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【重要】国・神戸西労基署長 (阪神高速パトロール) 事件

ポイント

自殺に際し、関係性不良の職員間においてなされた複数のいじめや嫌がらせに当たる言動は直接職務に関係なくても連続した一体のものととらえてより心理的負荷を強めるものとして評価され、業務上の死亡に当たるとされうる
社内ハラスメント規定・調査等においても参考としうる

概要

経過:
 A (自殺時24歳) は幼少期から空手を習い直接打撃をしない伝統空手を得意としていた。平成22年3月に阪神高速道路の巡回・管制・取り締まり業務に従事し、契約社員から平成24年3月に正社員に登用された。
 その後Bと同課で勤務するなか、直接打撃する極真空手の教室を主宰する経験をもつBは、平成24年4月ごろより、Aになんちゃって空手と馬鹿にする発言をし、道場に来れば思い切り殴れるから来いと話した
 同年5月よりAとBはペアを組み3回の巡回をしたが、その際、職場目標をBに尋ねられて「班長には提出したのになぜあなたに尋ねられないといけないのか」と答えたことにBが怒り、「俺と仕事の話は一切しなくていい」「道場にこい、道場なら殴りやすい」と言ったり、その後は「何もするなすべて俺がやる」と怒鳴って仕事をさせず、巡回後の書類整備をするAに「何もするなといっただろ、殺すぞ」と怒鳴りつけたり、班長に「もうあいつは使い物になりませんわ」と言ったり、報告書を見てほかの職員の前で「小学生みたいな文章だな」といった
 数日後、Aは自宅で縊死した。

判決:
(労災補償を不支給とした神戸西労働基準監督署長に対する訴訟)

  • 空手に関する雑談はその後のBの言動に関連するものとして心理的負荷を高めているため考慮される

  • 夜勤中の各言動は連続的に行われて心理的負荷はより強まったと考えられ、一連の出来事による心理的負荷で自殺直前ごろにうつ病を発症したと考えられる

  • 以上より業務上の死亡に当たる


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