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その奥にあるもの。

仲良し芸人、という言葉をよく耳にします。

時代に求められるTV・お笑いの姿であり、観ている側はホッコリして笑えるのです。



では、ビジネスなのでしょうか。
私はそうは思いません。

映る"仲良し"の奥に大いなる信頼を感じられるのです。

好きな芸人さんを挙げて、その信頼とやらを書き起こしてみようと思います。


 かまいたちさん


お二人の関係性は本当に美しい。信頼関係とはこのこと。お互いにお互いをよく見ているから、いざと言う時にすぐ支えることが出来るのです。

今では尊敬する人に挙げるほどなのですが、前まではどちらかというと苦手な芸人でした。

苦手な要素だったのが、しゃべくり漫才の中でも"強いしゃべくり"であったこと。会話から派生して段々ギアが上がってきてガーっと掛け合う、あのスタイルが、私には刺激が強かったのです。単純に、大人の男の人が言い合っている画が怖かったのです。

なんかのきっかけでYouTubeに行き着いてどハマりして、もう一度ネタを観た時には見え方が全く違いました。
そうか、この二人の関係性があるからこそ
あの様に見えていたのかと。

お互いに、相手を全部全部受け止める。
お互いを思い合い、常に気に掛けている。
丁寧に紡がれた糸は、繊細でありながら太く強く結ばれている。

あの漫才は、練習や個々の力量だけでは成り立たないと断じて言えます。二人が連れ添った時間ありきのパフォーマンスなのです。

信頼イコール委ねる、ではないことも学べます。信頼は能動的な行為で、握手する時に手に力を込めてギュッと握ったのを相手も握り返す、といったイメージです。自分のすべてを持って相手に向き合う、立ち場や役割が違おうが同じ熱量でいることだと思います。度々視線が交わるのはそのせい。柔らかく温かい眼と眼。
このような人と人との築き方を教えてくださったのが、かまいたち夫婦でした。


見取り図さん


こちらは初見から「仲ええなぁ〜☺️」となるコンビですよね。お互いに愛が溢れている。

漫才からお二人に入りましたが、その時点で距離感が他と違うと感じました。ネタ的にボディタッチが多いのか、気づいたら触れちゃってるのか分からないほどです。

容姿から性格まで何一つ違っていて、それでいてこんなに寄り添えるもんなんですね。しかも寄り添ってますよ感が出ていない。でも愛は感じられる。…どういうことだ???
この条理に反する不思議な関係性に見事に惹き込まれるのです。化学反応とはまさにこのこと。

かまいたちさんと異なるのは、優しさを見せないところ。それはキャラクターであり本心でもある気がします。暗黙の了解で、優しく在らないというスタンス。(だけど本当は優しいから滲み出ているのがまた愛おしい。)

お互い自由奔放に振る舞い、置いてけぼりにし、突き放し、フォローせず、関与しない。これを日常的に出来るのは、信頼の証だと思うのです。
自分が何をしようが、これから先も隣に居てくれる。何をしていようが、気にしないでくれる。ゆるくさらっと受け流してくれる。
気に掛けないことが、究極の優しさなんだと教えてくださった見取り図カップル。
お二人は心が隣同士にいるのだろうと思います。


男性ブランコさん


自ら仲良しを推してないのに仲良しにしか見えないのはそういう事なんでしょう。
もし「仲良いですか?」と訊かれたら、
「え、あぁまぁそぅですね…」(チラッ)
「好きなものが一緒やから…ぅん」(チラッ)
みたいに言いそうですよね。

2021年末のコントライブ『てんどん記』の『考察記』にて、浦井さんがさらっと仰ったことが個人的にすごく引っかかりました。
あのおそろしく伏線が張られ、素晴らしく複雑で多意な脚本を、どこまで理解して把握して演じているのですか、分からないところは平井さんに聞くのですか、という質問に対して、
「あんまりしないですね。全部分からなくてもいいと思っているので。全部分かってやっちゃうと何というか、、なんで僕なりの解釈で…」

分からなくても、いい。
この考え方は、そうそう出来るもんじゃありません。私だったら聞きまくります。だって不安だから。一緒にやるんなら、同じくらいは知っておきたいから。それをしない。長年の経験があることを差し引いても、です。これのすごい所は、すべて身を任せていますという意味でもなく、通じ合っているんで!という意味でもないこと。
彼の紡いだ言葉を見て、言葉にはなり得ない部分を、ほどほどに感じ取る。全部ではいけない。彼もそれは望んでいない。反対に彼は、貴方となら大丈夫、と伸び伸びと思うままにやる。

お二人は、色のある液体を一つの容器に少しずつ注いでいくイメージです。紫を創ろう!としたら赤と青を片方ずつ持つわけですが、交互に好きな量入れていって出来たものが"紫"であって、バランスとかは考えないし、完成図はどっかにやって無い仕様。でもどっちかに傾き染まるわけではなく、今日の二人の彩が出来る。

信頼の上に成り立つ素敵な世界を魅せてくださる男ブラ兄弟でした。



【番外編】

あるコンテンツを観て、仲良しじゃないのもオモロいんや、と知りました。

ニューヨークさん

この動画に、お二人の独特な関係性の全貌が詰め込まれていると思いました。
この不思議な距離感がなんだか楽しいのです。

プライベートの仲良さは一切無いのに、お笑いの価値観がめちゃくちゃ合ってる2人


ほう、お笑いの価値観。

新たなる観点を見つけてしまったぞ。
コンビ、深いぞ。


皆様の明日が美しく彩りますように。

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