ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#4異質の中の小僧っ子
今思えば、随分と平均年齢の若い店だったように思う
戦後焼け野原の大阪で
先代社長が一本独孤で立ち上げた中華料理店は、60年の時を経て10近い店舗を抱えていた
その中で、新しい試みを20代中心の若いスタッフで
そんな店に配属されたものの
会社内のパワーバランスの複雑さに翻弄される日々が続いた
ワンコインランチとまではいかないまでも、安価なメニューを並べる店舗が中心の会社で
客単価7000円のその店は、かなり異質だったのだろう
「なんでお前が?」
「俺の方がふさわしいのに・・・」
真っ向から言われたのがせめてもの救いだった
同じ専門学校卒の先輩から、酒の席で絡みに絡まれた
「俺の方が優秀やからちゃいます?」
殴られなかっただけマシだったんだろうと、今でも思い出すと赤面と自責で気が狂いそうになる
そろそろ入社から1年が過ぎ
面倒な事が無かったわけではなかったが、それなりに順調に日々は過ぎていた。
他店に配属された同期達と初任給は同額だったものの、徐々に差が出始めた頃
僕は生まれて初めて退職願いを書いた