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藤堂 空翠
2015年5月3日 23:54
水の中でふよふよと漂うその藤は、さながらダイバーを誘う数多の手のようであった。 薄い紫や白色をした小さな花は、海流に散ることなく、まるで風に乗る地上の藤と同じようにふわふわと揺れている。 ある男が言う。「あの根本にはそれは美しい女性が藤を抱えて立っていて、こちらを手招いているのだ」と。 その男は水中の藤を見て以来、食事も睡眠もろくに取らず、日に日にやつれていっているという。 彼の知人曰