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20世紀最後のボンボン  第一部 東京篇  第十四章 ママ、お願いだから卵、食べてね。




妊娠がはっきりしてからは
なおのこと、つわりもひどくなった。
ただ指導のときだけは治った。
通常は生徒宅にて指導するのであるが、
今回は家に来てもらうケースも増やした。
やはり電車に乗れないほどのこともあったからだ。
ずっと横になっていないと居られない日もあった。
そうやっているうちに年の暮れになってしまった。
あれだけ毎日作っていたご飯は全然作れなくなってしまった。
お弁当を配達してもらったり、
出前で道の向かいにある中華の店から持ってきてもらったりして
ボンボンはご飯を済ませていた。
私もほとんど何も食べられなくなってしまい、
ボンボンは相当心配していた。
年末に友人がアメリカから来たので、
ニューオータニのトレーダーヴィクスに久しぶりに行った。

トレーダーヴィクス 写真拝借しました。


南方の色とりどりの花に囲まれた料理は大変おいしそうだったが
一切食べることができなかった。
終始、気持ちが悪かった。
友達夫婦は恐縮して、食事もそこそこに帰った。
年が明けて、七草くらいになるとだいぶ調子が
戻ってくるのがわかった。
さすがに5カ月目に入ると安定するのだろう。
そして、また不思議なことが起きた。
夜、眠っているときに、ベビーがお願いのポーズで出てきて、

おなかの赤ちゃんのイメージ。SUJI画


「ママ、お願いだから、卵を食べて。」と
けなげにお願いするのだ。
えー?と私もびっくりして、ボンボンを起こして、夢の話をすると
「ちゃんとご飯食べなさいって赤ちゃんも言っているんだよ。」
と言われてしまい、ゆで卵を作って、
食べ始めると意外とお腹がすいていて、食べることができた。
それからは普通ご飯を食べられるようになった。
しかし、不思議なことはまだ続いた。
次の夜。やはりぐっすり眠っていると、靖国神社のほうから

靖国神社 千代田区 写真拝借しました。


さーっと光の大群がやってきて、私のおなかに入ったのである。
これはさすがにボンボンには話せなかった。
何かとても象徴的だし、だいたい、靖国神社に誰が
祀られているんだっけと調べてしまった。
靖国神社は国際的にも問題になることが多い場所だが、
実際に行ってみると、いろいろ発見があって面白い。
遊就館は特に面白いので、ご興味のある方は是非一度いらして。

夢というのは不思議で、たとえば、地図で見れば、
家から靖国の方向には別のものもある。けれども、
ニュアンスも一緒に夢見ていて、
それは間違いなく靖国神社から来た光だった。
あれは何を意味していたのかいつか分かる日が来るのだろうか?
神秘的なことが多いと思う。

けれどもそれからは食欲はどんどん増えていき、
今まで食べたこともない焼肉など、

写真拝借しました。


ガンガン食べたり、
風邪をひきそうになった時も、横浜の中華街まで

中華街 写真拝借しました。


行って、旺盛な食欲をボンボンに見せつけ、
驚かせていた。ボンボンはお腹の子は絶対に
男の子だと喜んで、名前もその時期に考えていた。

第十五章 話しかける
に続く

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