勉強ができるだけで、何も出来ない人間だ。まして、そんな人間が親のお金で予備校に行かせてもらっているのだから、救いようがない。仰々しい肩書きを取ったら、自分には何も残らない。自分は無力な存在だと。恥ずかしながら、このおじさんにお叱りをいただいて、そのこと初めて気づくことができた。何もない浪人生アルバイターだったからこそ、真に腑に落ちたのかもしれない。

このできごと以降、2つのことを実践するよう心がけている。(できていないことも多いので、そこは反省点だと思っています。)

1つめは、自分にサービスをしてくれた人には感謝を伝えること。「ありがとうございました」というように。それは一生懸命働いている人はみんな素晴らしいと思っているから。

2つめは、どんな人や状況であれその人の言うことを最後まで聞き、一旦受け止めること。あの時に、どんな人であっても自分より優れている点をいくつも持っていて、一生懸命生きていることを学んだ。そんな相手の言うことを無下にするのは、とても失礼だと思う。だから、人の話を最後まで聞いて、自分のこととして受け止めるようにしている。

あの半年間で稼いだ20万円は某大学の入学金になったけれど、これほど価値のある20万円はこの先もうないと思っている。

P.S. ファミマの思い出の曲
ファミマの店内では流行歌が流れている。そのなかで最も印象に残っているのはあいみょんの「君はロックを聴かない」だ。決まってトイレ掃除をする時間に流れるので初めは無性に腹が立ったのだが、何度も聞いているうちに脳内リピートし、口ずさむまでになった。やはり名曲というのは、他の歌にはない強烈なインパクトを残すのだろうか。

長く稚拙な文章にお付き合いいただきありがとうございました。
読んでくださりありがとうございます。

それでは

松本城


夜の松本城 いちばん散歩が楽しいまち



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