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#44.太宰治的な心象からレディー・ガガは生まれない/Lady Gaga - Born This Way

おはようございます。5月の連休も終わり、すでに憂鬱さを感じてる人もいるかもしれません。わたしの話じゃないですけどね。いや本当にわたしの話じゃあないですよ!

ところで、この時期になると五月病になる人もいると思います。新年度で環境が変わる人が多いし、新しい環境で右往左往しながらようやく連休でひと息つけたところにまた平日がやってくるからかな。

とにかく、今いる環境に憂鬱さを感じている人もそうでもない人も、とりあえず自分の手の届く範囲の環境から少しずつ良い方向へと変えていくしかないですね。それでも憂鬱さを振り払えない。精神的な重荷を感じるのなら、しかるべき機関に相談しましょう。

さて今朝は旧作。2023年4月5日にX(旧Twitter)への投稿を再構成したものです。


ときどき自分が本当に正しい道を歩いているかどうか不安になるときがある人は多いと思います。「自分は今、本当に正しい道を歩いているのだろうか?」みたいにね。

いきなり余談だけど、この「正しい道を歩いているかどうか不安になる」のは、自分がいま物理的に自分の足で歩いている道のことじゃあないですよ。地図アプリとか案内板を見て「この道は本当に正しいのかな?」なんて考え込むような。それはただの迷子です。

当たり前だけど、ここでは迷子のようなそういう狭い意味ではなく、もっと広い意味の「人生の道」みたいなものを指します。人間は生まれてからずっと、この道を歩いているわけですね。進学や就職といった大きなイベントを経ながら。

わたしも一応はときどきいまだに迷っていますよ。このまま本当に小説なんて書いてていいのかな、なんてね。それでも書いちゃうんだけどさ。まあこれはしょうがない。しょうがないんだけど、宇宙人の話なんか書いてて自分は大丈夫か、みたいにいつも思ってます。

とにかく人は自分と周囲とのあいだに生まれるさまざまな理想と現実のギャップによって、自分の歩く道に違和感を抱く。こんな学生生活を送るはずじゃなかったんだけどなとか、上司や同僚とうまく溶け込めないんだよな、みたいなね。

繰り返しになるけど、そういう違和感が大きくなって、心身ともに主にとなって不調を感じる場合は、専門の機関に相談してください。医療とか法律とか、そういう専門家を頼るのがけっきょくはいちばんの解決への近道です。

そこまで至らなくても、理想と現実とのギャップに違和感みたいなものを抱えている人は多いかもしれない。

ふと思ったんだけど、いま自分がいる環境にまったくなんの違和感も抱いていない人っているのかな。職場でも学校でも家庭でも。そういう人がいたら、相当に幸せな人かよっぽどおめでたい人のどちらかでしかないと思うけど。

とにかくそれでも、人は自分の「人生の道」を歩いて行かなきゃいけない。「人生の道」なんて書くとなんだか演歌みたいだけど。真冬の日本海の荒波が岩にザッパーンと砕ける映像が出てきそうな感じのね。

さて、Lady Gagaの"Born This Way"は、理想と現実とのギャップに悩む人や、自分の進む道に違和感を抱いている人など、あらゆる人に対して、あなたはこのまま進めばいい、間違いを犯さない神が完璧な自分をこの世に生み出したのだからと励ます曲です。

Lady Gaga - Born This Way (Official Music Video)

ここでの「神」は、特定の宗教の神というより、自分を肯定的にとらえてくれる絶対的な存在とも言えそうです。

歌詞では"in the riligion of the insecure"と言ってるので、不安定な人々、自分に自信がない人、もっと言えば、自分の歩く道に確信を持てなくて心が揺れ動いている人にとっての「宗教」の「神」ってことになりそうですね。

そんな間違いを犯さない「神」が、完璧なあなたをこの世に生み出したのだから、あなたはこのまま進めばいいと背中を押している、そんなメッセージが込められた曲なんじゃないでしょうか。

そうすれば自分の歩む「人生の道」も、理想と現実のギャップや違和感がありながらも、もっとより良くなる。そう思えてきますね。

考えてみれば、自分のことについて、他人はほんの断片的なことしか知らない。だから、他人が自分のことをどう思おうがどうでもいい。人間は何か意味があって生まれてきたんだから、属性や偏見に囚われるより、自分を愛して自由に生きればいいよね。

たとえ、宇宙人が出てくる小説とか、巨大なザリガニが出てくる小説を書いていても! と思えてきます。

さて考えてみれば、「間違いを犯さない神が、完璧な自分をこの世に生み出した」なんてすごい発想ですね。日本人には出来ない発想です。それだけに自己肯定感を半端なくエンパワーメントします。なにしろ「神」は間違いを犯さないんだから。

これが日本人だったら、「ときどき間違うこともある神が、完璧とは言えない自分をなんだか知らないけど生み出したんですよ。生まれてきてすみません」みたいな歌詞になりそうな気がするけどどうだろう。

それは謙虚といえば謙虚な姿勢だけど、太宰治的な心象からレディー・ガガは生まれない気もするよね。それが良いか悪いかなんてわかんないけど。


※ひつじのはなし|Good Morning! Musicは、水月羊(the Maverick Black Sheep)が大胆不敵にも音楽(主に洋楽)エッセイを書こうという目論見と試みです。洋楽の曲を聞いての感想や解釈のエッセイ、コラムとなります。気になった曲の歌詞の意味はそれぞれ訳してみてください。また違った見方ができるかもしれません。


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