ホームレス、桃泥棒を疑われる
先日、東京から長野までヒッチハイクで向かっていた。
いつもなら、圧倒的に早く目的地に向かえるためオール高速道路で行くところだが、今日は時間に余裕があるから下道に降りてみよう。
そんな出来心が全ての始まりだった。
日が暮れる頃、僕は山梨県笛吹市のスーパーにたどり着いた。ここ笛吹市は桃の産地のようで、あたり一面は桃畑。そして遠くには富士山や北アルプスなど、3000m級の山々が見渡せる。さらに近くには源泉掛け流しの温泉もあり、ゆっくりと旅の疲れを癒した。
温泉を出ると先ほどまで見えていた山々は見えなくなり、代わりに夜空にたくさんの星たちが輝いていた。
なんてのどかなところだろう。高速道路だけで移動していたら味わえない世界がそこにはあった。下道に降りて寄り道してよかった。
さて、今日はここで野宿しよう。
本日の宿は桃畑に囲まれたローカルスーパー前にあるベンチ。今日はすでに閉店していて、あたりは人影ひとつない。
夏野宿の大敵は蚊だ。ヤツに対抗するため、蚊取り線香と洗濯ネットという名の蚊帳を活用する。蚊取り線香を焚いて、寝床の準備をしていた。
準備中に友達から、Googleフォームの作成の仕方がわからないから教えてほしいと連絡があった。
真っ暗な中パソコンを開きながら相談にのっていた。
すると、1台の車がこちらにやってきた。
「山梨県警です。こちらで何をやられているのですか?」
どうやら職務質問にあってしまったようだ。
「これからここで野宿しようとしていたところです。」
そう答えると、警察官みんな、は?みたいな顔をした。どうやらこの一言でかなり怪しまれたようだ。
「財布の中身を見せてください。」
「これはなんだ!?」
よりによって、この日の僕の財布には、来週からアフリカに行くために東京で換金してきた大量のドル札(15万円相当)が入っていた。
「ここまではどうやって来たんだ?徒歩か?」
「ヒッチハイクです」
明らかに、怪しさMAX(笑)
いつのまにかパトカーが3台くらい集まっていた。
「最近このあたりで桃泥棒が出ていて。あなたがなにも悪いことをしていないかを確認させてもらいます。」
どうやら僕は桃泥棒を疑われているらしい。。
とはいえ、当然僕は桃の1つも持っていないので、どれだけ調べても何もでてきません。
「実は近くに車を停めてあったりしないだろうな?」
僕の荷物から桃を運ぶ車のキーが出てこないかを入念にチェックされた。
しかし、やはりいくら探してもそんなものは見つからず。ようやく僕への疑いは晴れた。
「他に夜行く宛はあるのか?」
スーパーは会社の敷地内だから野宿しちゃいけないみたいだ。これが日本のルールか。。
「近くの公園を探してそこで寝ます!」
「おいおい、待ってくれ。それではまた警察に通報が入ってしまう。お願いだから今夜は近くの健康ランドに泊まってくれ。」
仕方ないから今回は観念するかと地図で調べてみると、ここからおよそ10km。徒歩1時間。この重たい荷物(推定12kg)を持って夜中に歩くのはダルすぎる。。
「カネはあるんだろ。タクシー使って泊まれよ。」
あるにはあるけどこれはアフリカへ行くためのものだ。こんなところで使いたくはない。ましてやタクシーだけは使いたくない。ヒッチハイク旅の敗北を意味するからだ。
そこで僕はダメもとで終電を検索してみた。すると、10分後に最寄り駅から終電があるみたいだ!しかし駅までは徒歩20分。ダッシュして間に合うかどうか。
「終電が10分後にあるみたいなので駅までダッシュしますね!」
そう言って、急いで荷支度していると、
「あと20秒で準備したら乗せてやる」
なんと、パトカーヒッチハイク成功(笑)
野宿は失敗したものの、パトカーヒッチハイクという、難易度MAXの経験できました☆
P.S.もうスーパーのベンチでは野宿しません。