年の瀬の下町から磯の臭い
2022/12/31(土) #235:hiko
兄が牡蠣とホタテと蟹を買って帰ってきた。
両親が張り切って、小さな庭でBBQをしようとしている。
昔はアウトドアだった家が本領発揮して、かなりいい設備のBBQが開催された。
炭で焼く海鮮は格別だった。いつでも食べたい。
牡蠣は半分焼いて、半分はカンカン焼きにした。
食べ頃になって缶の蓋を開けると、料理酒で蒸された牡蠣の食欲を誘う匂いが湯気と共に立ち上る。
近所中に磯の臭いが広がったことだろう。
お酒を3缶ほど飲んでやめといた。
このあとバイトがあるからだ。
よく行ったよなぁ。俺偉い。
まあでも、正直もう飽きていたというか、好ましくない流れになりそうだったので、あのタイミングで退場できてよかった。
「しあわせだね」「長生きしようね」
母が言う。
言葉はなく、少しだけ口角を上げた顔で返す。
口の端は引き攣っていなかっただろうか。
この日から、明確に、強烈に、孤独を自覚していく。
来年はどうしてるだろう。
今日は大晦日。
By hiko.
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