2勝4敗

 職場のテニス同好会は年に何度か、『カップ戦』がある。
そうはいっても、同好会の内輪なもの。
・ダブルス戦
・1セット4ゲーム先取
・タイブレークなし
・パートナーは1戦ごとに変わる  
・総当たり戦            という形式。
13時から始まって17時くらいまで。
なんだかんだと、1人あたり6セットはやる。
1位と2位には賞金が出る。

前回は全敗という散々なデビューだった。
それは偏に下手だったから。
サーブをやらせればダブルフォルト連発で自滅。
ラケットに当たればホームラン。
当たらないこともしばしば。
あまりにも下手すぎて、パートナーに申し訳ない気分でいっぱいだった。
だから、次は欠席するつもりだった。
『出るんでしょ?』
『いいえ…出ません…』
『なんで?』
『お前のせいで負けたって言われるのが嫌だから』
『試合しないと上手くなれないからさ…出るよね?』
『は…はぁ….』

『お前のせいで負けた』
これを言われるのが嫌。
無言であっても、何よりも辛くて、重くのしかかってくるのだ。
『いいの、いいの』
『ドンマイ、ドンマイ』
そんな訳がない。
口はそうでも、目が怒ってるじゃないか。
それが本当に辛くて嫌だったから出ないつもりだったし、そう言って断った。
それこそシングル戦だったら喜んで出てた。
勝ったって負けたって責任は自分にあるし、パートナーはいないから自分だけのものだ。
その方が気が楽。
戦い終えた今でもそう思う。

第一試合、自分のサーブで始まった。
一発目で入った勢いとパートナーの上手さで相手チームが自滅。
そうはいうものの、終わってみれば4-3
接戦だった。
幸先は悪くなかったが、終わってみれば2勝4敗。
4-3
0-4
0-4
1-4
4-3
2-4
課題山積で良かったところがかすんでしまうほど。
ダブルスとは何ぞやってのは知らないし、究めてもいないが、『自分にとって』という点で語れとなると…
1.とても気を遣う
2.気を遣うが故に失敗してはならぬというプレッシャー
3.そのプレッシャーと己の未熟さが相まった負の効果
これら3つにつきる。
テニス歴は月1度くらいのペースでしかしてない。
当然ながらセンスの有無も何もなくて、未熟かつ下手でしかない。
パートナーが『あんたが居ても居なくてもどうにでもなる』ってほど上手い人ならば良いが、そうではない場合は負けるのは必定だった。
何とかしなきゃって思えば思うほど息は合わない。
ここぞという時に空振り、ガシャり、ホームラン。
快心のフォアハンドストロークでビシッと決めるなんてことは1回もなかった。
それで試合に出ろって話だから勝てる訳がない。

パートナーに気を遣うな、卑屈になるなっていうかもしれない。
でも負けは負け。
『お前のせいで負けた』って言われるのが本当に嫌だ。
それを振り払うにはただただ上手くなる、強くなるしかない。
そのための策はある。
同好会だけの中では限界がある。
これは裏切りではない。
ただ…ただ…上手くなりたい。
『勝ったらもっと楽しい』から。
じゃぁ今はどうなのかって話で行けば、十分に楽しい。
『もっと楽しい』ことを知りたいのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?