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20世紀最後のボンボン第十部 ヨーロッパ テーマ旅行第四章 エジプト




ピラミッドってアラビア語なんですね。

pyramid


初めて知った。
だいたいアフリカ大陸が初めてだったし、
2013年5月下旬のエジプトはかなり過激になっていて、
ほんのちょっとでも行くのは危険という判断を
する人は多かったと思う。
それでも、チャンスのある時に見たいものを見ておかないと
それはネットで見たり、映画で見るのとは全然違うので。
ドキュメンタリーを撮っているときもわざわざ私が行かなくても
現地の誰かに頼めばいいといった、ハリウッド出身のアメリカの大学院の先生がおられたが、だからハリウッドダメなのよ。
自分でその場に行くって、とても贅沢なことだし、自分の体験の積み重ねになる。これは効率とか時間とかお金の問題じゃないの。
魂の問題よ。境地の問題。
本当はエジプトのドキュメンタリーでも企画できればよかったんだけれど、今回はギリシアのついでに行く、というスタンスだったので、
下見という立ち位置で、軽い気持ちで、カイロに向かいました。
現地での通訳やエージェントは頼んでいたのですが、どういうわけか
当日はただホテルに行くだけなのだから、空港で何とかなるといういつもの楽観的な見通しがロビーに出た瞬間、砕け散りました。
海外生活も長いので、その空港の様子が特別危険とは思わなかったんですが、タクシーを拾うなんてことはできない場所であることはすぐわかりました。日も暮れかけていたし。
でもガイドみたいな人が来て、二階の旅行社みたいに見える場所に
案内されたので、ついていくと、なんとかホテルまでのタクシーは
つかまえることができそうだとわかりました。でもその事務所には驚くほど物がなく、案内所の体裁とか、まったく気にしていない、というか、そういうことにかけるお金がないのだと思いました。
フォーシーズンズホテル

FourSeasonsHotel写真拝借しました。


に行くというのはたぶん、彼らにとっては大変なカモなんだと思います。でもカモでも、何でもホテルに行きさえすればいいので、タクシーに乗り込みました。やはり大事な荷物をロンドンに置いてきてよかったと瞬間に思いました。
私たちの前を走っている、車の荷台がオープンなんですが、そこにこちらを向いて働き盛りのたくさんのエジプトの男性が荷台のヘリに座っているのです。しかもじーっとものすごい注目度で見つめている。
私たちはスターになったのかと勘違いできるほどの注目度で、別の車線を行く車の荷台の人たちも見つめています。
「その全員が襲い掛かってきたら、終わるぞ、」とカンクン君に日本語で、言ってみました。カンクン君は「いやもう終わっているんじゃないの?」と半ば投げやりに、でもとても怒っていました。
「カカ、何やってんの?」
「絶対にフォーシーズンズにつかないと思う。」
でもその間に運転手の話す片言の英語は、とにかく少しでも仕事が欲しいのだという感触は受けたものの、エジプト人の顔って、独特ですよね。とてもきれいだし、何というか説得力あります。文明背負ってます。今は貧しくても。道路もがたがた揺れてましたし、第一、住所がだいたいの場所しか示していないのか、民家みたいな集落に迷い込んだり、そこでみんなに道を尋ねていたり、だいたい、そういうホテルのありそうな場所とかわかっているのかとか、女性の姿は皆無でしたが、不穏な感じは全くなかったですね。暗い中で、話している様子でも、必死に場所をみんなで探しているという感じでした。ピラミッドはむかしむかしから観光客がたくさん来たはずだから、そのあたりに住んでいる人はその恩恵にずっとあずかってきたと思います。ここでアメリカから来ている日本人をどうこうしても、一時的には誰かが潤うかもしれないですが、観光地としては致命的だし、そういう計算が働かないはずないと私は考えていました。単に運が良かっただけかもしれないですが、私はそれまでもそれからもエジプト人が特別、暴力的だというイメージは持っていません。むしろあの瞳の輝きとスマイルは私には真似ができない、深みを感じています。なんだか遠くを見ているんですよね。瞳が。

街灯が当たり前ですが、全くなくて、けれども、フォーシーズンズ・ホテルがあるあたりにはだいたい他のホテルもあるはずだし、その灯りとかなんでないんだろう、と不思議でした。それはやはり暴動が近くて、警戒してのことだったみたいですけれども。第一、夜、観光客がホテルにチェックインするとかありえないんだと思います。エジプトでは。そういう物珍しさもあったかなと思います。
空港に着いてから考えると数時間後にホテルに到着しました。運転手は若いエジプト人でしたが、料金も特別高くはなかったです。むしろフォーシンズンズから空港にタクシーで戻った時のほうが数倍高かったです。暗いとにおいとか音に敏感になりますが、異臭もなかったですし、立ち寄った集落も静かでした。ご飯のできるにおいがしているわけでもなかったですが、そこに生えている木が発している匂いは切迫感がなかったですね。私の感覚としてはその数年前に行った、アメリカ東部のロードアイランドのデパートの雰囲気のほうがよほど不穏で危なかった。みんなが発している空気が全然ハッピーじゃなかったですね。

ずっと砂嵐の中にいたので、身体中が砂の色になっており、シャワーを浴びないと、ご飯にも行けないという状態ではありました。
あまりにも疲れていたので、ルームサービスを頼むことにしましたが、びっくり。タイレストランがあって。なんでカイロにタイレストラン?気候が似ているかなあ?なんでかなあ。

トムヤンクンとか比較的カジュアルなものを頼んだはずでしたが、
カートに大掛かりな演出がしてあって、なんじゃこりゃという作りこみようでした。おいしかったので、あとの不思議な飾りや作りこみは全部見なかったことにしました。空調がとてもきいていて眠くなってきたので、外の景色を眺めるとやはりほとんど灯りは見えず、雰囲気もものすごく不穏で、明日起きたら死んでいたらどうしようかとも考えたのですが、眠さには勝てず、ほとんどすぐに眠りにつくことができました。

20世紀最後のボンボン第十部 ヨーロッパ テーマ旅行 第五章 ピラミッドへ  に続く

What an amazing choice you made! Thank you very much. Let's fly over the rainbow together!