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短歌

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2023年12月の記事一覧

ドドド

ドドド

映画版ジャイアンみたいいざという時に頼りになるその背中

彼女のリュックは四次元ポケットのよう タケコプターは出てこないけど

リサイタルの噂を聞きつけいそいそと出かける空き地の周辺住民

🚪

電車のドアがどこでもドアならば品川なのに日暮里に着く

新幹線のドアがどこでもドアならばひかりでも三河安城に止まる

浴室のドアがどこでもドアならば入浴剤要らず温泉気分

🚪

命拾いしたなお前のこと

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ゆく年くる年

ゆく年くる年

年越しの10分前受話器から流れる117 時報の声

zoom越し新年へのカウントダウン 微妙にずれた「あけおめ」の声

前の街へ鐘つきに来た帰り道 かつての我が家に明かりが灯る

元旦郵便受けまで小走りに 今年もやたらと厚い朝刊

2日にはお祝いムードも落ち着いて年賀状を待てども来ない

日常非日常

日常非日常

鳥居から飛び立つ八咫烏を追い反対方向向かう足取り

田園風景の中を行く電車 窓越しにマンドラゴラの声

荘厳な嫁入り行列を見かけた 雲もないのに雨が降ってた

隅田川花火大会中継のヘリと一緒に飛ぶ天狗たち

恐竜を個人で飼育することは法律で禁止されています

予選落ち

うちの猫はしっぽが2本あるし隣の家の犬は頭が3つ

学校でボール投げの特訓中 トレーナーへの第一歩

タクト

タクト

「課題曲は『大地讃頌』」と聞いて「讃頌」の意味を考えている

指揮役は今年もあの子がやるらしい ちょっと音痴だからちょうどいい

ソプラノはリーダーがもう決まってる 出方を伺うアルトの面々

地平線に沈む夕陽のその向こう 聴こえ来る咆哮とバラード

音楽の授業も合唱練習に サウンド・オブ・ミュージックが途中

ソプラノのリーダーが泣いて怒るのを真っ直ぐ立って冷めた目で見る

ここに来て真面目に歌う

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うたの日に出した短歌38

うたの日に出した短歌38

12/18 題「撃」
弾を込め照準合わせ撃ち込むもいとも容易くバリアが弾く

12/19 題「濃」
今日の服色が綺麗で素敵だね ちょっと濃いめの抹茶みたいで

12/20 題「らっきょう」
愛娘がらっきょう農家に嫁いでく 嫁入り道具にカレースプーンを

12/21 題「蟹」
ジョン・ケージ『4分33秒』演奏:私 指揮:ボイル蟹

12/22 題「柚子湯」
昨晩は柚子湯だった 今朝干した洗濯物の匂い

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うたの日に出した短歌37

うたの日に出した短歌37

12/13 題「鯛焼き」
粒あんとこしあんが混ざらぬように袋に「つぶ」と「こし」とを記す

12/14 題「寒」
幼き頃母が作った寒ざらし 私は吾子へ 知る母心

12/15 題「リング」
シロイルカのバブルリングが迫り来る速度でエンゲージリングがはまる

12/16 題「オレオ」
ただ今よりオペを始めます 慎重に剥がされてゆく上のクッキー

12/17 題「以内/以外」
この世にはオレかオレ以外

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うたの日に出した短歌36

うたの日に出した短歌36

12/8 題「鮭」
熊たちが鮭だけ食べれば平和なのに イクラ軍艦流れるレーン

12/9 題「姿」
本日は店じまいさせていただきます おつまみとするイカ姿フライ

12/10 題「自由詠」
サブスクの規約は隅まで読み込むし手信号を出してから曲がる

12/11 題「嬢」
5万人が背番号3を背負うドーム うぐいす嬢の呼び込み響く

12/12 題「ダース」
「ねえひとつちょうだいよ」の言われ待ち こ

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うたの日に出した短歌35

うたの日に出した短歌35

12/3 題「メトロノーム」
枕元で鳴るBPM60のメトロノーム まだ眠れない

12/4 題「ツンドラ」
ツンドラに住む彼もきっと好きだろう 三郷のIKEAのミートボール

12/5 題「苺」
木苺の生ってる場所を知っていた君はいつも輪の中心にいた

12/6 題「墨」
白墨で汚れた指定のセーターを愛しく思ふ三月一日

12/7 題「肝」
秋刀魚一尾焼きつつ思う私の肝はどんな味なのだろう

うたの日に出した短歌34

うたの日に出した短歌34

11/28 題「組」
彼は今1人でやりたいお年頃 プラモ組立をただ見守る父

11/29 題「尽」
あれがイヤこれじゃなきゃイヤと騒ぎ立てイヤイヤ期中の理不尽な吾子

11/30 題「ミネストローネ」
寒い朝に食べる昨日の私が作ってくれてたミネストローネ

12/1 題「冬」
重ね着とこたつで乗り切る数ヶ月 冬将軍とのタイマン勝負

12/2 題「繋」
私たちを繋ぐ糸が何色でも命を懸けて紅に染め上

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