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ミッドサマーは「趣味の悪いスウェーデン版トリック」という感想

【一応、ネタバレありです】

本当に今更ながらの感想で申し訳ないけど、最近はじめて見て、色々おもっちゃったので、簡単に書いておこうと思います。

この映画、いろいろ伏線の配置や仕掛けが巧妙なために、深読みしようと思えばいくらでもできる作りにはなっていると思います。なので「女性の解放」「本格ホラー映画」「実はセラピー映画」という見た人それぞれの感想がネットにあります。

自分はあまり、この映画をそれほど深読みの必要のない「趣味の悪いギャグ映画」だと思っています。村の聖なる木に放尿してめちゃくちゃ怒られるところとかセックス描写のシーンなんてケラケラ笑ってしまいました。

なぜ私がこの映画をギャグ映画だと思ったか。それは僕が昔、仲間由紀恵と阿部寛の「トリック」が好きだったからに他なりません。「トリック」で扱う舞台は「なにか気の触れている集団がいるド田舎の村」が多くでてきました。そこで取り上げられる集団は「常識的ではない行動や発言」をしていることが多かったのですが、「トリック」自体「巨根と貧乳」という単語を主役に言わせるようなドラマであり、根底的には「ギャグ基調」であったと思います。

この「トリック」の文脈に毒された私の脳は、ミッドサマーにでてくる「ホルガ村」もよく「トリック」にでてくる「おかしな村」と認識してしまいました。「トリック」でも奇声を上げる人・奇矯な行動をする人がコミカルさとダークさを兼ね備えて頻繁に登場してきましたが、同じくホルガ村の村民たちもそうとか思えなくなってしまい、全てがギャグテイストに思えてしまったのです。

後一つ思うところがあって、監督も心底「ホラー」や「恐怖」を主題に置こうとは思っていなかったと思います。この映画のグロ描写はなかなかに不愉快でしたが、かと言って戦慄するほどの恐怖を感じさせるほどの「リアルなグロ」はなかったかと思います。いろいろなグロ描写はあれど、作り込みは以外にチープなもので、「あきらかな人形感」のあるモノが素材として使われていたかと思います。それが故に、どこかで「作り物」に対する安心感があり、転じて隠し味として「ウケ狙い的なギャグ要素」があったと思いました。よくあるホラー映画がこれでもかと見せてくる「キリで揉み込まれているような肉体的な痛みを想像させる描写」ではなかったかと思います。この辺りも「ホラーの王道」とは違った印象持った理由です。

「僕の考えた最強のヒーロー」みたいに都合のいい「謎の粉」や「謎のお茶」や「謎のお薬」がでてくるあたりも、少し「バカバカしさ」を感じました。クマもきぐるみとしかみえません。「バカバカしさ」をチラ見せしながら、不快かつ不可解さを見せつけられるので、本当に悪趣味な映画です。いろいろな箇所で根底に「バカバカしさ」潜めながら二時間半も不愉快かつ不可解な村の因習を見せるもんで、「スウェーデン版・解決編のない悪趣味なトリック」として僕の頭にセットされてしまいました。「トリック」を見ないでこの映画を見ていたら、また違った感想をもったんでしょうか?特に伏線とかの深堀りで。でもそれはいまや自分で検証しようがないので、なんとも言えません。

ただ一つ言えるのは「心の清らかな人」には向いていない映画だと思います。この手の人がこの映画にショックを受けて「意味探し」するのを制作サイドは「やっぱり引っかかったな」と悪趣味にほくそ笑んでいると思いますので。




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