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我が麗しの女優たち エヴァ・オーリン

我が麗しの女優たち エヴァ・オーリン

1. カタカナ表記: エヴァ・オーリン
2. 英語表記: Ewa Aulin
3. 出身国: スウェーデン
4. 生年: 1950年生まれ
5. 現在の年齢: 72歳


1973年11月14日の「水曜ロードショー」でしたね。
Wikiにちゃんと日付が載っていました。
この夜に放送されたのが「キャンディ」という映画です。

どんな映画かは、事前情報でわかっていました。
家族とは、一緒に見れない映画です。
そんなわけで、当時の我が家のリビングにだけあったカラー・テレビでの鑑賞は諦めて、自分の部屋の白黒テレビでこっそり見た記憶です。
この映画が製作されたのは、1968年。
監督は、元俳優のクリスチャン・マルカン。

エッチなだけではなく、この映画のハチャメチャな展開は、悪ふざけを通り越してカオスそのもの。完全にブッ飛んでしまいました。

ヒロインは、製作当時無名の18歳のスウェーデン女優エヴァ・オーリン。
すごかったのは、次から次へと登場する脇役たちの顔ぶれです。
マーロン・ブランド、リチャード・バートン、ジェームズ・コバーン、ウォルター・マッソー、シャルル・アズナブール、リンゴ・スター。
当時まだ中学生だった僕でも、その名は知っているようなビッグ・ネームがズラリです。

その彼らが、次々とエキセントリックなキャラクターで登場しては、ヒロインにセックスを迫るというだけのスラップ・スティック・コメディが「キャンディ」です。
今にして思えば、よくもこのキャスティングで、こんな映画が作れたもんだと感心してしまうのですが、こんな際どい作品を放送してくれた日本テレビも偉かった。

ありがとう。


男は狼なのよ 気をつけなさい

と、歌ったのはピンクレディでしたが、まさにそれがそのまま映画になっていたという印象です。
これがポルノ映画にならなかったのは、ひとえにそのお洒落な映像センスのおかげでしょう。
時代は、サイケデリック・ムーヴメント全盛の1960年代後半。
この流行のカルチャーを全編に取り込んだポップな映像で、この作品は、後の時代にも語り継がれるカルト作品としての地位を確立しました。

とにかく、この作品では、そんな大スターたちを向こうに回しても、決して引けを取らない鮮烈な魅力を放っていたのがヒロインのエヴァ・オーリンでした。
僕自身は、ロリータ趣味はなかった中学生でしたが、エヴァ・オーリンの美少女系コミックからそのまま抜け出てきたようなコケティッシュな魅力には、珍しくしっかりと反応していましたね。

とにかく可愛かった。

日本語吹き替えは、岡田茉莉。
この声はしっかり覚えていて、初期の寅さん映画に旅回り一座の看板女優役で彼女を見た時には、この声でピーンときました。

その夜のうちに、テリー・サザーン著のこの映画の原作小説を読み始めています。
角川文庫から出ていましたね。我が家は本屋でしたので、その点恵まれていました。
ただし、勢いで読み始めたので、最後まで通読した記憶はありません。
やはり、映画の印象の方が強烈でした。

Wiki をチェックしてみると、この映画は「既存のモラルや権威の破壊」がテーマになっていると解説しています。
まあ、そう言うことではあるのでしょうが、やはりこの映画は、そんな小難しいことは横に置いて、ヒロインのエッチで危うい魅力を素直に楽しむべきでしょう。

エヴァ・オーリンは、15歳の時に本国のスウェーデンで、ミス・ティーン・インターナショナルで優勝してから、イタリアに渡って芸能界にデビューしているのですが、演技力の問題は本人も自覚していて、「キャンディ」以降は、日本では公開されないようなB級ホラー映画の出演が続くようになります。
当時、「別冊スクリーン」で、セクシー女優の特集が組まれるときは、必ずチェックしていたのですが、時折、日本未公開の作品の写真の中で彼女の姿を見かけたような記憶です。

結局、彼女の出演作品で、見ることができたのは、「キャンディ」だけです。
でも、それだけで十分だなあ。
たった一本の映画だけで、永遠に語り継がれる女優はいるものです。

映画「キャンディ」で、人生一世一代の輝きを放ったエヴァ・オーリンの魅力は、55年の時の流れを超えて、今の若者たちにも十分に通用するのではないかと思う次第。

出演者の一人であるマーロン・ブランドも、彼女の魅力にクラクラした一人です。
あろうことか、撮影中に本番行為をしようとしたとのこと。
あの怪優ならいかにもやりかねないと思わせます。
彼が演じたのは、グリンドルというヨガの伝道師でした。
「スーパーマン」で演じたクリプトン星のジョー=エルも、「地獄の黙示録」のカーツ大佐も、霞むほど怪しい役でしたね。

あの名作「ゴッドファザー」で、彼が復活を遂げるのは、この映画の3年後のことです。

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