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街のみえる喫茶店

この街の喫茶店には人通りがみえる喫茶店が多い。別に人間観察が好きなわけではないが、頬杖をつきながら街ゆく人々を眺めるのは楽しい。

街の喧騒が微かな振動としてガラス越しに伝わる。そんな気がする。昼時はなおのこと。

Spotifyでアンビエントを聞いているが、むしろイズキャンセリングを超えて店内で響く談笑がBGMになる。

最近はリモートで通話しているひともよく見る。少し気になるが、傍から見れば一人で喋るか、二人以上で喋るかの違いだ。マナーも時代にあわせてかわっていくのだろう。

隣の席の客が煙草から戻る。着座のときに煙の匂いが一瞬舞い上がる。私はもう禁煙して長いが、喉と肺がフラッシュバックする。

長居し過ぎて、店員の目が気になる。カウンターに立つ店員が、オーダー時のひととは違うと少し安心する。あまり意味のないことかもしれないが。

ラージサイズで頼むコーヒーは飲みきらず、氷が溶けてガラスコップの底越しに机が見える。

ノートやタブレットを鞄にしまう。店を出ると、その他大勢の中に自分が溶け込む。振り返ってみる喫茶店の店内は時間が止まったように見える。

疲労感をもって帰路につく。日曜の夕方。月曜が始まり始めている。明日からの五日間は長い長い一日だ。

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