【2016年】元旦。誰にも告げず旅立った君へ。


わたしの目標や抱負なんて「元彼と仲直り」「くびれる」などから更新されないので、新年の目標も挨拶もSNSで書いたことがなかったのだが、


今年の1月1日は個人的に大きなできごとがあったから、こんな年始に、改めて、壮大な、厳かな、神聖な、大切な、ことをしたためずにいられないので書きます。


私はもともと、ものすごい直毛である。

何度か坊主に近いベリーショートにしたことがあるけどそうするとツンツンしてしまうし、幼少期から顔が引田天功に似ているためボブくらいの長さにすると完全にイリュージョン感が増すほどに、完全なる、大いなる、絶対的な【完全なる直毛】なのである。

つい2日前に2016年が明けた。

目が覚めて、しばらくして、わたしはいつも通り、化粧をするため鏡をみたのだけど、その瞬間「え?!」と二度見した。
その【完全直毛】なわたしの前髪の一部が、完全に、ちりちりになっていたのである。ただの、燃えてちりちり、寝癖でちりちり、という感じではない。もう、完全に別の場所の毛、あの、下半身のある一カ所に生えるべき、"あの毛"、まごうことなき、"あの毛"、と同一人物、、、わたしは思わずひとりでその名を口にしそうになる「これ、、、陰、、、」

そのとき。ちょうど起きたばかりの夫を発見した私は、前髪を引っ張り見せて、気持ちを、できるだけ落ち着けて、彼に言った。
「ちょっと、、、衝撃なんだけど、この前髪、見て、、?!」
そう言ったら、夫は眠そうな目を、はっ、と見開いて言った。

「え、それ、、、、ちん、、、」
ダメ絶対!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
と思った私は彼の言葉に被せて咄嗟に言ったのだ。

「これ、交換留学だわ!!!!!!!!!!!!!!!」と。

これは前髪とあれの交換留学である。私という大世界というなかで、私という大地のもと根を張り生えている毛と、毛が、ついに、満を持して、夢だった交換留学を果たしたのである。かたや常におでこの上にいて、鏡に映されたまに巻かれたり切られたりだとかして愛でられてきた毛。そしてかたや、いつもパンツのなかで潜むようにしていきてきた毛。


まず、いいな〜〜〜〜〜と思った。心の底から思った。
私の中にある大きなコンプレックスは2つ。
「美大じゃないひとコンプレックス」と「留学してないひとコンプレックス」である。「美大じゃないひとコンプレックス」に関してはとにかくドヤっ美大ドヤ!ムサビどや!に憧れて絶対勝てないもう生まれ変わるしか無い美大卒って言いたい美大卒かっこいいいああああああああああああああああああああという自分が美大をでていないことに関する無駄なコンプレックスでそれは別の回で話すとして、わたしは「なんだかんだ留学しようしようとして結局できなかったコンプレックス」が根深く、でもこの毛たちはこんな身近なところでめっちゃ世界観違う場所に留学しとる!と思い衝撃をうけたのである。

そして、いいな〜〜と同時に、
わたしの体という、あまりにも狭い範囲で留学して価値観を広げる彼らを前にして、「あれ?わたしだって、いろんな場所や立場や景色にこんなふうに、たとえば距離にしたら遠くないかもしれないけど、留学って、たとえ遠い場所じゃなくたって、いろんなところでできるんじゃない?!」強い希望を感じたのだった。

たとえば、いつも息子をつれてってる公園とはちがう、となり街の公園にいってみたら世界観全然ちがうかもしれない。いつもいくスーパーじゃないところで買い物をしたら景色は違う。いつもJwaveだけどTOKYOFMにしてみる。着ない色の服をきて、どんな気分か味わう。はちみつを、とんでもないものにかけてみる。

世界は国境だけでわかれているわけではないのだ。

自分から、別の国にいってみる。そういうこと、この10年くらい、してなかった。18歳くらいの時なんて、大学入試の模試会場のホールで、「あー気分変えたい」と思って試験の休憩時間にホールの壁で壁倒立をしていたわたしだったが、最近全然、そんなことしてなかった。


さっき見たトーマスのDVDの中でも、双子の機関車が「いつもおなじ景色いつもおなじいつもおなじ。楽しい事ないない」と歌っていたけど、機関車には無理かもしれないけど、倒立をしたら世界は真逆になるし逆上がりをしたら世界は一周するし、たとえば目を閉じて、深呼吸して、開けたら、世界は5秒あたらしい。

ひとはこれをもしかするとちいさなささやかな、「冒険」と呼ぶかもしれない。でもわたしはあえて「留学」と呼びたい。留学いってくるわ。と言ってどこかのドアを開けどこか行きのチケットを買って知らない考えや価値観や風景に降り立つ様に、いざ「いってきます」と言いたい。そして「なにを学ぼう」スタンスで留学を終えて、夜はゆっくりお風呂にはいりたい。

1月2日。
親愛なるわたしの毛とわたしの毛は、元通りの場所に戻っていた。
なにを見て何を感じ何を学んだのだろう。とりあえず、誰のためか、明日は新しいパンツを買いにいく。





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