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【特化したレビュー】Insights into workplace bullying: psychosocial drivers and effective interventions

概要

問題と目的

  • 職場いじめは被害者と組織に重大な影響を及ぼす

  • 近年の研究でいじめはさらなるいじめを生み、連鎖することが知られている (Aube & Rousseau, 2014; Mawritz et al., 2012)

  • 実際に、加害行為は被害行為の結果であることも示されている (Escartin et al., 2013)

職場いじめの前駆状態

  • 研究者は、いじめに発展する前の文脈があると指摘している

  • 就業環境仮説から、職場いじめの要因は個人属性を超えていると指摘している

  • 職場の雰囲気が最も大きく説明するとしている

  • マルチレベル研究では公正と心理的安全に関する集合感覚が職場いじめを緩衝するとしている

  • ノンサポーティブリーダーシップも説明する(Hauge et al., 2011; Skogstad et al, 2011)

  • 個人レベルだけではなくグループレベルの事業所への同一化が高いほどいじめがおこりにくい (Escartin et al. 2013)

職場いじめへの介入

  • 初期の介入研究はいじめを防止するためのポリシーによる導入を推奨していた

  • しかし、USAで36のHRプロフェッショナルを対象にインタビューを行った結果、わずかひとつだけの組織がポリシーを定めて実行に移していることが明らかになった

  • 他は、ポリシーにいじめを言及していないか、定めていなかった

  • 先行研究ではいじめの機序について知識を深めてきたが前向き研究に乏しく効果が明らかにされない問題がある

いじめの心理学的要因

上記がプレスクリプティブ・介入の実証研究から得られた成果だが長期的な計画に基づくインターベンションが必要

目的

  • 先行研究ではbullyingとincivilityを区別していないため、区別する

  • 先行研究はプレスクリプティブな研究や啓発も介入に含めておりいじめの介入に特化してた介入が少ないため、区別する

  • 学校と職場のいじめを区別したものが少ないため区別する

  • 暴力といじめを区別する

実験的・準実験による前向きな職場いじめへの介入研究を対象に、いじめ予防の効果を阻害または促進する主たる心理社会的要因を明らかにすることを目的としてレビューを行う

方法

  • 実験・準実験による最低2度の測定を行う前向き研究を対象

  • 学校のいじめや暴力・カスタマーハラスメントのような職場いじめではない研究は除外

  • レビュー・メタ分析も除外

  • データはメタ分析が困難なため、ナラティブシンセシスによる

結果

用いられる理論モデル

  • 一次予防では、文脈の改善、従業員のトレーニング、教育的なワークショップが行われている

  • いじめに関する介入は、5/8が一次予防である

  • 二次予防は、いじめの強さや期間を短縮させたり、いじめが起こった時のコーピングや適切な対処法を教えるものである

  • 二次予防は、いじめに関する介入のうち2/8をしめる

  • 三次予防はいじめが生じた後のネガティブな結果をできる限り防ぐため、被害者の支援を行うもの

  • 組織または個人に焦点をあてるものがある

  • 組織に焦点を当てるものは、プログラム、ポリシーの作成及び訓練により安全な労働環境の構築を目ざす

  • ほかの主たるものは対人関係に着目し、葛藤やいじめを予想して気づいて反応できるよう訓練するもの

  • (どうやっていじめに反応するの?相談か?いじめの予期とは?予期できても放置するのが少なくとも我が国の職場なのに??)

  • 葛藤エスカレーションモデルに基づく介入が二つ

  • 他は明確なモデルは示されていない

介入の記述

  • 5/8が量的研究、3/8が質的研究

  • 多くはいじめを抑制するために気付けるように訓練・教育するもの

  • 他は被害者へのセラピーまたは従業員への訓練

  • 従業員のマネージメントスキル向上 (Meloni & Austin, 2011; Stagg et al, 2011)

介入の成否

アウトカムとして、訓練を受けた上司の部下にマネージメントスキルをどう感じているか尋ねたものがある
いじめの発生予防評価もある (どうやって測定したか調べること)
しかし、いじめの発生率低下に寄与したとするものがない

考察

介入は包括的であるべき (個人・チーム・組織レベルにアプローチするべき)、なぜならインタラクションによって意味なくなる可能性があるから











文献

  1. Aubé C, Rousseau V. Counterproductive behaviors. Group phenomena with team-level consequences. Team Perform Manag. 2014;20(5/6):202–220.

  2. Escartín J, Ceja L, Navarro J, Zapf D. Modeling workplace bullying behaviors using catastrophe theory. Nonlinear Dynamics Psychol Life Sci. 2013;17(4):493–515 (マルチレベルでの職場同一化)

  3. Glasl F. The process of conflict escalation and roles of third parties. In: Bomers GBJ, Peterson RB, editors. Conflict Management and Industrial Relations. The Hague: Kluwer Nijhoff Publishing; 1982:119–140. (葛藤エスカレーションモデル)

  4. Hauge LJ, Einarsen S, Knardahl S, Lau B, Notelaers G, Skogstad A. Leadership and role stressors as departmental level predictors of workplace bullying. Int J Stress Manage. 2011;21:453–468. (ノンサポーティブリーダーシップ)

  5. Illing JC, Carter M, Thompson NJ, et al. Evidence synthesis on the occurrence, causes, consequences, prevention and management of bullying and harassing behavior to inform decision making in the NHS. Final report. NIHR Service Delivery and Organisation Programme; 2013. Available from: http://goo.gl/Ypp372. Accessed April 4, 2016.(いじめ介入の包括レビュー)

  6. Jordi Escartín (2016) Insights into workplace bullying: psychosocial drivers and effective interventions, Psychology Research and Behavior Management, , 157-169.

  7. León-Pérez JM, Arenas A, Griggs TB. Effectiveness of conflict management training to prevent workplace bullying. In: Tehrani N, editor. Workplace Bullying: Symptoms and Solutions. London & New York: Routledge; 2012:230–243. (葛藤エスカレーションモデルを利用した介入)

  8. Mawritz MB, Mayer DM, Hoobler JM, Wayne SJ, Marinova SV. A trickle-down model of abusive supervision. Pers Psychol. 2012;65(2):325–357.

  9. Meloni M, Austin M. Implementation and outcomes of a zero tolerance of bullying and harassment program. Aust Health Rev. 2011;35(1):92–94. (いじめのマネージメントスキル)

  10. Schwickerath J, Zapf D. Impatient treatment of bullying victims. In: Einarsen S, Hoel H, Zapf D, Cooper CL, editors. Workplace Bullying: Developments in Theory, Research and Practice. London & New York: Taylor & Francis; 2011:397–421.(葛藤エスカレーションモデルを援用した職場いじめの介入)

  11. Skogstad A, Torsheim T, Einarsen S, Hauge LJ. Testing the work environment hypothesis of bullying on a group level of analysis: psychosocial factors as precursors of observed workplace bullying. Appl Psychol. 2011;60(3):475–495.(ノンサポーティブリーダーシップ)

  12. Stagg SJ, Sheridan D, Jones RA, Speroni KG. Evaluation of a workplace bullying cognitive rehearsal program in a hospital setting. J Contin Educ Nurs. 2011;42(9):395–401. (いじめのマネージメントスキル)

  13. Zapf D, Gross C. Conflict escalation and coping with workplace bullying: a replication and extension. Eur J Work Org Psychol. 2001;10(4):497–522. (いじめ予防に援用する葛藤エスカレーションモデル)


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