愛しいあなた


同期や先輩、後輩と打ち上げに行く機会があった。

元々打ち上げにはあまり行かないけれど、今回は22時解散と事前に決められていたこと、先輩方が就活を本格的に始めることで一緒に打ち上げをする機会がなくなること、わたしが20歳になってお酒を飲めるようになったこと。

色んな理由が重なって、わたしはメッセージアプリの投票機能で、打ち上げに行く、を押した。

結論から言うと、お酒は一滴も飲まなかった。
みんなが何より幸せそうで、それだけで、わたしはもう胸がいっぱいだったから。

愚痴をこぼしながら、あれだけしんどいと弱音を吐いていたみんなが、わたしの名前を呼んで、楽しかったね、よかったね、なんていうのが、ほんとに嬉しかった。

このひとたちと会って、このひとたちのためにわたしが在って、よかったなあと思った。
あなたが笑ってくれることが、あなたが楽しいということが、わたしは何より幸せで、何より生きててよかったと思えることだった。

別にそれが、お酒の力でもいい。その場の勢いでもいい。

しんどかったです、なんて珍しく愚痴を吐く後輩が、何も言わずに抱きついてくる同期が、苦笑いしながらも楽しそうな先輩が、もう、すきですきでたまらなかった。

うっかりこぼした本音も、大好きなあの人への言葉も、例えばそれが貼り付けた笑顔でも。それでいい。ここに集まったわたしたちのことだから。すごくすきだよと笑い飛ばせた。

けいさんごめんなんて、言わなくていい。あなたが幸せなら、わたしはなんだっていいし、全部全部、人間らしいなって、あなたにであえて幸せだなって、わたしは笑えるから。

そして何より、こんなことを書いているわたしも、間違いなく場酔いしている。きっと酔いが覚めた同期がこの文章を読んだら、キショ、なんていうんだろう。それでもいいな、また一緒に笑い飛ばして、また演劇ができたらそれで。

2023年2月19日



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?