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事業売却から始まった会社 ( 前半 )

前身となった事業

SUIHEI社の創業は、華々しい話題と苦い思い出から始まります。
SUIHEI社の創業は2019年末ですが、実は創業者である自分は、それ以前に既にあるサービスを運営していました。
ZOWAという動画アプリです。
2019年中盤からブームになったASMRの、特化型アプリ。
おかげさまで、ユーザーの皆さまには大変ご好評いただいています。

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ASMRアプリ「ZOWA」のAppStoreレビュー。ZOWAは大変深いユーザーへの共感によって生まれたアプリで、ブランドストーリーにもあるように自身にも実体験のある、自分から生まれるべくして生まれるサービスだったと思っています。しかし現在、このアプリはSUIHEI社の事業ではありません。


始まりは事業売却

実はZOWAは、会社として始めたサービスではありません。
自分を含むユーザーが求めるものがまだ世界的になく、そして時期として最適で、自分が作るものとしても最高の相性であると感じていた私は、会社より先にチームを作り、個人事業として開発をスタートしました。
当初は、約18ヶ月の予算を用意していました。原資はすべて自分の預金およびキャッシュフローからでしたが、当時行っていたUXデザインの仕事の好調さがこの資金の用意を可能にしてくれました。
(それでもかなり生活費を切り詰めることになったのですが。)
しかし万物に関してそう言えるように、コトは予定通りに運びません。
後にSUIHEI社の前身となるこのアプリ事業は、開始から8ヶ月目に資金難に陥りました。具体的には、4ヶ月後に資金が尽きることが分かったのです。原因は2つありますが、ここではそれは重要ではないので、いずれの機会に残しておくとしましょう。
当時私たちには、撤退の2文字はありません。各種KPIは非常に高い数値を叩き出していましたし、何より、明らかにユーザーに貢献している事業だからです。
よって、資金調達か売却かという選択を迫られました。
資金調達の動きは予想外に苦戦しましたが、売却の話は、幸いにも複数の企業にお相手していただけました。
その中で私たちが売却先として選んだのは株式会社エイシスという会社。お話をいただいた中で最も既存事業が好調だったことと、多くの自由と奔放な予算計画を許容してくれたことが決め手でした。
(余談ですが、まだ取引関係のない企業に5回も6回も足を運んだ体験は、自分にとって初めてのことでした。)

華々しい苦味から生まれたもの

事業売却──つまりM&Aは、時に華々しい話題として取り上げられます。
ZOWAの売却に際しても、当時相談していた起業家仲間などからはいくらかの賛辞を送られました。
しかし自分にとっては、元々ユーザーへの共感や愛情で始めた事業。
本当はずっと関わって行きたいと思う中での売却でした。苦渋とまではいかずとも、我が子を手放すことに何の躊躇いも無かったとは到底言えません。
今にして思えば、売却の決断はユーザーのことだけを考えていたから出来たことかもしれません。
でなければ、未熟な自分が自分の思いよりもサービスの継続をとにかく優先することは出来なかったでしょう。この点で、UXデザイナーとしてユーザーを尊重するしてきた過去の自分の選択に誇りを持っています。
しかしというベキか当然というベキか、売却という華々しくも苦い経験をきっかけに、自分の中にはある考えが生まれました。
結局何かを続けていく為には、ユーザーのことを考えるだけではなく、お金という力が必要だ。ということです。
さて、ここでようやくSUIHEI社が初登場します。
好きなこと好きなようにをやるために、
事業売却による資金を使って、
今度は力がある会社を作ろう。
そう言って、ちょうど似た体験とインサイトを持っていた起業家 谷口弘樹に声をかけ、2人で共同創業しました。そして立ち上がったのがSUIHEIです。

余談

こういう話題では、ブランディングの話を絡めて社名やロゴなんかの由来を話すのがよくある流れだと思うので、少しだけその話を。
SUIHEIという名前は、そのまま日本語の「水平」をアルファベットにしたものです。ではこの水平はどこから来ているかと言うと、私が尊敬する、任天堂の元開発第一部部長 故・横井軍平さんの「枯れた技術の水平思考」からです。ヒットメーカーとしての彼の姿にはいつも感銘を受けます。
次にロゴですが、これは以前、自分が水平思考にハマった際それを表現しようと作っていた画像素材をそのまま転用しています。水平は水平線で表し、かつ空間を分割するのではなく連綿としたものとして表現するため、線ではなく太陽とBlurのみを使いました。

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https://www.behance.net/gallery/72801551/-SignUp
ロゴと同じ素材を使って表現で遊んだりもしていました。

続きは後編で


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