昨日出会った、君は誰だ


 昨日の暑さのことを炎天下と言うのか、それとも厳しい残暑と言うのか。君に出会ったのはそんな危険な暑さの日だった。

 暑さで空気が少しゆらゆらとゆがんで見える様な真っ青な青空の下、道路を歩いていたら君に遭遇したね。普段はなかなか会わない、いや、会ったことがないかもしれないな、君はこんなにも有名だと言うのに。シュッとしてスタイルが良くて、小顔でスタイリッシュだった。ベージュ色をまとっていたのが意外だったけど、緑が似合うだなんてのは私の思い込みだったんだね。

 君は夏の暑い空気と地面をもろともせずに歩いていた。私を見つけるとささっと走って逃げてしまったね。大丈夫、パパラッチじゃないから撮って食べたりはしないから。差し入れをする訳にもいかなかったけど、おしりをプリプリ振っている姿はかわいらしかった。あっという間にどこかへ行って見えなくなってしまったね。

 君は4本足で歩いていたけど、つながれてはいなかったね。近くの犬は外で暑そうにお昼寝していたよ、あの白い大きめの犬はいつ見ても寝てるんだ。そうそう、君は飛ばなかったね。羽は生えていないみたいだし、鳴き声も聞かなかった。毛も生えていなかったね、見た目はつるつるの表面だった様に見えたけど、きっと近づいたら小さい何かがたくさん並んでいるんだろうね。水浴びは好きなのかな。出会った場所はあの暑いアスファルトの上で、草むらでもなかったよね。しっぽは体の続きみたいに立派で5本目の足みたいにも見えたけど、あれはしっぽに違いないよね。最初は動きが速くてシャシャっと足下に現れたからヘビかと思ってびっくりしたけど、そうじゃなくてほっとしたよ。長くてにょろにょろしたのは苦手なんだ、私の勝手だけどね。

 

 ねえ、君はイモリさんかな、それともヤモリさんかな。タモリさんではなかったね。家の方向に消えていったところを見るとヤモリさんだろうか。もっとよく見てみたかったけど、いずれにしても君に会えて嬉しかったよ。お守りをもらったみたいで、何か良いことがあるかもしれない。どちらの家か井戸か分からないけど、これからもどうぞお守りしてください。

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