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架空送電線の雷対策

送電線の事故の中で、雷害が主要原因の一つといわれています。本記事では、架空送電線の雷対策についてまとめていきます。

架空地線の設置

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出典:https://e-sysnet.com/overhead_line/

架空地線は、送電線の上に張られる接地線です。架空地線の遮蔽角が小さいほど、落雷防止、誘導雷防止、送電線の電磁誘導障害低減の効果があります。送電線への落雷を架空地線で受け、鉄塔を介して殿下を大地に導けば、線路はフラッシオーバすることなく運転を継続できます。

遮蔽角については、下図に示します。

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出典:https://e-sysnet.com/overhead_line/

図の●は送電線です。ちょうど送電線が輪切りになるような角度で見ている図です。鉛直線と架空地線と送電線を結ぶ直線のうち、最も大きな角度になる θ が遮蔽角です。

架空地線は、鉄塔を介して接地線につながっています。接地線を2条にして、2条の内側に鉄塔を立てる設計にすると、実績として、遮蔽効果はほぼ100%となっています。

埋設地線の設置

鉄塔の接地抵抗を下げる目的で、鉄塔から伸びる埋設地線を接地します。これによって、逆フラッシオーバの防止ができます。

逆フラッシオーバとは、架空地線や鉄塔に雷撃があった際に、接地抵抗が高いと、架空地線や鉄塔の電圧が上がり、送電線に放電してしまうことを言います。

アークホーンの導入

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アークホーンとは、碍子装置の両端に取り付ける金属のことです。碍子装置が雷撃を受け、フラッシオーバした際、アークはアークホーン間で発生します。この効果によって、碍子にアークが絡むのを防止し、碍子を守ります。

アーマロッドの導入

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出典:https://e-sysnet.com/overhead_line/

アーマロッドは碍子装置の電線支持部において、クランプで把握された部分の電線が、振動等により祖先切れするのを防ぐ目的で巻き付ける補強線です。電線と同種類の金属でできており、アークによる電線の損傷防止の効果もあります。

不平衡絶縁方式

2回戦送電線において、あえて絶縁強度に差をつけることを不平衡絶縁方式(あるいは、不平等絶縁方式)といいます。これによって、2回戦とも同時に事故に陥る可能性を低減します。

高速度再閉路方式

雷撃を受け、故障が発生した際、事故区間を高速で遮断して、事故区間の絶縁回復を待ち、再び遮断機を閉路する操作を再閉路といいます。これを高速で行うのが高速度再閉路方式です。詳しくはこちらに記事をまとめましたので、ご参照ください。

送電用避雷素子

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出典:https://www.kyuden.co.jp/td_service_firm-location_quality.html

アークホーンとともに、碍子をアークから守る装置です。酸化亜鉛素子を含む装置で、碍子装置と並列に取り付けます。これによって、雷撃の電流がこちらに導かれ、碍子装置にアークが絡むのを防止します。

終わりに

送電線の雷害対策は、様々なものがあることが分かります。そもそも雷撃をやり過ごそうというものから、雷撃を受けてもできる限り受け流すもの、被害を受けても最小限にとどめようというものまで、各レベルの対策があります。

それだけ、送電網には雷の被害が多いということでもあります。

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