見出し画像

誤差と有効桁数の考え方

誤差有効桁数の定義や考え方について説明します。筆者のnote記事に頻出の概念ですので、ぜひお読みください。

絶対誤差

定義:絶対誤差とは、測定値と真値の差の絶対値を指します。すなわち、

と定義します。ここで〈測定値〉は、数値計算やシミュレーションにおいて、〈計算値〉と読み替えていただいても構いません。

例を示しましょう。

例:
長さ4 cm(真値)の棒の長さを測ったところ、3.8 cm(測定値)だった。
⇒ 〈絶対誤差〉= |3.8 cm - 4 cm|= 0.2 cm

上の例のように、測定値・真値に単位がある場合、絶対誤差も単位をもちます。

相対誤差

定義:相対誤差とは、絶対誤差を真値で除した値の絶対値を指します。すなわち

と定義します。
こちらも例を示しましょう。

例:
長さ 4 cm(真値)の棒の長さを測ったところ、3.8 cm(測定値)だった。
⇒ 絶対誤差は 0.2 cm ですので、相対誤差は
0.2 cm / 4 cm = 0.05 = 5%
と計算できます。

相対誤差は絶対誤差と異なり、無単位の数値です。なぜなら、計算の中で、分子・分母の単位が相殺するからです。ですので、上の例のように百分率で表示することも多いです。
「無単位である」という特性から誤差同士を比較する場合には、相対誤差が適していると考えることができます。

真値とは?

ここまでの説明では、測定値と真値という言葉を用いてきました。読者の皆さんからは、「真値がわからないから測定するのではないの?」という声が聞こえてきそうですね。
おっしゃる通り、「真値が分からないので、その真値を推定するために測定を行う」という場合はとても多いと思います。そのような場合には、これまでの説明における真値を平均値と読み替えて、誤差の定義をすることが有効です。

別の定義

統計学の分野では、絶対誤差の2乗の平均値である分散が重要な役割を担います。

有効桁数

最後に有効桁数について説明しましょう。もっとも直観的な定義は次のようなものでしょう。

直感的な定義

測定値と真値を最高位の桁から比較して、一致している桁数

例を示しましょう。

直感的な定義の例 1
長さ 4.5 cm の棒の長さを測定したところ、4.2 cm だった。
⇒ 一の位の「4」のみが一致しているので、有効桁数は 1 桁です。
直観的な定義の例 2
上の棒をもう一度測ったところ、4.54 cm だった。
⇒ 小数第一位まで一致しているので、有効桁数は 2 桁です。

直観的で分かり易い定義ではありますが、すぐに次のような問題に気づくと思います。

直観的な定義の例?
長さ 4 cm の棒を測ったところ、長さ 3.9 cm と測定された。
⇒ 一桁も一致していないので、有効桁数は 0 桁???

この例では、有効桁数 0 桁となってしまいます。しかし、測定値 4.1 cmの場合は絶対誤差・相対誤差ともに例の場合と変わらないのに、有効桁数 1 桁となります。これは大きな問題です。

この問題を解決するためには、次のような定義を用いることが有効です。
有効な定義:
有効桁数は、相対誤差の逆数の常用対数をとった値を指します。すなわち、

と定義します(ただし、相対誤差が 0 の場合は、有効桁数は無限大とする)。
このように定義すれば、相対誤差に対して有効桁数が一意に定まることとなり、上記のような問題は発生しません。

まとめ

私の書く記事では、上記の定義を採用しています。他の教科書等では異なる定義もあろうかと思いますので、注意くださいませ。

―――――記事はここで終わりです―――――
ここより下に記事はございません。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?