夢日記

本を読みながら煙草を吸う横顔が美しかった。

一生のうちに見るもののなかで、これほど心が擽られる光景にあといくつ出会えるのだろう。

私は向かいに座って、ぬるくなったコーヒーを飲む。

猫になりたい、と私は思った。

猫になって、あの人に飼われたい。

あの人は愛おしそうに私を見つめて、キスをする。

私は、あの人の腕の中でうずくまって眠るのだ。

ばかばかしい。

秋の匂いのする橋の上を、くだらない想像を打ち消すみたいにさっさと歩く。

季節外れの汗をかいて、またあの人の匂いを思い出す。

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