13日目・「白山比咩神社のご利益」
10月29日
金沢のヴィアインにインしてすぐに洗った洗濯物もひと晩で乾き、いざジムニーで西下の途に。
そういえば1996年の兼六園球場跡地巡礼で参拝のつもりで石川厚生年金会館に宿泊したさいは、山のように洗った下着が乾かないまま、リュックの重い荷物になって、すっかり後悔したものだった。
そういえばあの朝、会館をチェックアウトしてすぐに、石畳に異物を発見して拾い上げてみれば、なんと茶色い大振りな数珠。
本来ならば遺失物につき交番へといういう流れになるところだが、ものがものだけに、これは巡礼者への天からの授かりもの、これを身につけて巡礼せよとのお告げであろうと理解し、迷うことなくリュックの括り紐に結びつけて金沢駅へと急いだのだった。
後日談をゆるしていただければ、それから球場巡礼にはその数珠を携行するようになり、その何度目だったか、最後の球場に参拝して帰ろうとしたまさにそのとき、なんの前触れもなく数珠がバチンと弾けて珠が散り散りになったのは満願成就した験だったのだろう。
今回は数珠を拾う代わりに、金沢駅屋上の駐車場の精算機に 880円の賽銭を投げ入れたのだったが。
金沢市街を抜けて走っていると「白山比咩神社」の観光標識が目に入った。ここは以前から参拝を願っていた神社。帰りを急ぎたい気持ちもあったが、この機会を逃せば念願成就するのはいつになるかわからず、下手したら生涯そのチャンスは訪れないかもしれぬ。
はてさてどうしようかと迷っているうちに、道の駅への誘導サインが見えたのでとりあえずビール、じゃねーよ、とりあえずそこで車中の荷物の整理をし、朝食をとりながら考えることにした。
道の駅めぐみ白山は、幹線道路を入ったすぐにあった。芝生の広場もあって開放的な雰囲気で、まずは朝から大当たりという手応え。
これは白山にウェルカムされているサインにちがいなく、そのとき白山比咩神社の参拝は決まった。
ここでも車中泊はもったいなく、おなじみのお茶漬け粥蔵王菜なめこ入りを、昨夜、金沢駅ビルで買っておいた柿の葉寿司とともにいただいた。
お粥もすし飯も胃腸を優しくいたわってくれるようで、つつましいながら、疲れ溜まったからだには申し分のないご馳走となった。
朝食をすませると、慌ただしく白山比咩神社目指して出発。
ナビではすぐ裏手にそれはあって、まさかこんな俗世にあるはずもないだろうと、半信半疑で向かってみると、まさに後者の「疑」が正解で、そこはそのあたりの氏神様らしい粗末な神社。
わかりきった道理に気づかなかったのはこちらの落ち度で、怒る気にもならずにあらためてナビで検索して仕切り直し。
やはりというか当然というか、山懐に入り込んでいった先に、目指す白山比咩神社は鎮座していた。
悲願叶ってのこと。
山道を歩み、鳥居潜って、摂社を巡りながら拝殿へと、時間かけて参拝するつもりだった目論見はもろくも崩れて、駐車場を抜けるとすぐに拝殿が見えて、あっさりと参拝は終了。
未練がましく境内で日拝したり、社務所でお札お守り眺めたり。せっかくのことと裏の川沿いの小道から戻ると、その先に駐車場とは別れて山道めいたものがつづいていて、車での参拝を諌められたような気がしないでもなかった。
道草を食った。あとはひたすら西進するのみだ。
団子菓子をつまみながら走ること1時間あまりだったか、午後2時過ぎに道の駅こまつ木場潟に寄って、おこわとおにぎり仕入れ、またこれを頬張りながら走行し、3時ごろ見かけたセブンイレブン丸岡高柳店で 100円コーヒーを購入するついでに、なぜか刻みレタスだけ仕入れたのは、野菜不足を感じたからなのだろう。
それからも、走りに走った休憩にと、たまたま寄った道の駅河野が、夕陽に染まる海を前にした絶景で、この景色を肴に飲みたい思い抑えられず、ホテルのベットが恋しかったが、車中泊を決めた。
まずは食堂で、かけそば一杯で腹ごしらえ。
突然のこととて飲み物を調達することができなかったが、さいわい昨夜の金沢で日本酒と缶ビールは仕入れてあった。今朝の道の駅めぐみ白山では、肴に絶好のさばのスライスも購入してあって、急遽の酒宴はなんとか成立。
これも白山比咩神社参拝のご利益というものだろう。
夜のとばりも降りて車中の人となってからは、朝のあまりの柿の葉寿司をアテにビール流し込み、ほぼ泥酔となったところでジ・エンド。
膝にかけていた毛布引き寄せ、シートに丸まって横になった。
この日の小銭買い
駐車料金 880円
飯パック・天然水 250円
さばスライス 540円
団子菓子 465円
おこわ・おにぎり 420円
セブンコーヒー 100円
レタスミックス 138円
かけそば 500円
計 3293円
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