見出し画像

ボードゲームの作り方1~作り始め方~

OFUSEからの転載記事です!


こんにちは。ボードゲームクリエイターのスイタ氏です!

ボードゲームを制作する仕事をしている仕事上、いろいろな場所で「ボードゲームの作り方」について質問をいただきます。

今回はそんな「ボードゲームの作り方」の中でもまずは「どういう作り始め方があるのか」を、読んでくださっている方に向けて自分が思う種類をまとめておこうと思います。


ボードゲームは基本的に紙とペンさえあれば大概のものは作って遊ぶことができるのが良い点の1つです。

「ボードゲームを作ってみたいな」と思われている方がいらっしゃれば、その制作の手掛かりになるような記事になれれば幸いです。


ボードゲームの作り始め方は以下の8パターンに分けられると思います

1.かけ合わせてみる

2.日常をゲーム化してみる

3.VISIONから作る

4.テーブル上に再現してみる

5.内容物から考える

6.空欄に当てはめて作る

7.ちょい足ししてみる

8.楽しいを膨らませる

自分が過去に作ってきたものや既存のゲームを例に出し、補足してまいります。


1.かけ合わせてみる

何かを作るときに出てくる非常にポピュラー発想法かなと思います。ソフトバンクを創業した孫正義さんも、「関数電卓」「辞書」「スピーチシンセサイザー」という3つの単語を組み合わせて、自動翻訳機を考え出したとか。

自分はこの1の方法で「スピジャン」というゲームを制作しました。

(出版社に営業をかけた際に作った説明書)

「スピード」と「じゃんけん」を掛け合わせたゲームで、スピードの要領で場にある2枚のじゃんけんカードに活用に自分の場からじゃんけんカードを出していきます。出せる限りは早い者勝ちで出していくことが可能で、いちはやく自分の持ち札をなくしたプレイヤーが勝利するというシンプルなゲームです。たまにグーやパーやチョキなどが書かれたじゃんけんカードに「負けろ!」や「あいこ!」という指示が書かれており、その指示が書かれてあるカードが場の2枚のどちらかに出た時にその指示に沿ってカードを出さなければならないというひっかけ要素もあります。

このゲームの新しい点は、「負けろ!」や「あいこ!」という指示がひっかけとなるくらいでそのほかの要素は、みなさんご存じの通りすでにじゃんけんやスピードに存在するものです。ルール同士がケンカしないようにするのは別途大切なことではあるとは思いますが、掛け合わせをすることで簡単にゲームが作れそうな気がしてくると思います。


2.日常をゲーム化してみる

大学生の頃に「私サラダ取り分けるね」というゲームを例に、ご説明していこうと思います。

突然ですが、みなさんは合コンに行ったことがありますでしょうか?

筆者は行ったことがありません。なのですべて想像のうえで話しているんだなという感じで聞いていただけたら幸いです。

合コンに行くと、サラダを取り分けてくださる方がいらっしゃると思います。その方が素直に心優しい方の場合も十分にあり得ると思うのですが、中には「私気づかいできますよ」という気づかいポイントを稼ぐための手段としてサラダを取り分けるパターンもあるかなと思います。

ポイントを稼ぐ。

つまりゲームです。

こうやって日常の行為をゲーム化したのが「私サラダ取り分けるね」です。

このゲームは女性視点のゲームです。

場に、「トング」「気配りもできるんだね!」「掘りごたつの下足蹴り」という3つのカードが存在します。山札からめくられてくるカードに対応したカード(上記の3枚のいずれか)を素早く取れたプレイヤーが1枚ゲット!山札がなくなったらゲーム終了し、一番カードを獲得したプレイヤーが勝利するというゲームです。(ほかにもルールがありますが今回は割愛します)


また、既存のゲームだとほかにも以下のようなものもあります。

●どんなシチュエーションでその言葉を言っているか当てるゲーム「はぁって言うゲーム

●この品物、経費で落ちるか否か!の大喜利ゲーム「領収書ゲーム

●小学校の卒業式あるあるのコール&レスポンスで遊ぶゲーム「卒業式かるた


気づきさえすればいろんなものがゲームになり得るということが、お分かりいただけると思います。なんだかゲームを作ってみたくなりましたね。

ちなみに現在このゲームは茨城県の阿字ヶ浦海岸沿いにある「イバフォルニアベース」さんの店頭のみで購入可能です。ぜひ茨城に行く際はお買い求めいただけたら幸いです!


3.VISIONから作る

この3の方法で自分は「ソノトキボクハ」というゲームを制作しました。


自分が代表を務めるAvignonGamesは「ひとりひとりが生きやすい社会に」というVISIONに向けて活動しています。そんなVISIONを達成するためには、どう生きたとしても必ず発生する「コミュニケーション不和」を軽減していくことがひとつ必要だと考えています。

どうすれば「コミュニケーション不和」を軽減できるようになるのかをさらに考え、「感じ方の違いを知る」「最後まで話を聞く」「自分はどんな時にその気持ちになるのかを知る」という具体的なゴールに落とし込んでいきます。

そこまで落とし込めたらそれをどうすればクリアできるかという観点でゲーム制作を開始していきます。詳しい制作の仕方は今後更新予定の回にてお話いたしますので今回は割愛いたします


4.テーブル上に再現してみる

ボードゲームであまり遊んだことのない方も「人生ゲーム」で遊んだことがある方は、いらっしゃるのではないでしょうか?「人生」をテーブル上に再現するにはどうするか。

●人生は何が起こるか分からないから自分で選択しつつ、選択できないようなシステムにしてみよう!

●資本主義な世の中だから一番お金を持っていた人が勝ちにしよう!

●人生だからもしかしたら結婚したり子供もできたりするかもしれないなぁ


そんなことを考えていけばどんどん「人生ゲーム」に近づいていくかと思います。


ちなみに、「人生ゲーム」の原型は「THE CHECKERD GAME OF LIFE」というゲームで、1860年に開発されました。今でこそお金をたくさん持っていたら勝ちというゴールですが、1860年版の目的はたくさんのポイントを稼ぐことがゴールでした。善行と悪行のどちらかのマスをエランで進んでいくのですが、善行を選んだほうがポイントが高くもらえるように設計されており、敬虔な“清教徒(ピューリタン)”であった製作者は、このゲームを通して聖書の教えに従い、“悪行”を戒め、“善行”を奨励したそうです。

5.内容物から考える

●お城やドラゴンが実際にテーブルの上にあったらテンション上がりそう!

●杖を持って魔法を唱えながら遊ぶの楽しそう!

●飛び出す絵本がステージになっていったら面白そう!


そんなゲームの中で使う物から発想するのがこの5の手法です。完成図のイメージを想像しやすいのが特徴の発想法かなと思います。


6.空欄に当てはめて作る

とっかかりがあれば人間は考えやすいもので、あらかじめ「〇〇を倒すゲーム」や「〇〇から脱出するゲーム」「いちはやく〇〇できたら勝ちのゲーム」など自分でいくつかテンプレートを用意します。それにランダムにそのカテゴリの単語を入れてひたすら考えてみる!といった方法です。最初のテンプレートづくりが大変ですが、それさえ終えたらとても使いやすい方法です。

通常では思いつきづらいアイデアに出会いたい方にはおすすめ。


7.ちょい足ししてみる

既存のゲームにちょっと要素を足してみるという考え方です。自分はボードゲームを制作し始めの際に「脳筋人狼」というものを作ったことがあります。

人狼には役職という特殊能力要素はあるもののアイテムカードは存在しないなぁとふと思い、以下のカードなどを追加してみました。

追加カード:ゴー●ドジムの店員/プロテイン(シュワちゃんは騎士です。)

ゴー●ドジムの店員は毎晩任意のプレイヤーに、プロテインをあげることが可能で、プロテインをもらったプレイヤーは脳筋ポイントを+1にすることができます。脳筋ポイントが2貯まったプレイヤーは、人狼からの襲撃に1度だけ筋肉の力で耐える音ができるというルールです。

ゲームバランスとしてデザインとして成立しているのかという疑問は、試遊を重ねてブラッシュアップするしかないとして、1つ足すだけで今までにないものができたりします。


8.楽しいを膨らませる

皆さんには日常でついやってしまうorやっていた遊びはありませんか?

●ホウキを手のひらに乗せてバランスをとったり

●写真の人物がなんて言っているのか考えてみたり

●ちょっと遠くからゴミ箱にゴミを投げ入れてみたり、またそれが微妙に入らなくてちょっと悔しかったり


そんな無意識的にしていた「遊び」を一度思い出し、自分がどんな時にどんな感情を抱いたのかを思い出してみましょう。その一番強い箇所にフォーカスし、それを主のテーマとしたゲームを考えてみる手法です。

さっきの3つから考えてみると例えばこのようなものが考えられると思います。

●ホウキを手のひらに乗せてバランスをとったり

<楽しいところ>

・人よりも長く倒さずにバランスを保っていられるかを競うのが楽しい。また、過去の自分よりも長く保てるかを挑戦するのが楽しい

・重心がちょうどいい場所が見つかった時が楽しい

・難易度を乗せる場所によって変えることができる

<楽しいを膨らませてみる>

・バランス○×ゲーム


→2人用の対戦ゲーム。縦横ななめどれでもいいので自分の色を3つはやく並べられた方の勝ち。スタートの合図で各プレイヤーは、手のひらや指にポールを乗せて10m先のかごに向かいます。見事ポールを倒さずにかごに辿り着けたら、○×ゲームの要領で好きな場所にポールを入れます。基本的に一度置いたポールは動かせませんが、いずれかの指1本でポールを運ぶことができた場合は、相手の置いてあるポールと入れ替えることができます。

小さい子からでも遊べる体を使ったパーティーゲームです。


以上8つのボードゲーム制作の始め方でした。いかがでしたでしょうか?

なんだか簡単にできる気がしてきませんか?

AvignonGamesは「やってみたい!」というチャレンジや想いを応援します。ちょっとしたボードゲーム制作での悩みがあれば、ぜひお気軽にTwitterなどでご連絡いただけたら幸いです!

ゆるくボードゲームの作り方2に続く!


ココアマガジンについて

スイタ氏やAvignonGamesの活動について書いたマガジンです。 日頃考えていることや、なぜこの選択をとったのかを書いていきます。 甘党の筆者に、「がんばってんな、おつかれ」という気持ちで、ココア1杯(500円)を差し入れいただけたら幸いです。

ココアマガジン購読はこちらから!


第2回へ続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?