2024/5 映画・ゲームまとめ

映画
・メメント

 おもしろかった…!レナードの記憶障害を観客へ本当に体験させて、「自分は一体何をしたんだ?」「目の前の男は何者なんだ?」でグイグイ展開を引っ張っていく。10分ずつシーンが遡っていくことで、映画=動画だから過去から未来の方向にしかいかない媒体で未来から過去へ時間を流している。時間って逆方向に流せるんだ……すごいな。めちゃくちゃおもしろかったな……



↓以下ネタバレ
「彼の嘘を信じるな」がいつ書かれたのかずっと気になってたから、答え合わせされたとき「っか〜〜〜〜!!!」になった。「自分で物語を作る」と決めたんだ、レナード。
 クリストファー・ノーランって天才なんだ…いや周知の事実だと思うんだけどね。改めて実感した。




・ゴジラ−1.0

 ハッピーエンドに含まれる不穏大好き♡にこにこしちゃう。
 特攻隊で生き残ってしまって詰られるのが結構つらかったけど、それも必要な展開として回収されていったので良かった。分かりやすいおもしろさ。でもアメリカでも人気になった理由はわからなかった。
 海での遭遇の後に典子と敷島が家で話すところで敷島の左目の白目の右側だけが充血しているのが、偶然かもしれないけど爆風を間近で浴びた後っぽくて痺れた。このシーン撮ってたカメラマンも多分、ビビッと来てたと思う。普通充血ってカメラの前に立つ時には忌避されるものだけど、特定のシーンにおいてはその生命現象が反転して効果的な演出のようになるのが実写のおもしろさだ。
 神木隆之介すごかった。激情を抑えている表現として左頬だけが震えているのとか。典子さんが死んだ後の暗く淀んだ目とか。すごかった。
 やっぱりゴジラが画面に出てきて大暴れすると嬉しい。景気良く街並みが壊されているのを見ると気持ち良い。そしてゴジラが圧倒的であればあるほど、撃退戦の緊迫感があがる。

・ローマの休日

 オードリー・ヘップバーンが美しい…………登場した瞬間に目を奪われた。姿勢が良くて所作が美しくて、お顔が小さくてとんでもなく造形が整っている。この世の奇跡だ。
 でもプライベートでの振る舞いは年相応のお転婆な少女でそれもまた可愛らしい。びっしり埋められたスケジュールの息苦しさにストレスを溜めて「もういや!」ってなるのは仕方ないよ……しんどいね……安定剤を注射されてふにゃふにゃ寝言を言っている姿がかわいかった。ジョーが良い人でよかった。アンを椅子にぽいってするぐらいの意地悪さはあるけど、前後不覚の少女に手を出す下衆野郎じゃなくて本当によかった。
 最初は王女のスクープ目当てでエスコートしてたジョーが、船上ダンスパーティ後に急に絆されて恋に落ちちゃう。正直どのタイミングでその割合が入れ替わったのかわからなかったので「急に」と感じたけど、機微に聡い人ならわかるのかな?
 アンが恋心を振り切って、道を駆けていく。決して振り返らないのが美しい。対照的にジョーは記者会見の後、じっと立ち尽くしたり振り返ったりする未練たらしさが、愛嬌あって良いなあと思った。2人はもう会うことはないのだろう。それが綺麗だと思う。
 帰ってきたアンが「もう二度とその言葉は使わせません。わが国と王家に対する任務を自覚してなければ今夜帰らなかった。あるいは永遠に」と言う時の毅然とした顔が好き。かっこいい。これまでは背負わさせた責務だったものを、アンが自分で「背負う」と決めた覚悟がかっこいい。この時だけだと思う、アンが黒い服を着ているのって。他人の言いなりではなく自分の意思で、アン王女として生きると決めたんだ。

・トランス・ワールド

 気がついたら知らない森にいた3人が、会話してくうちに年代も場所もバラバラなところから来ていることに気がついて「これって一体どういうこと???」になる話。4人目がドイツ人で、英語で意思疎通できないことにより状況がさらに困難になるのを見て、言葉が通じるありがたさを痛感した。簡単なドイツ語ならわかる人が1人いたからその人を介して意思疎通はどうにかなってた。
 警戒心むき出しの会話からなんとなく連帯感が生まれてくるまでのグラデーションが上手かった。自分が人と対立するのがあんまり得意じゃないから、登場人物たちはずっとケンカしてるように見えちゃうけど、多分言いたいことを言い合ってるだけだ。文化の違いを感じた。



↓以下ネタバレ
 あの商店のおっさんと金庫がSCPだよ〜〜強盗を誘発する機能もあるタイプのSCPですね。でもあんな感じで強盗せざるをえない人の人生を何代も前からやり直させてるの善行だなと思ったけど、うまくいかなかったら存在ごと消える可能性もあるね。実にSCPらしい。

・続 夕陽のガンマン(英題: The Good, the Bad and the Ugly)

 劇伴がいい〜エンニオ・モリコーネという人が作曲しているらしい。覚えておこう。捕虜の足並みに音楽のテンポがぴったり合ってるところと3人が睨みあってるところの音楽、あとテーマ曲もすごく良かった。かなり間をゆったり取るタイプの映画なんだけど、曲がいいので聴き入ってしまう。
 「俺、良い人」って言ってるやつも全然良い人じゃなくて笑う。人は撃ち殺すし、賞金首と結託して賞金を騙し取ってるし。価値観が違うんだろうな。
 「悪い人」が殺し屋なのかと思ってたら、北軍の軍曹でびっくりした。でも軍人が副業っぽい。
 こんな橋がなければ南軍も自軍も命を無駄にしなくて済むのにと思い悩む大尉が作中で一番の良い人だ。爆破してしまえたら、と何度も考えて夢の中にまで出てくるけれど、それを考えるだけで軍法会議にかけられるほどの重罪で、苦しくて酒に逃げている。

・シンドラーのリスト

 この映画を観ることができてよかった。徐々に徐々にユダヤ人の人権が制限されていって、非人道的な扱いをされるようになって理不尽に殺されて、最終的に毒ガス室での虐殺に向かっていく流れが本当に怖かった。まるで大きな波にのまれて向かうべきところが決まっているように流されていく。オスカー・シンドラーは最初金儲けのことしか考えていなかったのだろうし、別にユダヤ人を救おうというつもりはなかった。自己保身も強い。でも、あの大きな流れの中をうまく泳いで1100人を救ったのは本当にすごい。イザック・シュターンに「You are my business.(君がこの工場を動かしている)」って言うシーン、終戦して工場を去る時にシンドラーが「More person.(もっと救えたはずだ)」と泣き崩れるシーンで泣いてしまった。
 リストを作るところでシンドラーが一人一人の名前を言っていくところから、ちゃんとユダヤ人を人間として見ている人だったことが伝わってくる。
 人間が人間として大事に扱われないから、工場の要であるイザックですらもひとからげの荷として運び去られてしまいそうになる。生と死の境が常に紙一重の緊張感があった。

・スカーフェイス

 まんまGTAだ…!!!すごい。序盤、取引に行ったら攻撃されて金だけ奪われそうになるやつとか、ゲーム内でやった気がするもん。派手な柄シャツもゲーム内で着てた!!ボスの家の調度類すら見覚えある。
 悪事で成功した人間を描く映画は最終的に破滅するのがパターンなんだけど、そのきっかけはやっぱり警察イベント発生が多いね。今回はその前段階として成り上がりで汚い言葉と金の話しかできない、仲間を大事にしない・信用しないところから人望がなくなる→自らマネーロンダリングに関わって脱税罪に問われる→ソーサとの取引で依頼された暗殺を反故にする→始末という流れだった。
 妹ジーナが巻き込まれてしまうきっかけも、成り上がりで調子に乗ったトニーが多額のお小遣いを与えたことが遠因だ。トニーの母の「お前の手に触れたものはみな腐る」が真理を突いている。なんでマニーを殺したんだろう?怒って後先考えなかったからかと思っていたら、トニーも後になって「なんでマニーを殺した?」って言っててちょっとおもしろかった。多分ヤクやアルコール中毒になってそういう判断力が鈍ってしまったんだろう。元ボスも「自分のブツには手を出すな」って教えてくれたのに、守ってなかったから。

ゲーム
・ドキドキ文芸部

 モニカ………………あの空間に入ってお話すればするほどどんどん好きになっていった。好感度の上がり方よ。すごく楽しかったよ……モニカ……5,6時間は向かい合ってモニカのお話を聞いていた。話題豊富で聡明で合理的で、本当に質感がすごかったな……
 友達2人がほぼ並走みたいな形でやってたんだけど、モニカをめちゃくちゃ怖がって即消してて私は悲鳴を上げた。もっとお話しようよ!!!!!
 やって良かった…………モニカ、好き……

アニメ
・ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風(5部)

 ストーリーがサクサク進む。死にそうで死なないけど、死ぬ時はあっさり死ぬ。ブチャラティかっこいい……アバッキオ……ナランチャ………命、魂の扱いがかなり独特というか流動的な扱いをされている。展開の熱さ重視。でもおもしろかった。他の部も見てみたい。

・ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド/戦闘潮流(1部/2部)

 台詞の勢いと独特さがおもしろい。ネットミームの特産地だ。生まれ育ちが劣悪であるにも関わらず、装う所作が高貴で完璧なDIO好きですね……なるほど、悪のカリスマ……
 スピードワゴンが全然死なないのが意外だった。
 ジョセフ・ジョースターはあんなにムキムキだし粗暴な感じなのに計算高くて先読み能力に優れていて絶妙なキャラだと思った。不思議なバランスでできていて、類型化すると途端にジョセフっぽくなくなるだろうな。完璧なヒーローじゃないジョセフだから、次にどんな行動をとるか読めなくておもしろかった。

・ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース(3部)

 こんなに次々とスタンドの能力を考えつけるのすごい。ネタ切れになるかもという不安を感じない人なのか……
 DIOに対しての忠誠を誓ってる人がたくさんいてうれしい。なんだろうね、色気とかっこよさがあって魅力的だ。
 物語の構成としてはそれぞれバトル内でのアップダウンがありつつも、全体としては真っ直ぐラスボスへ向かっていてわかりやすく、徒労を感じさせないようになっている。行った旅路を引き返すというイベントは一度もなかった。

・ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン(6部)

 主人公としては徐倫が一番好きかもしれない。一番劣悪な監獄にぶち込まれて虫の這う食事をショックで遠ざけながらも「精神力の消耗を避けるためには食べられるものは全て食べておいた方が良い」と覚悟して食べるところがかっこよかった。舞台が刑務所であるがゆえに、徐倫に降りかかるのって見栄えのする試練ではなくて尊厳が傷つくような試練や「恥」の試練が多いんだけど、それらを覚悟と機転で乗り越えていくのが本当にかっこよかった。現実で生きていて、かっこいい試練なんて無くてそれこそ「恥」や「侮辱」の試練が多いから、徐倫のかっこよさはより身近で勇気づけられる。
 徐倫がもういないのはとても悲しい……幸せになってほしい……

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