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machia.5【MATIere-4】
マチと体の関係含め元通りになってから1年、俺の両親が立て続けに他界した。
その際、意外な額の現金と家を相続した。
今まで独り暮らしだったが、それを機に実家に戻ることにした。
俺一人に対して部屋数が多く、誰かとシェアするにはちょうどいいと思い、マチにルームシェアの提案をしてみた。
「それって実質同棲じゃん。振った相手、ましてや彼氏がいるって相手にそんな提案するなんて流石お兄さん流石だね。」
と、「流
machia.4【MATIere-3】
それからさらに数か月が経ち、また彼氏と別れたとマチから連絡が来た。
「今回はダメだった。どうしても好きになれなかった。」
その連絡の後、マチから呼び出された。
いつもなら気軽な感じで呼び出すのに、今回は少し重たい気がした。
「ちょっと、話が。」
なんてマチらしくもない。
いつも通りご飯を食べて、その後ホテルにでも行くのだろうと思っていた。けれど、マチから「海に行きたい。」と珍しくリクエストがあり、
machia.3【MATIere-2】
最初、マチも俺もお互いのことが認識できなかった。
俺の友人が彼女とマチとで最近も会っていたようで、友人の方から声をかけた。
「まーちゃん!」
「おー!久しぶり……でもないか!」
マチは友人に声をかけた。
「今日はかえちゃんとじゃないの?」
かえちゃんとは、友人の彼女。別れたりよりを戻したりを繰り返している、マチと初めて会った時にいたあの子。
「かえは仕事。多分。」
「で、そちらの方は……?」
マチ
machia.2【MATIere-1】
俺とマチが初めて出会ったのは、俺が高校3年生、マチが高校2年生の夏休みのことだった。
受験を控えている中、勉強ばかりで息が詰まりそうだと友人に愚痴を零したら、何故か友人とその彼女と、彼女の友人と遊びに行くことになった。
友人の彼女ともその日が初対面で、人見知りの俺は「友人とちょっと釣りに行くだけでいいのに……」なんて思っていても言い出せず、結局その日を迎えてしまった。
「初めまして。小林茉知です
machia.1【repLICA-1】
「おめでとうございます。かわいい女の子ですよ。」
白衣を着た男が嬰児を抱え、俺の方を振り向き微笑んだ。
俺は白衣の男から嬰児を受け取り、抱きかかえた。
「お名前は決めているのですか?」
「はい。リカにしようかと。」
「戸籍を作るのでしたらこちらと、こちらの書類を役所に提出してください。戸籍を作らないのでしたら、破棄していただいて構いません。」
白衣の女が俺に書類を見せる。淡々とした口調は事務的で、