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5分で心を抉るエッセイ

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安易な自己肯定や他者否定ではなく、自分の心を抉った(えぐった)先に生きる強さを見出していく、5分で読めるエッセイです。
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2023年12月の記事一覧

家族に抉られた心の傷。過干渉という名の刃。

吾輩は猫を被るニンゲンである。名前はぽん乃助という。 気づけば最近、私の冷蔵庫には氷結無糖レモン缶酎ハイが詰まっていた。 自炊をしない私の冷蔵庫の中は、色のない無機質な世界だが、そこには多数の生命体が移り住んできたような景色だ。 そう、私は晩酌の日々が続いていた。それは、悩みがあるからだ。 悩みなんてものは、SNS上で顔知れぬ者たちに発信する暇があるなら、ちゃちゃっと現実世界の知り合いに相談した方が良いのは分かってる。 けれど、現実世界で相談しづらい悩みがある。それ

いつか消える「若さ」という武器を代償に、私は何を得たのだろうか?

吾輩は猫を被るニンゲンである。名前はぽん乃助という。 仕事帰り、普段の帰り道。駅を降りて私の家に着くまでに、一際明るい道がある。 そこには、キャバクラやガールズバーに誘う女性たちが、寒さに凍えるのを堪え、行き交う男性を見るや否や声をかけている。 学生っぽい子もいれば、社会人だろうなという子もいて、境遇も様々だろう。 その中で、私はひとり、覚えてしまう子がいた。 決して好みというわけじゃない。けれど、スマホで暇つぶしをしている子が多い中、その子だけはスマホを一切いじら

私が「自己肯定感」を拒絶してしまう理由

吾輩は猫を被るニンゲンである。名前はぽん乃助という。 私は、「自己肯定感」という言葉が苦手だ。 嫌いというわけではないが、どちらかと言えば近づきがたい存在だと感じる。 私は「自信」という言葉に近い定義だと認識していて、「自己肯定感が高まれば対人関係もうまくいく」という論理も、抽象的ではあるもののなんとなく理解できる。 しかし、頭では理屈をわかっていても、心では「自己肯定感」を拒絶してしまう。 いや、拒絶しているのではなく、私の心の奥底ではビビっているのかもしれない。