リタリンが欲しいA君の場合
リタリン欲しさに、医師に「突然眠ってしまう。自分にはナルコレプシーの疑いがある」と訴えるA君。ナルコレプシーに高確率で伴う症状"情動脱力発作"(感情が強く動いた時に力が急に抜ける症状)も医師の前で役者さながら完璧に演じきった。
そんな努力の結果、医師に処方されたお薬…
「モディオダール」。
実際に↑こんな事例は何件もありそう。
*現在のナルコレプシー患者への第一選択薬は、リタリンではなく、モディオダールだという。薬価は、断然リタリンの方が安い(モディオダール407.8円、リタリン8.2円)。しかし、リスクとベネフィットのバランスを考慮するとモディオダールの方が安全性の点で良いので第一に選ばれるのだと思われる(筆者の憶測)。
-後日-
やはりリタリン欲しさに、再び医師に訴えるA君。
「あのお薬は全然効きません!リタリンというお薬を出してください!」
医師は少し考えた後、こう答える。
「それでは、睡眠障害専門のクリニックがありますので、そちらで一度検査してみてください。後ほど、紹介状を書いてお渡ししますね」
*ナルコレプシーか否かは、一泊の検査入院で睡眠時の脳波を調べることにより明らかとなる。
睡眠障害専門医「検査の結果、ナルコレプシーでは無い事が判明しました。にも関わらず、情動脱力発作の症状があるのは何故なんでしょうね~」
A君……(沈黙)
【コラム:結構つらい「過眠」について】
「睡眠障害」と言えば、「入眠困難」「中途覚醒」「早朝覚醒」の事を指して述べられることが多いと感じるが、睡眠障害で忘れちゃいけないone more thingあり。それは「過眠」。
夜十分な時間眠っているのに、昼間酷い眠気に襲われ眠ってしまう。眠り過ぎる。それが「過眠」。
私は、不眠も過眠もどちらも経験した事があるが、過眠の方が不眠の何倍もつらいと感じた。具体的には割愛するが、生活上の支障が過眠の方が多かった。
「過眠だったら、アッパーな薬貰えていいじゃん」
なんて言う人もいるかもしれないが、眠剤などのダウナーな薬と比べアッパーな薬は種類がだいぶ限られているし、強い規制がかけられているものばかり。そんなうだつの上がらないアッパーな薬達の中から、自分にぴったり合う薬が見つけられたとしても、依存と離脱症状、それから耐性が付いた時の為の代替薬はどうするか?…等の問題が生じやすく、そういい事ばかりでは無い。
私の過眠はいつの間にか治まったが、もしまた過眠になったとしたら、もう私の事は「赤ちゃん」として扱って欲しい。赤ちゃん過眠当たり前。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?