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TRUMAN SHOW


おはよう!
そして会えないときのために
こんにちは、こんばんは
そして、おやすみなさい



周囲を海で囲まれた島で暮らす、お茶目で明るい性格のトゥルーマン。ところが、そんな彼の人生には秘密があった。なんとそれは、町そのものが全て作り物で、トゥルーマン以外の人物は全員俳優として演技をしていた。そしてその日常はテレビ番組《トゥルーマン・ショー》として世界中に放送されていた…。

自分では知る由も無いが、彼はとても有名人で、多くの視聴者及び熱烈なファンも存在する。


(ネタバレあり)


その世界ではトゥルーマンだけが、事実を知らない。偽物の世界のなかで彼だけが、本物。彼の心だけが、本物だった。

自分がトゥルーマンだったら…と思うと怖い。信頼していた親友も、家族も、恋人も。全員が仕事で台本通りに演技をしている。
決められたレールの上をただ歩かされるだけの人生。


事実に気づいたトゥルーマンは、町中に取り付けられた5000台ものカメラの目を盗んで、失踪する。
この失踪している間は、トゥルーマンの姿が画面に一切現れない。彼の心理描写すらない。
その演出は、まるで私たちもその世界の住人になったかのようだった。
彼が再び画面に現れると、安堵した。そして、気づけば視聴者と同様に、テレビの前で応援していた。


船に乗り、海を越えて、壁に突き当たる。そこは、彼が30年間 生きてきた世界の出口だった。そこで、空から声が聞こえる。番組プロデューサーであるクリストフの声だった。

出口を出ると、危険がある。今までシナリオ通りの事しか起こりえなかったから。どんなことが起こるかだって、想像も出来ない。
始めて、自分で決断すること。自分の意思で踏み出すことへの恐怖もあるだろう。困難もあることだろう。

それでも彼は踏み出す。作られた世界の自分でなく、本物の自分になるために。


最後にクリストフが言う。
「何か言ってくれ。全世界に放送中なんだぞ!」

それに対してトゥルーマンは、

「会えない時のために、こんにちは、こんばんは。そして、おやすみなさい。」

それから、深々とお辞儀をした彼はカメラの前から姿を消した。

この言葉が、自ら視聴者に向かって話した、最初で最期の言葉だった。トゥルーマンを応援していた視聴者たちの歓声が湧き上がった。


作中では【EXIT】つまり《出口》と表現があるが、トゥルーマンにとっては本物の世界の《入口》であり、そこからが始まりだ。

その入口に踏み込むシーンがとても印象的だ。
彼にとっては、初めてだったわけだけれど、私たちは人生で何度も、彼が立っていた場所と同じ場所に立たされている。決断を迫られている。

自分自身を偽ることもなく、妥協せず、覚悟を決めて歩みたいものだ。彼の勇気を見習いたい。そんなことを考えさせられた。


好きな映画。
偽物の演出では、本物の心には敵わない。


2/4

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