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読書ノート

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本屋の息子なので、読書は今でも道楽の王道。 iPad のヘビー・ユーザーなので、僕のスタイルは、すべての本を裁断して、電子書籍化。 いつでもどこでも、マイiPad をスワイプしな…
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2021年2月の記事一覧

風の又三郎 宮沢賢治

風の又三郎 宮沢賢治

読書「風の又三郎」宮沢賢治

読了後、すぐに頭に浮かんだのは、NHKの「みんなのうた」で歌われていた「北風小僧の寒太郎」。
堺正章や北島三郎が歌っていた名曲です。

ヒュルルルン ルンルンルン♪

この曲は、絶対に「風の又三郎」の影響を受けているだろうと踏んで、Wiki してみましたが、特に関連性はなし。どうやらこちらの思い過ごしでした。
この曲のベースになったのは、当時ブームだった「木枯し紋次郎

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新憲法に関する演説草稿  幣原喜重郎

新憲法に関する演説草稿  幣原喜重郎

新憲法に関する演説草稿 幣原喜重郎



「青空文庫」から拾ったわずか5頁ほどの文書です。



幣原喜重郎は、戦後すぐの難しい時期、第31代内閣総理大臣に任命されました。

戦前は外相として活躍していた人ですが、戦時中にはすでに政界から引退して、隠盾生活を送っていた幣原。

しかし、親米派であったことから、首相に指名され、73歳の老齢で復活します。

GHQ占領下の日本において、教育・司法・

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百姓の夢 小川未明

百姓の夢 小川未明

タイトルに惹かれて、「青空文庫」の中からチョイス。
1923年に書かれた、童話作家・小川未明の短編です。

くたびれて、もう農作業では使えなくなった飼い牛と百姓のお話。
役に立たなくなった老牛を売ってしまおうと、百姓は町出かけますが、買い手はつきません。
仕方なく、連れて帰ろうとするところに降り出した雪。
一面の雪化粧で、百姓は道に迷ってしまいます。
途方に暮れた百姓は、牛の背中に乗って、牛に帰路

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カインの末裔 有島武郎

カインの末裔 有島武郎

カインの末裔 有島武郎

なんとも、救いのない小説でした。

有島武郎が、1917年(大正6年)に発表しています。
舞台は、内浦湾を望む道南の農場。
一匹の馬と、子供を連れた夫婦が、親戚の縁故で小作の仕事を得て、たどりついた冬の農場から物語は始まります。

土地を追われた貧困農民の苦難の道を描いた物語というと思い出すのは、スタインベックの「怒りの葡萄」。(原作は読んでいません。見たのはジョン・フォ

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私の履歴書 浅沼稲次郎

私の履歴書 浅沼稲次郎

私の履歴書 浅沼稲次郎

このイラストは、昭和35年に発生した政治テロの瞬間を描いたものです。
場所は、日比谷公会堂での党首演説会の壇上。
ナイフを光らせているのは、山口ニ矢という十七歳の右翼少年。
この刃の犠牲となり、非業の死を遂げたのは、当時の社会党委員長である浅沼稲次郎。
本書は、この事件から遡ること4年前に、日本経済新聞の文化面に掲載された本人による「履歴書風の自伝」です。
浅沼稲次郎は、

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或阿呆の一生  芥川龍之介

或阿呆の一生  芥川龍之介

或阿呆の一生 芥川龍之介

え?え?え?

と思っているうちに読み終えてしまって、慌てて読み返してしまいました。
とにかく、51シーンからなる、継続性のない心象風景の連続。
固有名詞は一切出て来なかったので、僕の頭では、本作を小説として読むことはできませんでした。
ただ、最後の一行に記してあったのが「遺稿」の二文字。
タイトルから、推測してこれは、作品として残した、事実上の遺書にあたる私小説である

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無III 自然農法 福岡正信

無III 自然農法 福岡正信

6年前に勤めていた会社の畑で、野菜作りを始めたとき、一番最初に読んだ本が、福岡正信氏の「わら一本の革命」という本でした。
自然農法の創始者が、その深淵さについて語った本でしたが、これがとにかくカッコよかった。

「自然を支配しようとしても人間にはできない、ということである。できることは、自然の営みに奉仕することである。自然の節理に従って生きるということである。」

自然農法の、3つの原則は、「不耕

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